- 社会性を身につけるためには、どんな環境や支援が必要なのか?
- 興味を持つことに集中することが強みになるとしたら、それをどう活かして他の人とつながることができるのか?
- 自閉症スペクトラムの人たちが、どのような環境やプログラムを通じて自己表現や協力関係を築くことができるのか?
「ボット・オブ・アナザーカラー」は、自閉症スペクトラム(ASD)をかかえる発達障害の高校生を対象とした、新しいロボット工学プログラムです。
「私たちの主な目標は、彼らが社会性を身につけ、他の人と同じように扱われ、グループの一員として楽しみながら学べるようにすることです」
そう、ヘッドコーチのJ.D.ホバーマンは述べています。
ホバーマンは、自分が経験したようなことを、同じ年頃の子どもたちが経験できるようにしたいと願っています。
「子どもの頃、いろいろなことに参加しようとしました。
したが、たとえ私がグループの中で一番物知りでも、誰も耳を傾けてくれませんでした。
私はただ、私がこう思うのは、こういう理由からだ、ということを淡々と話すだけでしたから。
そして、問題があれば、その問題に集中する。
それほど結果が出ない方法で物事に対処することも、実際には自分に強いる必要があったりします」
ボット・オブ・アナザーカラーの目的のひとつは、集中力を強みにしつつ、興味を広げることです。
「何かに集中することで、他の人が気づかなかった解決策を思いつくことができます。
私たちが目指していることのひとつは、彼らはとても特別に関心を寄せる、その関心事にとても長けているということを広げ、他のことにも目を向けられるようにしようとしているのです」
これはまた、興味を同じくする、子どもたちが協力しあえる機会ともなります。
参加しているダニエル・キルナーはこう言います。
「チームワークの良さが参加の一番の魅力です。
そして、分解するのも楽しいし、道具をいじくりまわして、どんなふうに動くか見るのも楽しい。
楽しいですよ」
このプログラムを始めるにあたっては、課題もありました。
「大きな岩を急な坂道で押し上げるようなものです。
資金に限りがあるので、部品がなかなか買えません。
そのため、何度も設計を簡略化しなければなりませんでした」
参加している子どもたちは、必要な部品の一部を入手するために、古いロボットを分解しています。
「通常は廃棄されスクラップとして切り刻まれる古いロボットを分解することは、お金と資源を節約するための素晴らしい、素晴らしい方法となります」
ロボットを製作するには、より多くの資源が必要です。
フィロガー・ブリューハウス社の寄付がそれを支えています。
CEOのロッド・レイモンドはこう言います。
「この団体への寄付は、私にとって特別な意味を持ちます。
私の近しい人に、その例外性ゆえに生涯、からかいや粗末な扱いを受けてきた自閉症の人がいます。
このロボット工学プログラムは、子どもたちに安全な空間を提供し、創造性を発揮させ、工作のスキルを向上させるものです。
私は、自閉症の子どもたちが最もユニークなロボットを設計し、他の人たちと競争するのをとても楽しんでいるのを見ることができて、うれしいのです」
(出典・画像:米WDIO)
「集中力を強みにしつつ、興味を広げる」
他の人たちにあわせるより、もっている強みをさらに活かす。
そんなふうに考え、支援される人たちがますます増えてほしいと願います。
自閉症の子の感情をきちんと理解し対応するAIとロボットの研究
(チャーリー)