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成人後に自閉症と診断された人は精神疾患の併発可能性2.7倍

time 2022/09/21

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成人後に自閉症と診断された人は精神疾患の併発可能性2.7倍
  • 自閉症が成人期に診断された場合、幼少期に診断された場合と比べて、精神疾患を報告する確率はどれくらい異なるのか?
  • 自閉症が成人期に診断された個人は、どのような精神疾患を持つ可能性が高いのか?
  • 自閉症の成人が精神疾患と診断されることが多い要因は何か?

大人になってから自閉症と診断された人は、幼少期に診断された人に比べて、精神疾患を持つことを報告する確率が約3倍になることが、新しい研究で明らかになりました。

「小児期と成人期とで、診断を受けた人の経験はかなり異なる可能性があります。」

今回の研究を行った、米ラトガーズ大学の成人自閉症の主任研究者ヴァネッサ・バル博士はそう言います。

「成人の自閉症の人の結果を報告する研究は、診断がいつ行われたかを知らなければ、その結論が不完全になることが示唆されます」

この研究に関与していない米オハイオ州ネイションワイド小児病院の心理セクション主任で、同院の児童発達センターのエリック・バッターディレクターはそう言います。

自閉症成人の研究では、後年になってから判明した人たちを対象とすることが多くなっています。
これは、自閉症の診断基準が拡大したことと、オンライン調査によって研究者から遠く離れた場所に住む参加者が容易に参加できるようになったことが一因です。

しかし、これらの成人が、人生の早い時期に自閉症と判定された人と比べてどうなのかについては、ほとんどわかっていませんでした。

今回の研究では、Simons Powering Autism Research Knowledge(SPARK)プロジェクトで得られた自立した自閉症の成人4657人(うち女性2826人)のデータを用いました。

そのうちの21歳以上で自閉症と診断された2210人は、幼少期に自閉症と特定された人よりも、気分障害、不安障害、人格障害、摂食障害を併発する可能性が2.7倍高いことがその結果わかりました。

また、成人期に診断された人たちは、生涯にわたりより多くの精神疾患も報告しています。

小児期に自閉症と診断された人たちでは平均2.8だったのに対し、平均3.2となっていました。

「これは、他の疾患と誤診されたためか、あるいは、それらの診断(例えば、不安症、うつ病)が、小児期、青年期、それ以降を通じて適切に自閉症の診断がされないまま生活した影響なのかどうかはわかりません。
おそらく、その両方が要因でしょう」

そうバル博士は言います。

この研究調査結果は、精神疾患を併発した自閉症の人の早期診断を可能にするために、診断ツールとプロセスの改善が必要であることを示唆していると、この研究に関与していない米バージニア大学のノバルティス米国財団教育教授、マイカ・マズレックは述べています。

「子どもや青年がその時期に診断を受けない場合、彼らは適切なサービスと彼らのユニークなニーズに合わせたサポートを受ける機会を失います。
また、自己理解と他の自閉症の人とのつながりを構築する機会を逃し、負の精神的健康リスクが高くなります」

今回の研究は、自閉症の成人に精神疾患が多いことを明らかにしたこれまでの研究結果を支持するものです。
平均して、自閉症の成人は3つの精神疾患を有し、女性は男性よりも1.7倍、摂食、不安、感情障害などの疾患を併発する可能性が高くなっています。
この結果はAutism Research誌に掲載されています。

「自閉症の成人が直面している精神衛生上の危機がわかるものです。
小児医療だけでなく成人医療においても、あらゆるレベルのメンタルヘルス分野でより多くの自閉症に関するトレーニングが必要です」

そうバル博士は指摘します。

「多くの医療従事者は、能力不足を感じており、自閉症の成人を顧客とすることに消極的です。
自閉症はしばしば専門分野とみなされ、診断や治療のトレーニングに組み込まれていません」

マズレック教授もそれに同意します。

「自閉症の成人のニーズに応えることのできる精神衛生の専門家がとても求められている状況です」

今回の研究の対象となった自閉症の成人の80パーセント以上が何らかの精神衛生の障害の既往があることに言及しています。

「最近になって自閉症と診断された成人は、かかえている葛藤や適応の困難を自閉症のせいだと考え、他の心理的障害の併発する徴候や症状を最小限に考えるのかもしれません。
しかし、自閉症スペクトラム障害と診断された後でも、併発する症状の治療へのアクセスは優先されるべきです」

これらの知見が一般的な自閉症成人に当てはまるかどうかは、今回の研究に参加した人たちが北米に限られていて、70パーセントが白人で、男性よりも女性が多いこともあり、まだ不明だと今回の研究を行ったバル博士は言います。

「より多様な参加者で調査する必要があります。
理想的には、精神医学的診断のタイミングを記録できる集団で、自閉症の誤診や見逃しがこれらの問題を引き起こすかどうか、どのように引き起こすかを調べる必要があります」

(出典:米SPECTRUM)(画像:Pixabay

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(チャーリー)


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