- ASDの早期診断を助けるためのバイオマーカーとはどのようなものですか?
- 自閉症スペクトラム(ASD)の診断において、アイトラッキング技術はどのように役立ちますか?
- 幾何学的画像に対する視覚的嗜好がASDのバイオマーカーとして可能性があるというのはどういう意味ですか?
自閉症スペクトラム(ASD)の子どもが生まれてから数年以内に診断できるような、バイオマーカーと呼ばれる測定可能な生物学的指標が、探し求められています。
正確なバイオマーカーが確立されれば、研究と臨床の両方に役立つだけでなく、ASDの早期スクリーニングの改善と拡大に貢献することが期待できるためです。
米国立精神衛生研究所が支援する研究で、動的な幾何学的画像に対する視覚的注意が、ASDを持つ幼児の一部について、そうしたバイオマーカーになる可能性が示唆されました。
米カリフォルニア大学サンディエゴ校のカレン・ピアース博士が率いるこの研究は、以前行った、一部のASDの幼児が幾何学的画像に対して強い視覚的嗜好性を持つことを示した研究を基礎としたものです。
これらの幼児は、さまざまな種類の画像を見せられた場合に、とても多くの時間、幾何学的形状を含む画像を見るのです。
ピアース博士らは、この幾何学的嗜好が、ASDの幼児を特定するためのバイオマーカーとして十分に強固であるかもしれないと仮定しました。
そこで研究チームは、より大規模で多様な幼児集団において、これまでの知見を再現できるかどうかを調べるための研究を行ったのです。
注目すべきは、今回の研究では参加者数が多いことです。
平均年齢約2歳の幼児1863人が参加しました。
研究チームは、詳細な診断評価を行った後、幼児を次の個別のグループに分類しました。
- ASDの子どもたち
- ASDのいくつかの特徴を持つ子どもたち
- 全体的な発達遅滞のある子ども
- 言語発達遅滞のある子ども
- 典型的な発達の子どもたち
幼児たちは、画面の片側に幾何学的な画像、もう片側にヨガをする子どもたちの画像が入った1分間のビデオを見せられました。
研究チームは、アイトラッキング技術を使って、幼児が何を見たかを追跡・測定し、各児童が幾何学的画像を見るのに費やした時間の、すべての時間に比べての割合を幾何学的選好性の指標としました。
その結果、全体的にASDの幼児は幾何学的な画像を見る時間が比較的長く、一部のASDの子どもは90パーセント以上の時間、幾何学的な画像に固執していることがわかりました。
一方、他のグループの幼児は、子どもが描かれた画像を好むことが示されました。
ASDの幼児のデータを調べたところ、視覚的嗜好は臨床的な指標と関連していることもわかりました。
とくに、幾何学的な画像を強く好むASDの幼児は、子どもの画像を強く好むASDの幼児に比べ、症状スコア、認知能力スコア、適応行動スコアも低くなっていました。
研究チームは、幾何学的嗜好の単純な尺度(幾何学的画像を見ている時間の割合)が、ASDの幼児とASDでない幼児を正確に区別することを発見しました。
さらに、幾何学的嗜好は、最初のアイトラッキングセッションから12カ月間、安定していることが示唆されています。
この研究の結果、幾何学的選好の測定がASDの一部の子どもたちについて客観的で正確かつ信頼できるバイオマーカーとして機能する、とピアース博士らは伝えています。
幾何学的選好度測定が、ASDではない発達遅滞の幼児を含む、大規模で多様な地域ベースのサンプルにおいて正確であったという事実は、この測定が実際の臨床現場や研究において利用できる可能性があることを示唆しています。
さらなる研究で検証されれば、この測定は、ASDを持つ一部の幼児がより早い診断を受け、サービスを受けられるようにするためのスクリーニングと識別のための低コストでスケーラブルなツールを提供することにつながるかもしれません。
(出典:米国立精神衛生研究所)(画像:米カリフォルニア大学サンディエゴ校)
うちの子も2歳になる前くらい、まだ相談しても、発達障害、自閉症と診断されなかった頃のことです。
ある洋楽のミュージックビデオ、当時は「ビデオドラッグ」と呼ばれた幾何学模様のアニメのビデオをテレビで再生すると画面に釘付けになりました。
そして楽しむのではなく、ものすごく恐ろしがって泣き叫びながら、見続けていました。
文字通り、目が離せないという状況です。
すぐにそのビデオを再生すること止めました。
大昔のことですが、よく覚えています。異常な反応でした。
発達障害の人の多くは全体を見ない。目の錯覚が診断に役立つかも
(チャーリー)