- 自閉症の割合が増加している理由は何か?
- 自閉症の診断基準はどのように変化してきたのか?
- 自閉症の人へのサービス提供が増えたことで、どのような影響があるのか?
米国疾病管理予防センター(CDC)は先月、米国における自閉症の子どもの割合が36人に1人になったと報告しました。
この割合は、CDCが1996年に自閉症の人の割合のモニタリングを開始して以来、劇的に増加しています。
2000年には、150人に1人の割合でした。2008年には、88人の子どもに1人でした。2018年には、44人に1人でした。
また、米国だけでなく世界中で自閉症と診断される割合も増えているようです。
2012年、世界の自閉症の人の割合は1000人に6人と推定されました。
最新の研究では、世界での割合は100人に1人程度と推定されています。
では、なぜ自閉症の人の割合は増加しているのでしょうか?
次のことが考えられます。
1.広く認知されるようになったこと
自閉症の割合が増えた第一の理由は、自閉症に対する認知度が高まったことです。
また、精神保健の専門家も、自閉症の症状を認識するための教育を受けているため、子どもを紹介したり、診断したりすることが多くなっています。
また、自閉症の診断も一般的になってきました。
米国では、症状の有無にかかわらず、18カ月と24カ月に自閉症の検査を受けるのが一般的です。
このことは、かつて知的障害や学習障害と診断されていた子どもたちが、現在は自閉症と診断されていることを示唆しています。
2.診断基準の変化
自閉症の診断基準は年々変化しています。
より広範になり、より軽度の自閉症も含まれるようになってきました。
3.サービス提供の増加
ここ数年に渡って、自閉症の人のためのサービスがより利用しやすくなってきました。
サービスを受けられるようになったことで、より多くの人が、これらのサービスを受けるために診断を受けるようになりました。
4.親になる年齢の上昇
世界中で、人々は親になるのをより長く待つようになっています。
たとえば、米国では初産の平均年齢は1970年には21歳でしたが、2021年には27歳まで上昇しました。
親の年齢(母親と父親の両方)が上がることは、自閉症の可能性が高くなることと関連しています。
しかし、研究では、これが自閉症の有病率の上昇に占める割合は3パーセント未満と推定されており、これによる影響は否定できませんが、割合の上昇を完全に説明するものではありません。
5.未熟児の増加
新生児医療の進歩により、より多くの極端な未熟児(28週未満で生まれた赤ちゃん)が生き延びることができるようになりました。
このような進歩はとても重要ですが、未熟児や低出生体重児は自閉症の割合が高くなっているため、自閉症の割合の増加にもつながっている可能性があります。
さらに、米国を含む一部の国では、未熟児(37週以前に生まれた赤ちゃん)の割合が増加しているようです。
米国では2020年から2021年にかけて未熟児率が4パーセント上昇し、2007年にこれらのデータの追跡を始めて以来、最も高い割合になっています。
また、米国では1990年代から2000年代にかけて、早産率が徐々に増加しています。
(出典:米Psychology Today)(画像:Pixabay)
支援が必要な方には適切な支援がなされる。
それに必要となる診断が、正しくなされるようになった結果の増加であれば、悪いことではありません。
ただ、必要な方に適切な支援ができなくなるほど、もし診断基準の変更による増加が進んでしまったら本末転倒です。
(チャーリー)