- 発達障害のある子どもが十分な睡眠をとるための効果的な方法は何か?
- 睡眠不足が発達障害を持つ子どもやその家族に与える影響は何か?
- 自閉症やADHDの子どもの睡眠問題に対する具体的な行動戦略は何か?
質の高い睡眠をとることは、子どもたちの学習と発達に重要です。
十分な睡眠をとれないと、気分、学校の成績、健康、行動などに影響を及ぼします。
睡眠が生活の質に与える影響は、誰もが知っているはずです。
自閉症や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの発達障害を持つ子どもであれば、睡眠不足は子どもの精神的健康だけでなく、両親の精神的健康やストレスレベルにもさらに広範囲な影響を与える可能性があります。
自閉症の子どもの最大80パーセントが睡眠に問題をかかえています。
親が報告する一般的な行動上の問題には、睡眠障害(入眠に問題がある)、睡眠時随伴症(ねぼけなど)、早朝覚醒が含まれます。
これらの問題は、効果的な治療が行われないと、ずっと続く傾向があります。
行動的な介入は、子どもの睡眠の問題を治療するための重要な第一歩となります。
とくに、私たちの研究によれば、自閉症の子の睡眠問題は、子どものニーズに合わせた睡眠戦略をとることで、効果的に治療できることが分かっています。
そして、それは子どもの睡眠不足に悩むすべてのご家庭に役立つものです。
その手法「スリーピングサウンド」は、幼児の睡眠のニーズと好みに合わせて戦略を立てるプログラムです。
もともとは定型発達児の睡眠の問題を解決するために作られたものでしたが、過去10年の間に、自閉症やADHDの子どもたちを支援するために改良されました。
私たちは、5歳から13歳の245人の自閉症の子とその親を対象に、「スリーピングサウンド」が有効かどうかを判断するための最善策である無作為化対照試験を実施しました。
家族は、介入するグループと比較対象とする介入しないグループに無作為に割り振られました。
介入グループの家族は、小児科医または心理学者との50分間の対面式セッション2回とフォローアップの電話に参加しました。
彼らは、アセスメント、睡眠教育、そして子供と家族に合わせた個人的な実践的戦略を受けました。
その結果、「スリーピングサウンド」を受けた家族は、受けなかった家族と比較して、睡眠の問題が少なくなったことが確認されました。
子どもの睡眠におけるこれらの改善は、1年経過後も続いていました。
また、子どもたち(生活の質の向上、情緒的・行動的機能の改善)とその保護者(ストレスレベルの低下、精神的健康と生活の質の向上)にも、プラスの効果が見られました。
自閉症の子の保護者は、家族のサポートと戦略の一貫性が重要であると言っています。
これは、自閉症の人とその家族独自の強み、ニーズ、状況を認識する、パーソナライズされた自閉症ヘルスケアの今後のあるべき方向性と一致します。
この「スリーピングサウンド」プログラムはまだ試行段階であり、まだ多くの家族が利用できるものではありませんが、子どもの睡眠を改善するためにすべての親が取り入れることができる方策を用いたものです。
親は、睡眠準備と行動的睡眠戦略に対して普遍的なアプローチを用いることで、子どもがぐっすり眠れるようにすることができます。
これらです。
- 規則正しい就寝時刻と起床時刻を設定する
- 安全で快適な睡眠環境を整える(涼しい、静か、暗い、テレビやスマホが近くにない)
- 穏やかで眠りを誘うような規則正しい就寝の習慣を身につける
- カフェイン、電子機器、寝る前の興奮を避ける
- 日中の身体活動を奨励する
- 寝る1時間前の運動は避ける
それでも良い眠りが得られない場合には?
健康的な睡眠習慣を身につけ、就寝前の習慣を確立することに加えて、お子様に役立つかもしれないさまざまな行動戦略を試してみてください。
次のようなことです。
■チェック法
この方法は、親が部屋にいないと眠れない子や、寝室にこもりきりになってしまう子に有効です。
子供を寝かしつけ、様子を見に来ることを約束します。
夜中に一定の間隔で訪問し、様子をみて安心させる。
そして、次第に時間の間隔を延ばしていく。
様子を見るのは、退屈で短く(1分程度)しましょう。
■就寝前のフェードアウト
この方法は、子どもが希望する就寝時刻に寝付けない場合に有効です。
一時的に、子どもが自然に眠くなる時刻に就寝時刻を合わせます。
数日おきに15分ずつ、希望する就寝時刻に達するまで就寝時刻を早めていきます。
■リラクゼーション・トレーニング
子どもが就寝時に不安を感じたり、なかなか寝付けないときに、これらの方法が役に立ちます。
目を閉じて横になり、全身の筋肉を順々に締めたり緩めたりするよう、子どもに語る。
呼吸をコントロールすることを教え、鼻から吸って口から吐くという呼吸をゆっくりと長く続けることを学ばせる。
日中に心配なことを書いたり、絵を描いたりして、「心配ごと箱」にしまうよう、子どもに勧める。
子どもは1つだけでなく、複数の睡眠の問題を経験することがあります。
そのため、以上のような行動的な睡眠戦略を組み合わせることが必要な場合があります。
お子さまの睡眠について心配な場合や、睡眠の問題が続く場合は、かかりつけの小児科医や医師に相談し、詳しい指導を受けてください。
ニコール・リネハート
豪モナシュ大学教授、児童青年心理学、クロンゴールド・クリニック(研究)ディレクター
エミリー・パティソン
豪モナシュ大学 リサーチフェロー、心理学者
ニコル・パパドプロス
豪モナシュ大学教育心理・カウンセリング学部上級講師
(出典:豪THE CONVERSATION)(画像:Pixabay)
うちの子は小さな頃は本当に眠りませんでした。
やっと眠って、午前2時。
数日、まったく眠らない日が続いたり。
たいへんでした。
大きくなって、薬を飲ませるようになってからはよく眠ってくれます。
おかげで私も眠れるようになりました。
(チャーリー)