- 1. 自閉症と診断された幼児や自閉症特徴を示す幼児には、耳、鼻、喉の問題が多く見られるのか?
- 2. 自閉症特性が強い幼児における耳や上気道の徴候と自閉症の関連性を示す研究結果は信頼性があるのか?
- 3. 幼児期に現れる耳鼻咽喉科的症状が将来的に自閉症と診断されるリスクを示すのか?
耳、鼻、喉の問題が、自閉症と診断された幼児、または自閉症の特徴を強く示した幼児に多く見られることが、BMJ Openに掲載された新しい研究によって明らかになりました。
この研究は、英ブリストル大学と英アストン大学の研究者が主導し、0歳から4歳までの1万人以上の幼児のデータを調査したものです。
研究チームは、早期の耳や上気道の徴候が自閉症特性の発達と関連しているかどうかを調査しました。
これまでの研究では、自閉症の子どもは定型発達の子どもに比べて耳鼻咽喉科や関連する聴覚疾患の有病率が高いことが分かっています。
しかし、この研究の多くは、偏りがある可能性のある健康記録を用いて行われてきました。
今回の研究では、1991年から1992年にかけて英ブリストル地域の14000人以上の妊婦を集め、その子どもの人生を追跡した一般集団コホートである「Children of the 90s」研究のデータを使用したものです。
Children of the 90sの中で、自閉症の可能性があると診断された子どもは177人(男の子139人、女の子38人)でした。
そして、自閉症の特徴を持つ子どもたちは、Children of the 90sので最も高い特徴スコアを持つ10パーセントをそう定義しました。
研究チームは、子どもが18ヶ月から42ヶ月の間に、母親が耳、聴覚障害、上気道系に関する9種類の徴候や症状の頻度を記録した3つの質問票の回答を分析しました。
その中には、
- 口呼吸
- いびき
- 耳を引っ張る・突く
- 耳が赤くなる
- 風邪の時に耳が悪くなる
- 耳漏がある
- ほとんど話を聞かない
などの兆候が含まれていました。
その結果、これらの症状の頻度は、自閉症特性である社会的コミュニケーション、まとまった言葉、社交性、反復行動の各スコアが高い人、さらに正式に自閉症の診断を受けていることと関連していることがわかりました。
耳からの膿や粘着性の粘液の排出は、特に自閉症(3.29のリスク増加)および風邪の際の聴覚障害(2.18のリスク増加)と関連していました。
アストン大学の聴覚学上級講師であるアマンダ・ホール博士はこう述べています。
「Children of the 90sのデータを利用できたおかげで、多数の子どもたちの結果を分析することができました。その結果、一般的な耳や上気道の症状や徴候が、その後自閉症と診断された子どもたちや、自閉症特性を多く示す子どもたちに多く見られることがわかりました。
しかし、これらの耳鼻咽喉科的症状は、小児期に非常によく見られるものです。
これらの兆候や症状を経験したほとんどの子どもは、自閉症と診断されるまでに至らないということにも注意してくだささい。
たとえば、生後30ヶ月の時点でいびきをかいていた約1700人の子どもたちのグループのうち、そのほとんどである1660人の子どもたちは、その後に自閉症と診断されることはありませんでした。
私たちの研究結果は、耳鼻咽喉科疾患の可能性に対する認識を深める必要性を示唆したものです」
うちの子の小さかった頃を思い返すと、口呼吸、いびき、ほとんど話を聞かない、が該当したかなと思います。
ただし、研究者がこう述べているように、心配しすぎないでください。
「しかし、これらの耳鼻咽喉科的症状は、小児期に非常によく見られるものです。
これらの兆候や症状を経験したほとんどの子どもは、自閉症と診断されるまでに至らないということにも注意してくだささい」
(チャーリー)