- 空間づくりにおいて自閉症の人の好みや必要を尋ねることは何をもたらすのか?
- 自閉症の人のための空間デザインにおいて何が重要になるのか?
- 家の中での音や匂いに注意することはなぜ大切なのか?
カナダ自閉症協会で家族の支援を行っている自らも自閉症のブルース・ペセリックが感覚にやさしい家の作り方と自閉症の人と生活を共にするときに大切な3つのルールを教えてくれました。
1.質問する
自閉症の人のための快適な空間づくりの第一歩は、その人の好みや長所、短所を(丁寧かつ優しく)尋ねることです。
自閉症の人はそれぞれユニークで、自分の長所と短所があります。
それらを共有させ、結論を急がないようにしましょう。
自閉症の人のすべてが部屋の感覚的な要素に敏感であると仮定することも間違いです。
2.見た目
自閉症の人のための空間をデザインするときは、あらゆる種類の感覚を考慮する必要があります。
部屋の中の色の数、パターンのスタイル、壁を埋め尽くす視覚を考慮してください。
必要であれば、何が取り除けるかを考えてください。
3.音
家の中の音に気をつけましょう。
なにか機械の音はしないか?
時計のカチカチという音は?
気になる可能性がある音には注意してください。
自閉症の人が自宅でより快適にするために必要であれば聞こえないようにする必要があります。
4.感触
感覚を求める人のために、柔らかで居心地の良い感触は、快適で心地よい環境を提供します。
逆に、かゆみや不快感を与える可能性のある感触の家具や枕には注意して、それらをなくしなり、カバーをつけたりしてください。
5.におい
視覚、聴覚、触覚と同じように、家の中の匂いも自閉症の人にとっては問題かもしれません。
キャンドルを焚いたり、強い洗浄剤を使ったりするのは避けましょう。
また、新しい家具も自閉症の人にとっては不快な強いにおいを放つことがあります。
6.照明
部屋の照明を調整できるようにしておくと、自閉症の人に便利です。
頭上の照明に調光スイッチがない場合は、フロアランプやテーブルランプを導入すると、時間帯にあわせて快適な明るさを簡単につくることができます。
7.自閉症の来客者
もし自閉症の人があなたの家を訪れるなら、自分の生活を考えて設計しているとは思ってはいません。
しかし、訪問前に声をかけ、どうすればあなたの家をより快適にできるか尋ねることは、素晴らしい一歩となります。
手遅れになるまで、感受性の強さに気づかないことが多く、そのために自閉症の人が助けを求めることが難しい場合があります。
また、訪問中に感受性が変化することもあります。
自閉症の人の行動は、時間の経過とともに変化しうることを意識してください。
訪問中に自閉症の人からのお願いがあれば、理解してその希望に応えましょう。
8.自閉症の子ども
他の子と同様に、自閉症の子もユニークな興味を持ち、進化しています。
遊び場では、五感に配慮し、照明は暗くできないか?手触りはいいか?音は大きすぎないか?
そして、子どもたちが動き回り、遊べるスペースの広さには特に気を配りましょう。
また、段差に気をつけたり、高さの差がありすぎないようにすることをお勧めします。
9.誤解
思い込みや誤解は、人生において誰とでも有意義な関係を築く能力を曇らせます。
とくに自閉症の人たちではそうなります。
自閉症の人たちは、そうでない人たちよりも深いレベルで、しばしば非常に深く、感情を感じています。
自閉症の人は自閉症でない人の行動を理解できませんが、もっと重要なのは、自閉症でない人たちも自閉症の人の行動を理解できないことです。
これは、双方向のコミュニケーションを難しくします。
そのため、自閉症の人たちは自分では気づかないうちに、いじめやつけこまれることがよくあります。このような状況では、友人や家族、一般の人々など、いじめを止めたり、何が起こっているのかを説明してくれる人の助けが必要なのです。
10.3つのルール
デザインについて、また自閉症の人たちと生活を一緒にする上で、ブルースは次のような明確でシンプルなルールを決めていました。
- 有能であることを前提にする
例えば、自閉症の人が言葉を発しない場合、彼らは非言語的な方法であなたとコミュニケーションをとることができ、別のコミュニケーション手段を学ぶには時間がかかるかもしれません。 - 自閉症の人の参加
自閉症の人と何かしようとするとき、あるいは自閉症の人について何かしようとするときは、必ず自閉症の人の声を入れてください。 - 自閉症の人にとって何が一番良いかを決めつけない
自閉症の人が何を必要としているか尋ねてください。
何を望んでいるか尋ねてください。
何を手伝えるか尋ねてください。
カナダと日本では部屋の広さなどは大きく違ってきそうですが、参考になりますね。
(チャーリー)