- 自閉症の女性は精神疾患を発症するリスクが高いですか?
- 特に自閉症女性に対する精神保健サービスの必要性はありますか?
- 自閉症と精神疾患の関連性について何が分かっていますか?
デンマークのデータでは自閉症女性の22パーセント以上が25歳までに精神疾患で入院しています。
この割合は自閉症でない女性の5倍、自閉症男性の約2倍になります。
スウェーデンにあるカロリンスカ研究所の医療疫学・生物統計学の大学院生、ミリアム・マルティーニは「これはかなりショッキングな数字です」だと言います。
ミリアムは2022年国際自閉症研究会年次総会で、この研究結果を発表しました。
デンマークの健康登録簿を用いた2021年の研究では、16歳までの自閉症の人約16000人のデータを分析しました。
今回の研究では、25歳までの女性について同じことを行いました。
多くの精神疾患が初めて診断される若年成人期の重要な時点を捉えたものです。
この研究のデータは1985年から1997年の間にスウェーデンで生まれた約130万人の中から得られたものです。
このうち約21000人が自閉症で、さらにそのうちの約7100人が女性です。
研究者らは、Medical Birth Register(出生時医学登録)、National Patient Register(全国患者登録)、Prescribed Drug Register(処方薬登録)などの複数のデータベースのデータから、不安やうつ、睡眠障害や自傷行為まで、13種類の精神科診断について調査しました。
その結果、25歳までに、自閉症女性の60パーセント以上、自閉症男性の約45パーセントが精神疾患と診断されたことがありました。
自閉症でない女性や男性では、この値はそれぞれ約14パーセント、9パーセントです。
出生年、注意欠陥・多動性障害や知的障害の併存を考慮しても、自閉症の男女はそうでない男女に比べて、何らかの精神疾患で入院する可能性が有意に高いことがわかりました。
「精神科への入院が、自閉症者、特に自閉症女性において、より一般的であることがわかりました。
その前兆は何なのかを特定することができればいいと考えています。
そして、今回の研究結果から特に自閉症の女性に対する精神保健サービスの拡充の必要性が示唆されます」
適切な支援がなされ、少しでも過ごしやすくなることを願います。
(チャーリー)