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「移民」の子は自閉症である可能性が7倍。ノルウェーの研究

time 2022/06/02

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「移民」の子は自閉症である可能性が7倍。ノルウェーの研究
  • 移民の母親から生まれた子どもの自閉症リスクが平均より高いのはなぜか?
  • 自閉症の子どもに対する過剰診断と過小診断の可能性は?
  • 移民の背景を持つ子どもの自閉症診断における今後の課題は何か?

少数民族出身の幼児が自閉症になるリスクは平均以上。
そう、ノルウェーでは以前から指摘されていました。

ノルウェーの聖オラフ病院の研究者たちが今回、調査研究を行いました。
ノルウェー中央部に位置するソール=トロンデラーグ郡の自閉症スペクトラム(ASD)と診断された2歳から6歳の子ども142人を対象にしたものです。

その結果、移民の母親から生まれた子どもは、ノルウェー生まれの母親から生まれた同世代の子どもに比べて、自閉症の症状を示す確率が最大で7倍にもなったことが判明しました。

さらに、外国生まれの母親がノルウェー国内で妊娠・出産した子どもは、より重度の自閉症の症状を発症するリスクが平均より高くなっていました。

研究チームによれば、これらの傾向の要因は不明です。
しかし、今回の調査結果は、母親が「移民」であるという背景が、子どもの認知発達に何らかの影響を与える可能性を示唆しています。
移民であることは、これまで考えられていたよりも重要な自閉症の危険因子である可能性があります。

自閉症の典型的な兆候として、コミュニケーション障害、社会性の欠如、反復的行動、強いこだわり、などが挙げられます。
ノルウェーでは世界の他の多くの地域と同様に、自閉症と診断される子どもの割合が、ここ数年で驚異的に増加しています。
数十年前までは、この診断は最も明らかなケースにのみ適用されていましたが、自閉症の定義が拡大され、知的能力の範囲を超えて社会的相互作用に困難を抱える人々が含まれるようになったことが主な原因です。

ノルウェーは他国と比較して、乳幼児医療に関するプログラムが非常に充実しています。
社会経済的、民族的背景に関係なく、5歳までの幼児の発達をモニタリングしています。
そのため、例えば、2~4歳で話すことが困難な子どもがいた場合にはフラグを立て、その後、自閉症の診断を行うことができます。

「この点は、他国の類似研究と比較して、私たちの研究の強みです。
財政や親の資力は、子どもの検査が行われることに関係がありません」

そう、今回の研究を行った聖オラフス病院のアンネ・リセ・ホイランド主任医師は言います。

本研究では、2016年から2019年の間に自閉症と診断された142人の子どもの匿名化された記録を分析しました。

研究者チームは、ノルウェーに移住した親たちの子どもの0.74パーセントが自閉症と診断されたのに対し、母親がノルウェー人の子どもはわずか0.1パーセントであることを発見しました。
また、自閉症診断テストでも、ノルウェー人の母親から生まれた自閉症の子どもは15.3点であるのに対し、母親が外国人の子どもは平均19点と高い点数になっていました。

この7対1の比率は、控えめに考えても不可解です。

移民の母親から生まれた子に対する自閉症の過剰診断、ノルウェー人の母親から生まれた子どもに対する自閉症の過小診断、あるいはその両方である可能性が示唆されます。

しかし、研究チームによれば、移民の母親から生まれた子どもの自閉症のリスクが高いことも、彼らの症状がより深刻である理由も他の説明ができると指摘しています。

2009年に行われた40の異なる国際的な研究のメタ分析では、小児自閉症のリスクに影響すると考えられる出生前の要因が30近く特定されています。

長子であること、妊娠糖尿病の母親がいること、胎内で薬、特に精神医薬に曝露されていることなどが挙げられています。
そして、外国で生まれた母親を持つこともそのリストに入っています。

スウェーデンの自閉症の子どもたち約5000人のデータを分析した別の研究もあります。
5人に1人の子の親はスウェーデン以外の国で生まれ、そのほとんどがアフリカ、西アジア、北欧の出身でした。

その結果、知的障害を伴う自閉症の割合が、資源の乏しい国からスウェーデンに来た親の子どもで高くなっていることがわかりました。
例えば、スウェーデン生まれの両親を持つ自閉症の子どもたちと比較して、両親がサハラ以南のアフリカで生まれた子どもたちでは、知的障害を伴う自閉症の割合が2倍になっていました。

自閉症は、遺伝を含むさまざまな要因が複合的に作用している可能性が高いと考えられています。

しかし今回の研究結果は「移民」が自閉症のリスクを高める上で、これまで考えられていたよりも重要な役割を担っている可能性を示唆しています。

なぜ移民が自閉症のリスクを高めるのかは、現時点ではまったく不明です。
さらなる研究が必要です。

移民であることが母親に与えるストレスが、後に子どもの発達に影響を与えるような免疫学的な影響を与える可能性があるのかもしれません。
また、特に北半球に移住したアフリカ系の母親はビタミンDが不足していることも考えられます。

現在まで、自閉症に関する研究のほとんどは、主に白人の中流家庭を対象としています。
自閉症の子どもは、早期に診断され、質の高い治療を受けることが重要です。
そのため自閉症の診断に関しては、移民の背景に今後、より注視する必要があると考えられます。

この研究成果は、ノルウェー医師会の機関誌「Tidsskriftet」に掲載されています。

(出典:ルーマニアZME SCIENCE)(画像:Pixabay

「移民」

昨今の事情を考えれば、希望せずともそうせざるを得なかった方たちが少なくないはずです。

たいへんなご苦労もしているはずです。だからこそ、そうした影響もあるのかもしれません。

うちの子と、望まざるも外国で過ごさなければならなくなったらと想像し重ねると、涙が出そうです。

未来に向かって子も親も幸せに過ごしていくためには、正しい診断が必要です。さらなる研究、支援を願います。

ずっと街を見ていた発達障害の少年・戦争難民・支援:母の願い

(チャーリー)


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