- 自閉症の成人は、社会的つながりを持つことが少ないのか?
- 自閉症の成人は、本当に他人とつながりたいという欲求があるのか?
- 自閉症の成人の自殺リスクと社会的つながりの関係は、どのように解釈すべきか?
自閉症の成人は、自殺のリスクが高いことが多くの証拠から示されています。
社会的なつながりを持つことは、一般の人々にとっては自殺願望や行動を防ぐのに役立ちますが、自閉症の人々にとっては保護因子として見過ごされてきました。
これは、自閉症の人は社会的な交流に興味がないという不幸な誤解によるものです。
自閉症の人は社会的な刺激や情報が報酬として感受されないという、「社会的動機づけ理論」として知られている考え方です。
しかし、この社会的動機づけ理論は、実証的な裏付けに欠けています。
私たちの研究室が行った、100人の自閉症の成人と100人の自閉症でない成人の研究から得られた最近の知見によれば、自閉症の人は自閉症でない人よりも、実際には他人とつながりたいという欲求や動機がより高いことが示唆されています。
また、自閉症の診断を自己申告した194人を対象とした2021年の研究によれば、自閉症の成人は、自閉症でない成人と同程度の数の社会的つながりを持っていました。
そして、その研究参加者の4分の3以上が、少なくとも1つの社会的グループに属している社会的同一性の感情を報告しました。
つまり、社会的動機づけ理論は、自閉症の人の全員はおろか、ほとんどの自閉症の人に当てはまらない可能性が高いのです。
自閉症の成人は、社会的なつながりが少ない、あるいは社会的なつながりを持ちたいという欲求が少ないと決めつけることはできません。
私たちは、このような有害で不正確な概念を取り払い、自閉症の人の社会的つながりを促進する自殺介入策を開発することに取り組まなければなりません。
そのようなつながりは、自閉症の人たちの自殺を防ぐことができます。
社会的つながりを改善するために考えられてきたこれまでの方策に、自閉症の人にも利用できるものがさまざまあります。
自閉症の成人が社会的つながりの欠如や孤立を経験することがあるのは、社会的動機以外の理由で説明できるのかもしれません。
自閉症でない人と同じように他者とつながりたいという欲求があっても、その表し方が違うため、他者がその試みに気づかないことがあることが考えられます。
たとえば、自閉症でない人は自閉症の人の少ないアイコンタクトを社会的関心の低さの表れと認識してしまうことが、2010年の研究で示唆されています。
また、自閉症の人の多くは、つながりを求めるモチベーションが高いにもかかわらず、社会的拒絶に直面することが少なくありません。
2020年の論説によると、自閉症の人の社会的つながりに対する動機や好みに対する、自閉症でない人たちの誤解が偏見となり、自閉症の人が社会的つながりの欲求を追求するのを妨げる障壁になっていることが見落とされています。
自閉症の人が直面する孤立は、いじめ、嫌がらせ、拒絶、さらには虐待の経験によるものであり、好きでそうなっているわけではありません。自己防衛の結果であると考えられます。
自閉症の人の声や活動に基づく参加型の研究は、自閉症の人の社会的つながりの動機に影響を与える要因を明らかにするのに役立ちます。
また、そのような研究は、現場が彼らの社会的ニーズによりよく対応するのにも役立ちます。
自閉症の人は他人とつながることにあまり興味がない。
そう、不正確に思い込むことで、研究者は自閉症の成人の自殺を防ぐための重要な対策としての社会的つながりの研究から遠ざかってしまうのです。
このような誤った方向性は、自閉症の人たちにとって自殺予防がより切実であることを考えると、本当に悲しいことです。
自閉症の人たちが、社会的なつながりを保ち、社会的な傾向を保ちたいと願っているにもかかわらず、社会的な孤立や拒絶に直面していることを説明する証拠は山ほどあります。
私たちは、自閉症の成人は社会とのつながりを求めていないという誤解をなくす必要があります。
むしろ、社会とのつながりを求める彼らの欲求を理解し、社会とのつながりを促進し、自殺を防がなければなりません。
当たり前のこととして自閉症の有無に関わらず、いい人とはつながりたい、悪い人とは離れたい。
ということだと思います。
「すべての人と距離を置きたいはず」と考えるのはあまりに乱暴、単純すぎます。
ただ、一方で感覚の問題やそのときの心理状況で、「一人にしておいてほしい」というときには、
これも自閉症の有無に関わらず、尊重するべきことです。
違うところもあるでしょうが、同じところも多くあります。
うちの子とずっと過ごしてきて、そう思います。
(チャーリー)