- 脳のプロセスが自閉症スペクトラム障害の人と他の人ではどう違うのか?
- 自閉症の子どもたちは、視覚的錯覚や視覚情報処理においてどのような特徴があるのか?
- 自閉症の人々の視覚的感覚行動に関する研究は、どのような新しいサポートや理解をもたらす可能性があるか?
こんな絵があります。見たことがあるかもしれません。
白と黒で、2つの顔が向かい合っています。
あるいは、白い背景に黒い花瓶を見るかもしれません。
この文章を読んだあとには、どちらにも見ることができます。
最初に見落としてしまうもの、見えないものが存在すること、そして経験することで見えるようになる、視覚錯覚の例です。
私たちが見るものには、常に見落としている部分や全く異なるイメージが存在する可能性があります。
研究者たちは、私たちのこれらに関わる脳のプロセスが、自閉症スペクトラム障害の子どもたちの脳では同じように起こらない可能性があることを発見しました。
さきほどの錯視も、異なった方法で見ているかもしれません。
Journal of Neuroscienceに掲載された今回の研究を行った、米ロチェスター大学医療センターの神経科学および小児科のエミリー・ナイト助教授はこう言います。
「私たちが物や絵を見るとき、脳はこれまでの経験と文脈情報を考慮して、不足している情報を埋めて曖昧さに対処しています」
ナイト助教授と米デルモンテ神経科学研究所フレデリック・J・アンド・マリオン・A・シンドラー認知神経生理学研究所らの研究チームは、視覚的錯覚(空いた空間が何かの形に見える)の画像群を使って、7歳から17歳までの自閉症の子どもとそうでない子どもの60人を対象に研究を行いました。
脳波(EEG)を用いて、研究チームは自閉症の子どもたちが、自閉症のない子どもたちとは同じように見ていないことを明らかにしました。
これは、自閉症の子どもの脳内のフィードバック処理経路に何か異常が起きていることを示唆するものです。
「この結果は、自閉症の子どもたちが、そうでない子どもたちと同じようには、予測したり、足りない視覚情報を補ったりすることができないかもしれないことを教えてくれています。
このことが、自閉症スペクトラムの一部の子どもに見られる非定型的な視覚的感覚行動とどのように関係しているのかを理解する必要があります」
そうナイト助教授は言います。
ナイト助教授のMolecular Autismに掲載された過去の研究では、自閉症の子どもたちが、何かに気を取られているときには、自閉症でない子どもたちのようにボディランゲージを見たり処理したりできないかもしれないことを発見しています。
その研究に参加した子どもたちは、人を表すために動くドットのビデオを見ました。
そして、そのドットの色が変わります。
自閉症の子どもたちは、色に注目するように言われると、人の動きには気づかないようでした。
人の動きを脳がうまく処理するためには、人の動きに、自閉症でない子どもたちよりも特別な注意を払う必要があったのです。
「言語能力や認知能力の幅が広い自閉症スペクトラムの人たちや、ADHDなど他の診断を受けている人々に対しても、この研究を続ける必要があります。
自閉症の人々がどのように世界を見ているのかをより理解し、自閉症スペクトラムの子どもや大人をサポートする新しい方法を見つけることができるようになると期待しています」
(出典:米ロチェスター大学医学部)(画像:Pixabay)
認識レベルで違いがある。
うちの子にも、私には想像もしていなかった、困難や問題がきっとあるのだろうと思います。
そうしたことを理解し、減らせるように手伝いたいといつも思っています。
理解をすすめる、こうした研究のますますの進展を期待しています。
発達障害の人の多くは全体を見ない。目の錯覚が診断に役立つかも
(チャーリー)