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自閉症の子の「体の中」のテンポにあわせた音楽療育の可能性

time 2023/03/19

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

自閉症の子の「体の中」のテンポにあわせた音楽療育の可能性
  • 自閉症の子どもたちの運動機能の遅れは、なぜ起こるのか?
  • 自閉症の子どもたちの運動機能を向上させる方法は何か?
  • 運動機能の改善が、自閉症やADHDなどの子どもたちの社会的スキルの向上にどのように影響するか?

遊び場でボールを投げ合ったり、手拍子で遊んだり、遊び道具を共有したり、鬼ごっこで追いかけっこをしたりする子どもたちを想像してください。
すると、それぞれの子どもたちが自分のペースで動き、協調的な動きで他の子どもたちとスムーズに関わり合っていることに気づくと思います。

しかし同じ遊び場にいても、自閉症の子どもたちは不器用で、他の子どもたちと交流できていません。

自閉症は、現在アメリカでは44人に1人の割合で発症していると言われている発達障害です。
自閉症の子どもの社会的困難の要因として、協調性の遅れやバランス感覚の欠如などの運動機能の違いが挙げられています。

自閉症の子の運動機能の問題が解決されない場合には、社会的な合図を見逃し、学校での生活が困難になり、自立が困難になり、その結果、孤立して精神衛生上悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、動きのタイミングを考慮した療育を設計する研究は、自閉症の子どもたちの社会的スキルを向上させるのに役立つはずです。

音楽療法士であり、武道家でもある私の以前の研究では、7歳から12歳の自閉症児の運動能力を向上させるために、武道の動作に必要なタイミング、方向、筋力を促進するリズムの合図を使いました。
武道の動作は、反復的かつ体系的な身体訓練を通じて、運動技能を向上させる機会を提供します。

30分間のリズムと武道のセッションを8回行った結果、子どもたちは運動能力、特にバランスと体の両側の協調性が著しく向上したことが確認できました。

研究開始時の子どもたちは両側協調性をテストすると、5歳8ヶ月の年齢相当でした。
しかし、4週間後には6歳9ヶ月の年齢相当まで改善されました。
1年以上にわたって両側性協調運動が向上しました。

この研究は、自閉症の子どもたちの内的運動テンポ(自発的運動テンポ:SMTとも呼ばれる)と、外的リズムに身体を同調させる能力について研究する現在の研究に役立つものとなりました。

自閉症の子どもたちは、指や手のタップをリズムに合わせて同調させることができるという研究がある一方で、全身の動きをリズムに合わせて同調させることが難しいという研究もあります。

2つの研究によると、自閉症の子どもたちのSMTは、定型発達の子どもたちに比べて約30パーセント速いか遅くなっています。
もしSMTが年齢に応じて予想される範囲から外れている場合には、その差は聴覚、神経系、または運動系のシステム間の接続の違いが、自閉症の子どもにあることを示す可能性があります。

しかし、これまでに自閉症の子どもたちのSMTとSMTに同調する能力を調査した公表された研究は見つかりません。
自閉症の子のSMTの範囲や、SMTの変化に同調できるかどうかも不明です。
自閉症の子への運動療育を考案するためには、SMTとリズムに同調する能力を検証するさらなる研究が必要です。

聴覚的なリズムは、運動機能を強化し最適化するために、運動のタイミングに構造を与えるものになります。
リズムを聴くと、身体はリズムのペースに反応して自然に動くからです。

このプロセスは「リズム同調」として知られるもので、リズムは運動のタイミングと運動能力を高める原動力となるのです。
たとえば、道を歩いている人が、通りを走る車の大音量の低音を聞くと、無意識のうちにその低音のビートに合わせて歩き始めます。

そのため、リズムのペースを変えれば、人の動きのタイミングも変えられます。
人は生まれながらにして、リズムの規則的で予測可能な間隔を効率的に感知し、リズムに合わせた動きをしているからです。
心臓の鼓動や呼吸などは、リズムを刻む存在であり、意識レベル以下でもリズムの刺激を感知しています。
私たちは、自分のリズムに合った動きをすることで、より良いパフォーマンスを発揮することができるのです。

それぞれの人のSMTに合ったテンポを提供する。
自閉症の子どもたちの運動に関わる問題に対処するための療育にそれが利用できます。

たとえば、音楽療法士は、脳卒中、パーキンソン病、脳障害のある人の歩行タイミングや正確な腕の動きを改善するためにこの方法を使用しています。
リズムを聴くことと運動することは、リズムの同調に関わる同じ脳領域(小脳、大脳基底核など)を利用するものです。
同じように、リズムをタイミングとして使うことで、自閉症の子どもの運動能力を促進するために必要な神経接続を鍛え、強化することができます。

自閉症の子どもたちの社会的スキルの発達をサポートするために、リズムと動きを導くためのSMTとリズム同調能力について、今後より多くの研究が必要です。
この療育方法が実現できれば、自閉症の子どもたちは、家族や仲間、地域の個人とよりよく関わり、他人と隔絶した生活を送ることがないようにできるはずです。

(出典:米マイアミ大学)(画像:Pixabay

それぞれの子どもの「SMT」にあわせたテンポの「リズミック運動」などを提供することが実現できれば、運動機能の問題に対して、より効果の高い療育方法になるはず。

そういうことだと理解しました。

うちの子もずっと、音楽は大好きです。

お気に入りのテンポの曲では、ノリノリに笑顔で独特ダンスを見せてくれます。

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(チャーリー)


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