- 自閉症の人が犯罪に巻き込まれやすい原因は何か?
- 自閉症の人が怪しい行動を見抜く能力についてどう言及されているか?
- 研究チームは自閉症の人が犯罪に巻き込まれやすいという可能性をどのように述べているか?
自閉症の人が知らず知らずのうちに犯罪に巻き込まれる原因は、怪しい行動を見抜くことが難しい、あるいは誰かが悪意を持っていると予測できないからだと、考えられてきました。
しかし豪フリンダース大学の今回の新しい研究によれば、自閉症の人は、自閉症でない人に比べて、怪しい行動を見抜く能力が劣っているわけではないことがわかりました。
むしろ、自閉症の人と自閉症でない人、どちらでも、相手の意図を読み取ることの難しさが怪しさの発見能力の低さと関連していることがわかりました。
「このことは、不誠実な人が誰かを犯罪に誘うために利用しそうなことです」
そう、今回の研究の主執筆者で、教育・心理・社会事業大学の心理学のマシュー・フリンダース特別名誉教授であるニール・ブリュワー教授は言います。
「私たちはそれぞれ『心の理論』と呼ばれる特性を持っています。
これは、他人の視点に立ったり、心を読んだりする能力を表す言葉です。
もしあなたが、交流している相手から犯罪行為に誘われたり、被害を受けたりする危険性があるのなら、相手の意図を認識し、それに合わせて適応することが不可欠です。
しかし、自閉症である場合、心の理論の発達が不十分であることは、長い間、中核的な特性と考えられています。
犯罪行為への関与に対する自閉症特有の影響に焦点を当てた臨床報告や法的議論において、それは指摘されてきました」
自閉症の人が犯罪にとくに巻き込まれやすいかどうかについての議論は続いているものの、研究チームはそのような関連性を裏付ける科学的根拠はほとんど存在しないと述べています。
ジャーナルAutismに掲載されたブリュワー教授らの今回の研究では、100人以上の自閉症の人とそうでない人を調べ、一連のシナリオを使用して疑わしい行動を検出する能力をテストしました。
その結果、両者の間にいかがわしさを発見したり報告したりする能力に差はありませんでした。
しかし、自閉症の人は心の理論(心を読む能力)の測定では、自閉症でない人よりも平均して低い結果を示しました。
さらに、この研究では、怪しさの検出に独立して有意に関連する 2つの個別の特徴があることが示されました。
それは、心の理論と IQ です。
「このことは、自閉症の有無にかかわらず、人が知らず知らずのうちに怪しい行為に巻き込まれてしまう可能性を高める可能性のある2つの特性があることを示しています」
研究チームは、今回の研究結果が自閉症の人が犯罪に巻き込まれやすいという可能性が否定するものではないと言っています。
「私たちの研究では、自閉症の人のうち、とくに心の理論に悩む可能性が高いサブグループがあることがわかりました。
また、他の自閉症特性によっても悪化する可能性があります。
たとえば、その人が何か強い特別な興味を追求する機会を与えられたとき、あるいは、ずっと探し求めていた社会的つながりを絶つときなどです。
また、怪しい行動を識別する難しさは、自閉症に特有ではないかもしれません。
しかし、心の理論の難しさは、自閉症の人が誤って犯罪行為を疑われ、疑いを和らげる情報を明確にすることができない場合、有害な結果をもたらす可能性があります」
研究チームは、実生活でのやり取りは研究で使われた怪しさ検出のテストとは違うものであるものの、今回の研究はさらなる探求の道を開くものだと強調しています。
「必ずしも自閉症の人に特有のものではない心の理論が、誰かを犯罪に巻き込みやすくすることを強調するのは興味深いことです。
怪しい行動の手がかりを検出することが、必然的に犯罪行為への関与につながることをさらに理解するためには、さらなる研究が必要です」
自分ではわからないうちに犯罪に巻き込まれていく。
そんなことは防がなければなりません。
自閉症の人にそうした危険があることを多くの方に知って頂きたいと願います。
さらなる研究を願います。
(チャーリー)