- 自閉症と診断される最適な年齢はありますか?
- 自閉症の診断が生活の質にどう影響しますか?
- 早期診断のメリットは何ですか?
自閉症と診断されることは、何歳になっても大きな出来事です。
若いうちに診断されるのがベストなのでしょうか?
それとも、人生の後半に診断された方が、大人の生活の質を向上させることができるのでしょうか?
Autism誌のオンライン版に掲載された、新しい研究によれば、万人に共通する答えはありません。
英国で自閉症をかかえる成人300人を対象に、最初に診断された年齢を調査した研究です。
その年令別に、いくつかの重要な指標に基づいた自閉症特性の重症度や生活の質について、比較しました。
これらの指標には、医療、経済、社会的支援へのアクセスといった現実的な事柄のほか、総合的な満足度、機能的で幸せであり、目的意識と幸福感をどの程度感じているかといった自己申告による心理的評価も含まれています。
その結果、
「全体として、自分が自閉症であることを知った年齢と成人後の生活の質との間に関連性はありませんでした」
そう、この研究を行った英国キングス・カレッジ・ロンドンの精神医学・心理学・神経科学研究所の認知心理学者で講師のルーシー・リビングストンは述べています。
「大人になって初めて自分が自閉症であることを知る人が増えています。
それは人生を変えるような気づきとなります。
多くの自閉症の人は、生活の質や幸福感が非常に低いことが分かっています。
そのため、人生の早い段階で自閉症であることが分かることが良いことなのか、疑問がありました。
ある人にとっては、自分が自閉症であることを早く知ることが、より良い生活の質につながっていました。
一方で、遅く知ることが良かったと言う人もいました」
つまり、自閉症の診断が生活の質に与える影響は、人それぞれでした。
研究に参加したのは、18歳から68歳、約6割が女性、9割は白人、6割以上が自立した生活を送っている人達でした。
約15パーセントの人が幼少期に、自閉症と診断されていました。
約30パーセントが10代で診断されていて、残りの人たちは成人してから診断されました。
つまり、半分以上の人たちは成人してから自閉症と診断されていました。
それぞれの人について、QOL(生活の質)、ウェルビーイング(幸福度)、メンタルヘルス(精神的健康度)について評価しました。
また、年齢、性別、民族性、人間関係、教育、雇用、収入状況など、さまざまな人口統計学的情報とともに、自閉症特性の重症度も評価されました。
一般には、早く診断されるほど、その後良い状況になると考えられています。
しかし、この研究の結果では、
「自閉症であることを自覚した年齢とQOLの関係は、統計的には関連性はありませんでした」
その代わりに、診断時の年齢とは別に、成人のQOLにより影響を与えると思われる他の要因を特定しました。
例えば、自閉症の男性は、自閉症の女性よりも全体的にQOLが低いことが判明しました。
また、不安を含む他の精神的な問題に悩まされている人も、QOLが低いことがわかりました。
なお、今回の調査結果は、
「自閉症の早期発見・診断のメリットを否定するものではない」
ことを研究チームは強調しています。
それでもリビングストンは、早期診断がすべての患者にQOLの長期的な優位性をもたらすとは限らない理由について、いくつかの可能性を提示しています。
ひとつは、単に自閉症の診断を受けたからといって、必ずしも有意義な追加サポートが受けられるとは限らないということです。
「大人になってからの遅めの診断は、ポジティブな経験となり得ます。
自分自身を理解するのを助け、自己が認識するQOLを向上させるかもしれません」
擁護団体のオーティズム・スピークスのサービス・サポート担当副社長のアラナ・エスポジトはこの調査結果におどろきません。
「しかし、早期療育によって自閉症の子どもたちの潜在能力が最大限に発揮されるという知見と同じように、自閉症の診断を早く知ることで、個人の固有のスキルセットに対する意識が高まり、生涯を通じて成功するための特定のサービスやサポートを利用するように促すことができます」
若いときに診断されなかった大人も、人生の後半に診断されることで多くのことを得ることができるとエスポジトは言います。
成人後の自閉症診断は、長年の行動の問題の根本的な原因を特定するのに役立ち、安心感を与えることもあるからです。
「また、自閉症に特化した支援グループやソーシャルスキルトレーニングなど、症状の改善や課題の克服を目的とした治療やサービスを受けられるようになることもあります」
(出典:米Daily Journal)(画像:Pixabay)
幼ければ、早くから支援が受けられる。
歳を重ねた後であれば、今までの自分に説明がつく。
そうだろうと思います。
いずれにせよ、幸せに過ごして頂きたいです。
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(チャーリー)