- 自閉症や発達障害を持つ人が、どんな仕事で成長するサポートを受けられるのか?
- 自閉症や発達障害を持つ人がSTEM分野での雇用機会を増やすためにはどうすれば良いのか?
- 自閉症や発達障害を持つ人が、社会で自分らしく活躍するためにはどんな支援が必要か?
米国銀行、JPモルガン・チェースの「オーティズム・アット・ワーク」プログラムのメンバーであるヘンリー・ディアーズはこう言います。
「私は世界をより良い場所にします。
大きな方法でなく、小さな方法で」
ヘンリーは作ることが大好きです。
JPモルガンのポストトレードテクノロジーチームに所属するイギリス在住のヘンリーは、プログラミングに夢中です。
若くしてアスペルガー症候群と呼ばれる高機能自閉症と診断されました。
プログラミングは、数字を計算し、パターンを見極め、プロセスを開発するため、ヘンリーの情熱に応えるものなのです。
コンピューターサイエンスの学位を取得し、英エクセター大学を卒業した後、約5年前にJPモルガンにAutism at Workプログラムを通じて入社しました。
このプログラムが、自分のスキルと仕事をマッチングさせ、結果的にビジネスを推進するのに役立ったとヘンリーは思っています。
「適材適所、適切なサポートを提供することが重要なのです。
J.P.モルガンと私は、お互いに良い出会いだったと思っています」
平たく言えば、自分の仕事は「モノを作る」ことで社員の時間を節約することだとヘンリーは言います。
税金に関わる一連のアプリケーションの拡張とサポートに携わっており、その大部分は、税申告書に関連する複雑な手作業のビジネスプロセスを自動化するものだそうです。
「巨大なものではなく、小さなものですが、世界をより良い場所にすることができます。
やりがいのある、意義のある仕事です」
しかしこれでも、ヘンリーの仕事を説明するのには、控えめな表現です。
ヘンリーは最近、自分のチームと協力して、簡素で保守性の高いコードを書くのに役立つフレームワークを作成しました。
また、会社の知的財産チームと協力して、このコンピュータコードライブラリの拡張版の特許を申請しています。
今では、ヘンリーはJPモルガンで自分の居場所を見つけたかのように見えるかもしれません。
しかし、最初は簡単には溶け込めなかったことを、ヘンリーは認めています。
自分が自閉症であったために、成長する機会を逃してきたとヘンリーは思い出します。
会話よりも数字を扱うことが好きだったため、社会的な問題に直面することも多くありました。
「こうしたことの多くは、自閉症の診断を受けた今なら完全に理解できることです。
でも、当時の人たちは、そういうことにどう対処したらいいのかわからなかったんです」
幸いなことに、ヘンリーには特別な支援をしてくれる先生や、時間をかけてサポートし、ヘンリーの長所や興味を発見する手助けをしてくれる人たちがいました。
「残念ながら、私のような自閉症の人間は、STEM分野での雇用が極端に少なく、存在感が薄いのです。
自分のスキルを見つけるために使えるインフラがあるとはいえません」
そこで、「オーティズム・アット・ワーク」のようなプログラムが役に立ちました。
発達障害等の人たちから有能な人を発掘し、適切な便宜を図り、ヘンリーのように成功できる支援システムを提供するものです。
ヘンリーは、入社早々、JPモルガン・チェースの産業保健部門とつながりができたことを思い出します。
そこで、さまざまな仕事上の便宜(英国では調整と呼ばれる)や従業員の服装規定などについて詳しく知ることができました。
また、産業保健カウンセラーを通じて、社会不安の解消に役立つものの必要性も認識することができました。
「今までの人生で初めて、自分らしくいられるようになりました。
若い頃と比べると、確かに状況は変わりましたね」
仕事の他にボランティアで、特別支援を必要とする生徒のために、学校でのコーディングイベントの運営に携わっています。
新型コロナの感染拡大により、このボランティア活動はしばらく休止していますが、イベントが本格的に再開すること、そして自分の専門知識を他の障がい者のために役立てられることを楽しみにしています。
アスペルガーや自閉症に対する、人々の先入観を払拭することがヘンリーの誇りとなっています。
「自閉症は広い範囲をカバーしており、だからこそスペクトラムと呼ばれるのですが、その違いは非常に大きいのです」
ヘンリー、自閉症によって他の人にはない多くの利点や機会も得てきたといいます。
「自分がその恩恵を受けているので、一人でも多くの人のために少しでも良くすることができれば、世界はもっと良くなるはずだと思っています。
それが私のすることです」
(出典・画像:米JPMorgan Chase & Co.)
世界に支店をもつ有名巨大銀行で、特許出願するようなプログラムを開発。
素晴らしいです。
こうした活躍をする人がいる、そうできる会社がある、すごく前向きになれますね。
世界最大銀行の情報保障最高責任者は発達障害。自閉症でADHD
(チャーリー)