- 自閉症スペクトラムと診断された幼児に対する療育は、3歳の誕生日までに実施されると社会的コミュニケーション能力にどのような影響を与えるのか?
- パスウェイズ療育の特徴や指導内容はどのようなものか?
- 早期診断と早期療育が自閉症幼児の社会的スキル向上にどのような重要性を持つのか?
米テキサス大学ダラス校の新しい研究によれば、自閉症スペクトラムと診断された幼児に対する療育は、3歳の誕生日までに実施された場合にのみ社会的コミュニケーション能力の有意な改善をもたらし、早期診断の必要性を明確に示しています。
この研究結果は”Journal of Autism and Developmental Disorders”誌に掲載されました。
自閉症と診断された文化的に多様な67人の子どもたちを対象に、パスウェイズ早期自閉症療育で比較し、評価しました。
パスウェイズ療育は、保育者が子どものリードに従うこと、待ち時間を使うこと、気が散ることや要求を制限すること、対面でのポジショニング、相互注視、アニメーション、模倣を行うことを指導しています。
自閉症の乳児では生後2ヶ月から6ヶ月の間に衰え始める相互注視を用いることが、パスウェイズ療育が他とは大きく異なるところです。
パスウェイズ療育が相互注視に注目するのは、それが定型発達児の初期の相互作用に不可欠な要素であり、社会的脳ネットワークを活性化させる可能性があるからです。
米テキサス大学行動脳科学部コミュニケーション障害キャリアセンターの言語聴覚科教授であり、本研究の責任著者であるパメラ・ロリンズ博士はこう言います。
「この親を介した療育は、出生から3歳までの子どもたちで成功を収めています。
今回、3歳の誕生日前後の子どもたちを対象にパスウェイ療育を行い評価したところ、3歳未満では大きな社会性発達の効果がありましたが、翌年になるとあまり期待できなくなることがわかりました」
パスウェイズ療育は、2010年に米テキサス州北部の言語聴覚士と教育診断士によって、テキサス州のサービス提供モデルや出生から3歳までの早期療育プログラムのガイドラインに合うように特別に開発されたものです。
過去5年間にわたるロリンズ博士の先行研究の結果、パスウェイズ療育は現在テキサス州の3分の2以上の郡の早期療育プログラムで使用されています。
「パスウェイズは、前後関係を重視し、子どもの目を見ることで、社会的志向性(子どもが自分を見ている人を見るようになること)を促進します。
それができるようになってから、共同注意のような、より成熟した社会的スキルに進めます。
言語に取り組む前に、子どもたちが言語をサポートする社会的スキルを持っていなければ、それは水の上に家を建てるようなものです。
私たちの研究によると、社会的スキルに取り組むことは、言語の下流に影響を及ぼしますが、言語だけに取り組んでも、必ずしも社会的向上が得られるわけではありません。
言葉だけでは十分ではないのです」
論文の共著者である言語聴覚科学博士課程の学生はパスウェイズ療育を受けた研究参加者は、通常のサービスを受けた子どもたちよりも社会的スキルが向上したものの、年齢によってその効果は大きく違ったと述べています。
「3歳未満の子どもたちでは、改善効果は大きなものでした。
しかし、3歳以上の子どもでは、効果は小さく、統計的有意差には至りませんでした。
また、パスウェイ療育は言語を対象としたものではないので、とても興味深い発見でした」
なお、この研究結果は、自閉症児(通常3~4歳の間に診断される)を早期に発見することの重要性を強調しているものの、療育を行うのに遅すぎるということはないと述べています。
ロリンズ博士は、社会性の発達と相互作用が、自閉症の中核的な課題であると述べています。
「私たちは、社会的スキルの向上が言語の向上につながることを明らかにしてきましたが、言語の向上だけでは、必ずしも社会的な向上が得られるとは限りません。言葉だけでは十分ではないのです」
(出典:米テキサス大学ダラス校)(画像:Pixabay)
述べられているとおり、「療育を行うのに遅すぎるということはない」です。
うちの子と家族が笑顔で過ごせてこられたのも療育があったおかげです。
(チャーリー)