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自閉症の子は不眠症に関わる遺伝子に変異を持つ可能性が高い

time 2022/10/21

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

自閉症の子は不眠症に関わる遺伝子に変異を持つ可能性が高い
  • 自閉症の子どもは概日リズムや不眠症に関連する遺伝子にまれな変異を持つ可能性が高いのか?
  • 概日リズムや不眠症に関連する遺伝子が自閉症とどのように関連しているのか?
  • 自閉症の子どもの睡眠問題を客観的に評価する方法はあるのか?

自閉症の子は、自閉症でないきょうだいに比べて、概日リズムや不眠症に関連する遺伝子にまれな変異を持つ可能性が高いことが、新しい研究で明らかになりました。

この研究結果は、睡眠、概日リズムと自閉症との間の遺伝的関連を支持するものだと米ペンシルバニア大学の遺伝学のトーマス・ジョンゲン准教授は言います。

自閉症の子のほとんどは睡眠に問題をかかえています。
睡眠の問題は、概日時計(細胞を昼夜のサイクルに同期させる細胞タイマー)の乱れを示唆するものです。
そして、睡眠の問題は自閉症に関連する他の問題も悪化させる可能性があります。

これまでの研究で、自閉症における睡眠の乱れの遺伝的基盤が明らかになっています。

たとえば、概日時計の中核遺伝子であるBMAL1を欠損したマウスは、非定型的な社会的行動や運動障害を示します。
また、自閉症の人(よく眠る人であっても)は、概日時計を制御する遺伝子に変化がある可能性が自閉症でない人の2倍にもなることがわかっています。

今回の研究を行った米カンザス大学精神医学・行動科学のオリビア・ビーチ助教授は、コピー数変異(CNV)、つまりDNAの大きな塊の欠失や重複に注目することで、これまでにない「ユニークな視点」を得ることができたといいます。

今回の研究では、サイモンズ・シンプレックス・コレクション(SSC)とMSSNGという2つの遺伝子保管機関から得られた5860人の自閉症の子と自閉症でないきょうだい2092人の遺伝データを分析しました。

その結果、自閉症の子どもたちは、自閉症でないきょうだいや自閉症でない子どもたちに比べて、概日リズムを司る312の遺伝子と不眠症に関連する1053の遺伝子にCNVを多く保有していることがわかりました。

また、1つ以上の不眠症の特徴を持つ自閉症の子は39パーセントで、これまでの研究で報告された40〜80パーセントを下回っていました。
また、CNVと親からの報告による睡眠時間との間に関連は見られませんでした。

この研究結果は”Translational Psychiatry”誌に掲載されています。

「たとえ概日リズム遺伝子や不眠症遺伝子にCNVがあったとしても、自閉症の人における睡眠問題の増加が見られないことに困惑しています」

そう、この研究に参加していないジョンゲン准教授は言います。
研究に参加していないカナダマギル大学のラケブ・テスファイ研究員もこう言います。

「理由の1つはデータベースには睡眠の変化を特定するために必要な詳細な情報が含まれていないことです。
このデータは、睡眠時間という一面だけを調査したもので、急速眼球運動(REM)睡眠の量や、夜間覚醒の回数などの要因は見落とされています」

睡眠に関わる問題は多角的にアプローチする必要があると、研究に参加していない米ワシントン州立大学のルチア・ペイソト助教授もこう言います。

「睡眠時間だけでは、不眠症の兆候とは言えません。
マウスモデルを使った研究で、睡眠時間の短縮が見られるとしても、それは非常に緩やかなものです」

また、データベースには、メラトニンのサプリメントや夕方に画面を見ないようにするなど、参加者の家族がよりよい睡眠を促すために行ったかもしれないアプローチについての情報は一切含まれていません。

「科学的研究に参加するほど熱心な親は、子どもの問題に対して(他の親よりも)積極的かもしれません」

そうジョンゲン准教授は言います。

概日リズムと不眠症の遺伝子が、睡眠とは関係ないところでも自閉症に関与している可能性があります。
概日リズムは、認知やホルモン分泌を含むあらゆるプロセスを制御しているとテスファイ研究員は言います。

「遺伝子レベルでの概日リズムの乱れは、表現上、睡眠以外の何かと関連しているのかもしれません」

実際、不眠症リスク遺伝子は、脳の視床下部(睡眠を司る部分)では発現が弱く、他の領域ではより強く活性化されていることが、今回の研究で明らかになっています。

また、概日リズムの機能不全は、分子レベルでも自閉症と関係している可能性があります。
これまでに発表された研究で、概日リズム機能と自閉症や精神疾患に関与するmTORシグナル伝達との相互作用が指摘されているからです。
不眠症に関連する遺伝子変異は、睡眠行動よりも精神医学的特徴と強く関連しているとテスファイ研究員は言います。

「遺伝子は多面的であり、厄介です。
遺伝子は複数の異なる形質に寄与しているのです」

米カリフォルニア大学ロサンゼルス校の精神医学および生物行動科学のクリストファー・コルウェル教授は、客観的な睡眠の測定法がなければ、確かな結論を出すことは不可能だと言います。

「親の報告は主観的で問題がある」

今回の研究を行った、ビーチ助教授も同意します。

「親は、子どもがある時間に寝て、ある時間に起きると言いますが、それは、子どもが眠りに落ちるまでにかかった時間や、それがどの程度断片的であるかを捉えているわけではありません」

「自閉症でない人」の客観的な睡眠不足と遺伝子変異を結びつけた研究では、アクチグラフ(動きを感知する腕時計)が使われています。

しかし、自閉症の人ではそれを使うことは難しいとビーチ助教授は言います。

「感覚的な問題をかかえる人が、何日間も続けて睡眠を測定するために、装置を身につけるのは難しいのです」

(出典:米SPECTRUM)(画像:Pixabay

うちの子も小さな頃は本当に眠りませんでした。

子どもが眠らなければ、親もなかなか眠ることはできません。

中学生になった頃から薬を飲むようになり、よく眠っています。

私もよく眠れるようになりました。

自閉症の子と家族にとって、睡眠の問題は本当に深刻です。

発達障害の子ども向け安全ベッドで家族全員も安心し眠れるように

(チャーリー)


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