- 音楽は自閉症スペクトラム障害の人にどのように影響するか?
- 自閉症スペクトラム障害の人のコミュニケーションに音楽がどのように役立つか?
- 音楽を通じたコミュニケーションが子どもたちや感覚の問題を抱える子どもたちにどのような効果があるか?
ダニエル・フィリッポンの息子エリックは、1歳半までは「ママ」と呼んでいました。
「しかし、息子は突然後退し始め、息子は集中することもできなくなり、名前にも反応しなくなりました。
何もかもがうまくいかない感じでした。イライラしていました」
ダニエルは、息子が自閉症スペクトラム障害(ASD)であり、コミュニケーションや自己表現の能力に影響があることがわかりました。
米セントラルオハイオ小児科行動医学の小児心理学者のパーカー・L・ヒューストン博士は、ASDが個人に与える影響のレベルは人それぞれ大きく異なり、コミュニケーションへの影響が大きいと述べています。
「ASDと診断された人の中には、コミュニケーションが上手で、語彙が豊富な人もいれば、言葉によるコミュニケーションが全くない人もいます」
ダニエルはキッチンでの出来事で希望をもちました。
息子のエリックが、うなり声を出して注意を引こうとしたのです。
「息子は指差しの仕方を忘れ、身振り手振りもありませんでした。
カウンターの上に何を置いて欲しいのかどうか、私にはわかりませんでした。
私たち二人は、お互いを理解することができず、悔しくて泣き崩れました」
ダニエルは鼻歌を歌いました。
すると、それがきっかけでエリックはダニエルの顔を見たのです。
「その時、見たんです。
そうすることで、エリックは私に集中し、カウンターにあるものを見せて、エリックが欲しい水を見つけると、体を前に倒して、水が欲しいということを表現しました」
それ以来、食事の時間、お風呂の時間、遊びの時間、寝る時間など、家の中で行うすべてのことに歌を作り、エリックは何を期待されているのかがわかるようになりました。
そして、エリックが3歳になるころに、再び「ママ」と言うようになりました。
「ママと言うようになりました。
その言葉を聞いたときは、人生でいちばん幸せな日でした。
それからというもの、エリックはどんどん言葉を発するようになったんです」
米ジョージア大学自閉症・行動教育研究センター共同ディレクターのケビン・エアーズ博士によれば、音楽のパターンや繰り返しが、自閉症の人が会話のギブアンドテイクをよりよく理解するのに役立つといいます。
「歌は、適切な指示のモデルになるものです。
特に子どもの歌は、簡単に思い出すこともできます」
エアーズ博士はまた、音楽によって言語のモデル化などのトレーニングになり、コミュニケーションを楽しく学ぶことが、親と子どものコミュニケーションに役立つと述べています。
これは、エリックを見れば事実であることがわかります。
現在8歳ですが、今も音楽を使ってコミュニケーションや学習をしています。
「今、私たちは一緒に楽しく歌を作っています。
学校で韻を踏むことを学んでいるので、歌を作って言葉を韻を踏むゲームをしています」
そう母親のダニエルは言います。
ダニエルの祖母は、1940年代から50年代にかけて、オフブロードウェイでオペラ歌手として活躍しました。
祖母の舞台を見ることはできませんでしたが、レコードで祖母の歌を聴いていました。
さらに、祖母だけでなく母親も歌手でした。
「だから、歌はいつも家の中にありました。
2人からたくさんのことを学びました」
小学校では合唱団に、高校ではミュージカルに出演し、プロとして歌いたいという思いはあったものの、看護師になりました。
2020年、米ニューヨークにあるノースウェル・ヘルス社が、第一線で活躍する看護師にバーチャルな「ノースウェル・ヘルス看護師合唱団」のオーディションを呼びかけました。
この合唱団は、新型コロナウィルス感染拡大の期間中に希望と忍耐のメッセージを広めるために結成されました。
「歌うことはとても気持ちのいいことだと思うし、COVIDの最中、マスクの奥の自分の顔を認識することができないので、自分を励ます何かが必要でした」
そうダニエルは言います。
母親からの励ましもあり、30秒の歌の映像を送ってオーディションを受けました。
すると、なんと50人の看護師の一人に選ばれました。
最初のパフォーマンスは、NBC Peacock Thanksgiving 2020で初公開された「Nurse Heroes Live」でした。
これまでに1000万世帯以上が視聴しています。
ダニエルが所属する合唱団は人気テレビ番組にも出演し、ホワイトハウス、マディソン・スクエア・ガーデン、カーネギーホール、ブロードウェイで公演を行いました。
さらに、タイム誌のパーソン・オブ・ザ・イヤー賞なども獲得し、複数のプロスポーツ・イベントにも出演しました。
そして、ダニエルは担当する患者さんのためにも歌を歌い、同僚から「歌う看護師」と呼ばれるようになりました。
入院中の患者からのリクエストに応えることもあります。
「麻酔をかけるときに歌ったりします。
歌うことで、患者さんはより快適になり、一緒に頑張ってくれているんだという気持ちになるそうです」
とくに、特別支援を必要とする子どもや感覚の問題をかかえる子どもに、歌っています。
「親に好きな番組を聞いて、その番組の歌を歌い始めると、子どもが私に集中します。
それを見る親に、私には自閉症の息子がいて、歌が助けになっていることを話しています」
歌、子育て、看護のスキルを組み合わせることは、彼女にとっては思いもよらないことでした。
「音楽と歌は、どこか押入れの中にしまっておかなければならないような気がしていました。
しかし、もうそんなことはありません。
素晴らしい男の子のママでありながら、大好きな2つのこともできてるんです」
(出典・画像:米healthline)
うちの子も小さなころから音楽は大好きです。
私の好きな曲ばかり聞いてきたので、音楽の好みは私と同じようです。
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(チャーリー)