- 自閉症は食生活の見直しや栄養療法で治るのか?
- 自閉症を治す方法は存在するのか?
- 栄養と自閉症の関連性についての研究はどのような結果を示しているのか?
オーストラリアの自然療法士がFacebookのビデオで、子どもの自閉症は食生活の見直しを含む治療で「治る」と主張しています。
この主張は誤りです。
自閉症を治す方法はありません。
そして、栄養と自閉症の症状との関連性についての研究は、結論が出ていません。
元医師のロビン・コスフォードは動画でこう主張しています。
「多くの人々は、今でも、自閉症は不可逆的であると考えています。
しかし、それは真実ではありません。
ほとんどの場合、正しい栄養生化学、食事療法、その他の関連療法を行えば、このような子どもたちを正常な状態に戻し、生活や機能を回復させることができます」
自閉症スペクトラム(ASD)の専門家や支援団体は、単に「治す」ことができるという考えは正しくないと指摘します。
西オーストラリア大学で自閉症研究を行い、オーストラリア自閉症研究協会の会長でもあるアンドリュー・ホワイトハウス教授もこの主張は誤りであると述べています。
「自閉症の子の発達と健康をサポートするために食事療法や治療法は重要です。
しかし、自閉症は治ると主張するのは誤りです。
自閉症は遺伝が関わるものであり、脳の発達に違いが生じます。
食事やその他の要因が自閉症を治すことができるという証拠が見つかっていないのではなく、ありえないのです」
豪フリンダース大学の自閉症専門家であるロビン・ヤングも、自閉症は管理できるものではあるものの、治せるという主張は誤りであると述べています。
「自閉症は治るものではありません。
自閉症が人に与える影響は、それが否定的なものである場合、サポートによって最小限に抑えることはできる可能性があります」
オーストラリア最大の自閉症の人向けの支援サービスを提供するAutism Spectrum Australiaは、これら専門家の意見に同意しています。
「自閉症から子どもを治すことができる生物医学的治療やその他の治療法は証明されていません」
米国立小児保健発達研究所、メイヨークリニック、ジョンズ・ホプキンス全児童病院、ハーバード大学医学部などの医療機関も、自閉症を「治す」方法はないと指摘しています。
Pediatrics誌が2019年に発表したメタ分析では、食事が一部の自閉症症状を管理する役割を果たす可能性があるものの、その効果は小さく、研究結果は「ASDの治療としての非特異的な食事介入」は支持しないとしています。
なお、2017年に同誌に掲載された研究では、「ASDの子どもに対する栄養補助食品または食事療法の使用を支持する証拠はほとんどない」と指摘しています。
2022年のNutrients誌のレビューでは、栄養とASDの関係に関する研究結果は「まばらで結論が出ておらず、したがって確固たる結論は導き出せない」と結論づけています。
「現在、栄養と小児期のASD症状との関係を示す証拠は不十分であり、実用的な栄養ガイドラインを提供することは不可能である」
そう、2022年の研究は述べています。
オーストラリアの自閉症CRC(共同研究センター)は、スペクトラムの子どもを支援する可能性のある介入方法を挙げています。
行動的介入、感覚に基づく学習、技術に基づく支援、人間と動物の相互作用、認知行動療法などです。
(出典:豪AAP FACTCHECK)
日本でも同様の主張をタイトルにする本を目にします。
食事や栄養は誰にとっても重要です。それ以上でもそれ以下でもありません。
(チャーリー)