- 自閉症の女性のトラウマについての研究はなぜ少ないのですか?
- 自閉症の人たちはPTSDになりやすいのでしょうか?
- 自閉症の早期診断がトラウマの予防に役立つのでしょうか?
自閉症スペクトラムの初期の研究の大半は幼児を対象としたもので、そのほとんどが男の子についてでした。
2000年以前の自閉症の成人の生活に関する研究を見つけることは難しく、自閉症の成人女性の研究を見つけることは事実上不可能です。
自閉症の女性として、私は自閉症の成人の生活の質が何十年も無視されていたことを知り、悔しい思いをしています。
その結果、いくつかの重大な問題が発生し、それが今になって明るみに出てきているのです。
そのひとつが、深刻なトラウマを抱え、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の診断基準を満たした自閉症の女性がとても多いことです。
自閉症の女性たちと仕事で関われば関わるほど、この相関がわかります。
自閉症をかかえる私のクライアントの多くが、何らかのトラウマをもっています。
これは性別に関係なく、私の自閉症のクライアント全員に当てはまります。
女性のクライアントについてはほぼ100パーセントです。
多くは、何度もレイプされたり、性的虐待を受けたりしています。
対処しなければならない、大きな問題だと実感しています。
この傾向に関連する研究を簡単に調べてみると、それほど多くの研究があるわけではないことがわかりました。2021年の研究では、自閉症の成人687人のうち、72パーセントが性的暴行、その他の望まない性的体験、身体的暴行を経験し、45パーセントがPTSDを患っていることが示されました。
また、自閉症のシスジェンダー女性は、PTSDの基準を満たす可能性が有意に高いことも示されました。
2020年の研究では、自閉症の人たちがトラウマとなる出来事を経験するリスクの増加を示しています。
そして、このことがほとんど全く研究されていないと指摘もしました。
この研究では、自閉症の成人は一般の成人よりも32パーセントPTSDになりやすいことも示されました。
もちろん、どちらの研究も、とくに出生時に女性を割り当てられた人たちを調べたわけではありません。
2021年に、私はこの現象を見るために小さな研究を行いました。
最初の参加者は、Facebookグループから募集した神経多様性の女性たちです。
研究への参加の対価として、無料の自閉症検査を提供しました。
12人の女性および出生時に女性に割り当てられた人だけが研究に参加しました。
この研究はいくつかの段階を経て、5ヶ月間にわたって行われました。
私たちのリソースが限られていたため、この結果に基づいて統計的に有意な結論を出すには、十分なサンプルサイズを確保することができませんでした。
また、比較対象となる自閉症でない人たちや自閉症の男性の参加もありません。
しかし、この研究結果は、議論するのに十分なものであり、さらなる研究が必要であることを示すものです。
参加者は、トランスジェンダーの男性やノンバイナリーの参加者を含む、出生時に女性を割り当てられた女性たちです。
自閉症についての診断テストとPTSDについての診断テストを受けてもらいました。
そして、出生時に女性に割り当てられた、自閉症の人としての経験について、一連の質問にも回答してもらいました。
その結果、自閉症の診断基準を満たした12人中11人が、PTSDの診断基準も満たしていました。
91.6パーセントが身体的・精神的虐待、レイプ、近親相姦、トラウマの既往歴がありました。
この時点で、なぜ私たちはこのことをもっと話題にしないのだろう、と問わねばなりません。
なぜ、人々はこの問題を知らないのでしょうか?
自閉症を意識する日や月、キャンペーンがあるのに、なぜ私たちはこのことを意識しないのでしょうか?
自閉症の女性が過小診断されたり、診断が遅れたりすることは広く知られるようになりました。
また、自閉症の女性は、自分たちの経験が専門家に理解されておらず、女性は必要な助けを見つけることが困難であると報告していることも広く受け入れられています。
最近のいくつかの研究では、自閉症の成人は自殺による死亡率が極めて高いこともわかっています。
私たちは、自閉症の子どもたちについては多くを語り、学校や親が彼らの行動に対処するのを助ける方法について話します。
しかし、その自閉症のかつての子どもたちが、トラウマに次ぐトラウマを経験していくのです。
私たちのほとんどは、これが大きな問題であることさえ知りません。
自閉症の行動を隠すように教えられた自閉症の子どもたちが、助けを必要とするときにコミュニケーションの仕方さえ知らないほど上手に隠すことを学んだ自閉症の大人に成長することを、私たちは知らないのです。
私たちが前進しなければならないのは、この点です。
研究者として、専門家として、家族として、そして社会として、私たちの仕事を始める必要があるのはこの点なのです。
私たちは、他人を幸せにするために、自閉症の人たちを普通に振る舞えるようにし、仮面をつけ、カモフラージュし、自然な行動を隠すことを教える必要がある子どものグループとして見るのをやめなければなりません。
自閉症の人たちは、コミュニケーションし、立ち上がり、幸せでトラウマのない人生を送る権利を求めて戦うことを教える必要がある子どもや大人のグループとして見始める必要があるのです。
私が持っている相関データは、因果関係のある結論を出すには力不足であることは分かっています。
しかし少なくとも、私たちが知っておくべき、そして話すべきデータであるとは言えます。
自閉症の人たちのPTSD発症率がとんでもなく高いという研究データについて、私たちは話題にするべきです。
これらのデータについて、私たちは問うべきことがあります。
自閉症の早期診断がトラウマの数を減らすのに役立つかどうかを問うべきです。
自閉症の子どもたちのためにもっと良い治療法がないか、自閉症の行動をカバーするために教えることよりも、安全で幸せになるために教えることにもっと焦点を当てた支援方法をデザインできないか、と問うべきなのです。
ジェシカ・ペノット
Tree of Life Behavioral Health創設者兼ディレクター
(出典:米Psychology Today)(画像:Pixabay)
知りませんでした。
しかし、想像がつきます。
現実をよく把握し、適切な支援につながることを願います。
(チャーリー)