- 自閉症の子どもは、性別の多様性をどのように経験するのか?
- 自閉症の子どもが身体と性別の不一致をどのように認識しているのか?
- 自閉症と性の多様性に関する研究はどのような結果を示しているのか?
米ヴァンダービルト大学の研究者は、自閉症の子どもたちが、通常の発達をした子どもたちよりも、性別の多様性(個人が出生時に割り当てられた性別に関する社会的規範とは異なる経験をしている性別)が高く見られることを明らかにしました。
ブライス・コーベット博士とバンダービルト大学ケネディセンター研究員で精神医学行動科学の教授であるジェームズ・G・ブレイクモアが主導した研究では、10歳から13歳までの244人の子どもの性別多様性の経験について、自己申告と親による申告の両方を用いて評価しました。
対象者のうち140人は自閉症スペクトラム障害(ASD)、残りの104人は定型発達の子どもたちでした。
その結果、自閉症の子どもは定型発達の子どもに比べて、性別の多様性を経験する割合が非常に高く、二元的でない識別をする割合も高いことが医学雑誌「Autism」に報告されました。
また、自閉症の子どもの親たちは、自閉症の子どもの自己申告と同じように、子どもが経験した性別と身体の不一致を、定型発達児の両親より有意に多く記述していました。
興味深いことに、出生時に性別が決定された自閉症の女性の親は、出生時に性別が決定された自閉症の男性の親よりも、有意に多くの性身体不調和を報告しました。
これらの結果は、自閉症の子どもの性別の多様性が高いことを示した先行研究を発展させたものであり、性別の多様性を経験する自閉症の子どもがもつ特有のニーズを理解し支援することの重要性を強調するものだと、コーベット博士は述べています。
自閉症と性の多様性に関する先行研究は、研究者の理解の土台を築きましたが、その多くは親が報告する幅広い質問票の中のたった1つの質問に依存していました。
コーベット博士の研究は、国立小児病院の小児神経心理学者で、性別が多様な若者の評価とケアの必要性を専門とするジョン・ストラング博士とともに行われました。
ストラング博士は、親と子の2人からの報告を用いて、より厳密かつ明確に性の多様性を測定できるように設計しました。
コーベット博士はこう言います。
「私たちの発見は、自閉症の青少年におけるジェンダーの多様性と非二元論の経験の優位性を示す新たな文献を裏付け、拡張するものです。
重要なことは、自閉症とジェンダーの多様性を持つ人の中には、学際的なサポートが必要な高い精神衛生上の課題を持つ人がいることも示されていることです。
ジェンダーとニューロダイバーシティの共起は、特に複雑な社会的・政治的背景の中で、子どもとその家族双方にとって、より大きな心理的・感情的・臨床的・倫理的課題をもたらす可能性があることを知ることが重要です」
自閉症を持つグループと定型発達のグループとの研究において統計的に比較したところ、ジェンダー・プロファイルと不安、うつ、自殺傾向の症状との間に関連性が見られたことから、ジェンダー多様な若者の体験とニーズを理解することは非常に重要であるとしています。
自閉症とジェンダーの多様性や不一致の両方をかかえる子どもには、両方をサポートするためのサービスが必要かもしれません。
(出典:米ヴァンダービルド大学医学部)(画像:Pixabay)
かかえていることを正しく知り、幸せに過ごしていけるよう、必要な方に必要なサポートがされることを願います。
(チャーリー)