- 1. 自閉症の子どもが絵を描くことを通じて自分の感情を表現することは可能ですか?
- 2. 自閉症の子どもが大人になったとき、どのような社会的居場所や職業がありますか?
- 3. 視覚的な記憶力が強い子供がどのようにしてその能力を発展させることができますか?
マルティンは10歳です。
そして、将来何に打ち込みたいのか、もうわかっています。
筆とクレヨンはなくてはならないものになりました。
マルティンの視覚的な記憶力は、ほぼ完璧に絵にすることを可能にしました。
幼い頃から表現とコミュニケーションの手段として使い、親族を驚かせていました。
両親は、長男のレオンが自閉症であったため、マルティンも自閉症の可能性があると考えていました。
しかし、マルティンにとって自閉症は障害ではありませんでした。
6歳のとき、鉛筆を手に取り、絵を描き始めました。
同年代の子どもたちのように小さな家や木を描くのではなく、歯医者に行く途中や、母親とスーパーに買い物に行ったときに目にした壁に描かれた絵を、再現しました。
「壁にかかれた絵を見たことが始まりでした。
息子のマルティンは自閉症です。
そして、視覚的な記憶力がすごいんです。
学校へ行くときも、歯医者へ行くときも、スーパーマーケットへ行くときも、壁に描かれた絵をよく見ていました。
それを見ることで、自分がどこにいるのかも知るようになっていました」
そう、母親のカリーナは言います。
マルティンは壁に描かれた絵が大好きでした。
そして、街のアーティストたちと会いました。
「彼らは、マルティンが自分の感情や世界観を表現するための扉を開いてくれました。
自分の感情を理解し表現することが難しくても、絵を描くことで自分の感情を伝えることができるようになりました」
カリーナと日本人の建築家である父親がマルティンを最大限にサポートしました。
美術館や展覧会に連れて行き、情熱がさらに高まるよう手伝いました。
そして、マルティンは地元のアーティストが大好きです。
その理由は距離感です。
「ピカソやモネに憧れていた時期もありました。
しかし、そうなるのは難しいと考えていたようです。
地元のアーティストと出会ってからは、それがすっかり変わりました。
ある時、息子は私に
『僕は芸術家になりたい、大人になったらこれに専念したい』
そう言ったんです」
独学で学び、完璧主義で、写真的な記憶力を持つマルティンは、気に入った絵を見ると、それを徹底的に探求します。
上から下へ、左から右へ、その逆もまた然りで、細部まで観察します。
うまくいかないとき、もっと知りたいときは、インターネットや親からもらった本で調べます。
マルティンは幼い頃はまわりに適応するのに苦労しました。
現在、マルティンは学校に通い「Museum guides connect to your home」という自閉症の子どもや青少年のためのワークショップにも通っています。
自然科学や人類学に関連する問題について、歴史と結びついた物やテーマにスポットを当て、出会いや対話の場を提供してくれるものです。
マルティンは、非営利市民団体A.De.Dis.でサッカーもしています。
それは自閉症など障害がある子どもたちのためのもので、スポーツをツールに社会参加を目的としています。
母親のカリーナはこう言います。
「息子は自分が自閉症であることを自覚しており、それが悪いことではないことも知っています。
私たちはいつも、自閉症でない人たちの世界に適応しながらも、自分を誇りに思って自閉症は障害ではないと考えるように応援しています。
しかし、そう考えない人もいます。
これは無知と関係します。
息子のような人は、孤独で、話すこともできないというイメージをもっています。
そんなことはありません」
そして、母親のカリーナが大きな問題だと考えているのは、自閉症の子どもたちが大人になったときの居場所です。
「彼らはいつまでも子どもではありません。
いつかは大人になります。
私は、息子や他の人がみんなデイホームに入るようなことは望んでいません。
息子は将来は壁画家になり、芸術で生きていきたいと言っています」
(出典・画像:アルゼンチンTN)
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(チャーリー)