- 他者や生物にどんな価値があるのか?
- 社会はどうやって異なる能力や課題を持つ人々をサポートできるのか?
- 孤独とはどのような影響を与え、どのように克服できるのか?
2004年に米サンフランシスコのベイエリアでジョエルとクリストファー・ダンラップの夫妻が強い思いをもって、「スクエア・ペグ・ファンデーション」を設立しました。
ジョエルはこう言います。
「従来の乗馬プログラムに適さない馬や放牧される必要のある馬、そして従来の乗馬プログラムに適さない人や乗馬療法プログラムに適さない人、そうした馬と人に求められるものだと考えました」
ジョエルは、競馬場で乗馬と経営の両方の仕事を経験し、競走馬として活躍できなくなった馬に何かしたいと思うようになりました。
そして、競馬場で働く傍ら、副業として始めたサラブレッドの再調教が天職となりました。
さらに自閉症の人ちと出会ったことが、この団体の設立につながりました。
「私たちが多くを求め、すべてを与えてくれた馬たちに、恩を感じていました。
そして社会が、もっている価値を認めていない人たちのことも知りました。
設立したのは自然な成り行きでした。
すべての生命に価値があることを多くの人に示したい。
そして、動物たちを助け、世話をし、彼らにも価値があることを示すことができれば、自分自身でさえ価値を疑っていた人たちが自分自身を違った目で見ることができるようにもなります」
現在では2つの農場を構えています。
25頭の馬がいて、そのうち17頭がサラブレッドです。
正社員6名、パートタイム6名を雇用し、自閉症の大人のための職業訓練プログラムでは8名のインターンを受け入れています。
クリストファーは、自閉症の大人はサポートされることが減り、働く機会も少なくなっていることを知り、独自の支援プログラムを作りたいと考えていました。
「今、私たちは8人の自閉症の人を雇用しています。
彼らは動物の世話を手伝い、体を動かし、他の人と一緒に仕事をする機会をもっています。
ボランティアによる活動の監督もしています。
もし、ここでボランティア活動をすれば、あなたの上司は今まで知らなかったような人たちかもしれません。
私は職業訓練の仕事に就こうとは思ったことはありませんでした。
今では、自閉症の人たちの生活や考え方、能力が変わっていくのを目にすることが、本当に素晴らしいです」
現在は、職業訓練プログラムを通じて自閉症の成人を支援するほか、地域の摂食障害や重度のトラウマを持つ人たち、週に75組の家族にサービスも提供しています。
ジョエルはこう言います。
「人間は社会的な動物です。
そして、馬も社会的な動物です。
私は、地球上で最も有害で致命的な病気のひとつは『孤独』だと考えています。
孤独は命取りです。
しかし、それは100パーセント治すことができます。
私たちの誰もが、誰かの孤独を治療する能力を持っているのです。
馬と人も同じです。
馬の社会的欲求を満たすことで、人も問題行動やメルトダウンを起こさないで済むようになります。
馬と一緒に仕事をすることは楽しいんです」
(出典・画像:米AMERICA’S BEST RACING)
「地球上で最も有害で致命的な病気のひとつは孤独」
「私たちの誰もが、誰かの孤独を治療する能力を持っている」
確かにそうです。本当にそのとおりです。
(チャーリー)