- 自閉症の人たちが社会的相互作用で困難をかかえる理由は何か?
- 自閉症スペクトラム障害(ASD)において社会的スキルの課題は何か?
- 自閉症と他者との社会的スキルの違いは何に関連しているか?
自閉症の人たちは、世界との社会的相互作用を異なる方法で行っていることがあります。
社会的スキルがないわけではありません。
自閉症スペクトラム障害(ASD)の症状は、人それぞれことなります。
しかし、社会的相互作用の一部である、コミュニケーションの取り方や人間関係の築き方などは、多くの自閉症の人が困難をかかえます。
研究によれば、私たちのコミュニケーションの約60〜65パーセントが、言葉ではない非言語的行動を通じてされていると推定されています。
コンサルタントのソニー・ジェーンは、かつて自閉症の人たちは社会性に欠けると考えられていたものの、社会性が違うだけだという最近の研究結果について話します。
「自閉症であることが社会性に影響を与えるということではありません。
自閉症であることは、理解され、適応される必要のある、異なる社交方法を持つことを意味するのです。
多くの場合、私たちが社会的スキルとして見ているものは、視線を合わせることや世間話をすることのような神経質な期待や規則です」
社会的規範とは、一般的に社会や文化が「普通」とするものを指します。
誰もが自動的にこれらの不文律を理解し、遵守することが期待されており、「規範」から逸脱することは「異常」とみなされる可能性があります。
社会規範には文化的な縛りがあり、異なる文化圏の人々は独自の規範を持つことがあります。
ある国で社会的規範とされていることが、別の国では社会的規範に反する場合もあります。
例えば、アメリカでは、視線を合わせないことは、回避的、神経質、奇妙と解釈されることが多いようです。
自閉症の人たちはしばしばアイコンタクトを避けるので、自閉症でない人たちは彼らの行動が “規範 “に反していると解釈するかもしれません。
自閉症、発達障害でない人が当たり前に考えている社会的相互作用やスキルには、次のようなものがあります。
- 世間話
- 皮肉という概念
- 社会通念上のマナー
- 言語的、非言語的な合図を使ったコミュニケーション
自閉症の人たちは、自閉症でない人たちとは異なる方法で、自閉症でない人たちの世界と関わるためにそれは難しいものになります。
米国立精神衛生研究所によれば、自閉症の人たちはコミュニケーションにおいて次のような違いがあります。
相手の顔を直接見ない
自分の名前を呼ばれたり、注意を引こうとする言葉に対して、反応が遅い、または全く反応しない
進行中の会話についていけない、または違う話をしてしまう。
相手が自分の話に興味がないことに気づかない。
社会的スキルの問題を反映して、コミュニケーションに繰り返し起こる不具合の例として、「間接的コミュニケーション」という考え方があります。
これは、行間を読むという考え方に似ています。
つまり、実際には言わずに何かを言ったり暗示したりする方法です。
それは、相手が同じ考えを持っていることを期待するものです。
このコミュニケーションは、自閉症でない人にとっては当たり前のことであり、事実上、期待される社会的スキルとなっています。
しかし、自閉症の人たちは、もっと直接的な表現をする傾向があります。
それが相手に伝われば、社会的なコミュニケーションがより容易になることがあります。
ジェーンは、自閉症などでない人たちにおいて、この直接的なコミュニケーションの欠如が、自閉症の人とのコミュニケーションを難しいものにする結果につながっているかもしれないと言います。
異なる世界経験を持つ人同士が共感し合うことが難しいとする「二重共感問題」があります。
この理論は、自閉症の人とそうでない人の関係構築においてよくある複雑な状況を説明するものです。
他者の理解不足により、壁が双方に存在するのです。
自閉症の人だけが社会的相互作用の障害を経験するというのは、他罰的で不正確な視点です。
共感は、社会的な期待や私たちの考え方、行動、処理の仕方に依存する双方向のプロセスです。
他者の経験を理解することです。
世界の理解の仕方が異なる人たちの間では、どちらにとっても、コミュニケーションをとり、お互いを理解することは難しいかもしれません。
「自閉症でない人たちは、誰かが仲間とは異なるコミュニケーションをとるかもしれないことを認識することで、その人と仲間がお互いのコミュニケーションスタイルを理解できるように支援ができるようになります」
これには、自分の社会的規範の理解を相手に押し付けないこと、そしてアイコンタクト、スティミング、ぶっきらぼうな反応を受けた後に理解を促すようなリードを目指すことなどがあるでしょう。
社会的スキルや人間関係構築の課題への最適な対処法については、さまざまな見解があります。
米国立精神衛生研究所は、行動的、心理的、人間関係に基づくスキルの構築を支援する治療法を提案しており、以下の目標を持つプログラムがあります。
- ライフスキルの教育
- 挑戦的な行動の減少
- 社会性、コミュニケーション、言語のスキルの学習
- 長所を伸ばし、それを土台にする
ジェーンは、社会的スキルの違いへの対応として「治療」を強要することに反対しています。
これは、意図的ではなく、しばしば間接的ですが、自閉症の人たちを罰することにつながる可能性があると言います。
自閉症の人を支援する場合には、次のようなことに焦点を当てようと言います。
- 自己主張する
- 自己規制する
- 展望を持つ
- 他者との境界
- 問題解決スキル
臨床的介入や社会的スキルに基づいた治療を支持する人たちにも、それに限界があることは理解されています。
コミュニケーションに対する相手の理解を変えようとする介入では、強度が必要であること、そしてその結果、理解ではなく、安全性を保つため、あるいは周りに合わせるために「マスキング」をするようになるという事実があります。
それよりも、社会的な理解に焦点を当てるべきだとジェーンは言います。
「自閉症の人たちの社会的スキルよりも、自閉症でない人たちの社会的理解を促進し、教えるべきです。
そうすることで、自閉症の人は強制されずに、コンプライアンスやマスキングを自分で選択して、他の人と関わることができるようになれます」
(出典:米PsychCentral)(画像:Pixbay)
コミュニケーションは双方向です。
相手のコミュニケーションスキルについて一方的に文句を言う人こそ、コミュニケーションスキルに大きく難があります。
(チャーリー)