- テーマパークが自閉症や感覚過敏などの異なるニーズを持つゲストに提供するサービスは何か?
- エルモのロッキン・ロケッツの点数システムはどのような基準で評価されているのか?
- テーマパークで働く従業員が受けるトレーニングの中で重視されている要素は何か?
米カリフォルニア州のセサミプレイス・サンディエゴは、あらゆる年齢の子どもたちに愛されるテレビシリーズでおなじみの顔や空間を再現しています。
そして、特定のゲストを念頭に置いて設計されています。
米フィラデルフィア近郊にあるオリジナルのセサミプレイスと同様、このテーマパークは自閉症センターとして認定されています。
アクセシブルな設備が役立つのは、自閉症のゲストだけではありません。
セサミプレイス・サンディエゴとシーワールド・サンディエゴの社長であるジム・レイクはこう言います。
「私たちは、それぞれのアトラクションがどのような体験を提供しているのか、誰もが理解できるようにするために、本当に特別な努力をしています」
エリシャ・クルーズは、自閉症で言葉を話さない10歳の息子アンジェロと17歳の娘アレーナと一緒に訪れる前に調べました。
「息子が来たがったんです。
セサミストリートは息子が見る唯一の、子ども向け番組です。息子のお気に入りの番組なんです」
パーク内のすべてのアトラクションには、感覚ガイドと、移動に不自由のあるゲストのためのアクセシビリティガイドが用意されています。
エルモのロッキン・ロケッツは、触覚3点、味覚1点、聴覚4点、嗅覚3点、視覚1点です。
それぞれ10点満点で、1点=低刺激、10点=高刺激となっています。
「感覚過敏や感覚を求める人など、一人ひとり違います。
特定の乗り物やアトラクションがより適しているかもしれません」
そう、同園の自閉症センター認定を支える資格認定団体IBCCESの代表、メレディス・テキンは話します。
「私たちがしたいのは、来場者が何を期待すればいいかわかっていて安心してその場所に行けるようにするだけでなく、自分自身で冒険を選択できるようにすることなのです」
スーパークッキーモンスターのマントを羽織り、風にそよぐアンジェロの笑顔が、それを物語っています。
「息子は本当に楽しんでいます」
そうエリシャは言います。
セサミストリートのキャラクターであるジュリアは自閉症です。
感覚過敏のゲストはジュリアに自分自身を重ね合わせることができるかもしれません。
ジュリアはファンには触れず、ぬいぐるみをしっかり抱きかかえ、時には人ごみから目をそらすこともありました。
2017年にセサミストリートと協力してジュリアのキャラクターを開発した、自閉症のための非営利団体Autism Self Advocacy Networkのアドボカシー担当ディレクター、ゾーイ・グロスはこう言います。
「自閉症スペクトラムの多様性を、理解することが重要 です。
自閉症は人によって見え方が違います。
自閉症とは思えないような行動をしていても、同じように配慮が必要な場合があります」
パークにいるすべてのキャラクターは、ゲストがハグが得意か、手を振るのが好きか、大胆なジェスチャーをせず、ただ存在感を示すのが好きかを察知するよう訓練をしています。
ゲストサービスで提供しているノイズキャンセリングヘッドホンを装着した子どもは、エルモやクッキーモンスターと記念撮影をしながら、自分の心地よい空間を保つことができました。
エルモは距離を取りながら、手を組んで楽しそうにあいさつをしていました。
「最前線の従業員へのトレーニングは本当に重要です。
指導者へのトレーニングはさらに広範囲に及んでいます」
そう社長のレイクは言います。
認定自閉症センターとして認定されるには、ゲストと接するスタッフの80パーセント以上が専門的なトレーニングを受けなければなりません。
「というのも、私たちが通常感じるのは、多くの人が役に立ちたい、親しみたいと思っていても、どうしたらいいかわからず、関わるのをためらってしまうからです。
私たちがしたいのは、そのような壁を取り除き、テーマパークの従業員が快適に仕事ができるようにすることです。
知識のギャップを埋め、自閉症の人の視点を提供し、より良い経験をするためのヒントを提供することです」
そう資格認定団体IBCCESのテキンは言います。
テーマパークは本来、人混み、騒音、明るい色、時には点滅する光など、強烈な感覚を伴う体験をし、見知らぬ人と何度も触れ合う可能性があるところです。
ここでは、騒々しさから解放されたい来場者は、静かな部屋に避難することができます。
レイクはこう言います。
「快適なはずです。
ビーンバッグチェアもあるし、ゲームもできる。
本当にリラックスするために脱力瞬間のようなものを持つことができ、その後、再び外に出て楽しむことができます」
作業療法士のアナ・カリナ・スアレスは、自分の子どもが自閉症で、10代の子どもたちが小さかった頃にも、そして今でも、このような空間が必要だと言います。
「自閉症の子の親や介護者として、私は静かな部屋、低感覚エリア、低感覚のパレード鑑賞から特別な恩恵を受けています。
これらのアクセシビリティがあれば、5歳の発達障害の姪を連れて来ることもできます。
私は姪と一緒に過ごすことや特別な外出が大好きですが、私自身も感覚過敏になりやすいので、楽しい場所のすべてアクセスできるわけではありません。
これらのアクセシビリティ機能があれば、発達障害の姪が素晴らしい体験をするために、私のより多くの時間とエネルギーを割くことができます。
私も楽しめます」
自閉症のゲストにパークをより利用しやすくすることで、感覚的なニーズや神経多様性を持つ他のゲストも恩恵を受けることができます。
「感覚過敏は自閉症の大きな特徴ですが、さまざまな違いや障害の一部でもあります。
例えば、ダウン症の人は、感覚過敏、PTSD、不安症も持っているかもしれません。
すべての感覚的ニーズを含めると、およそ6人に1人が感覚的ニーズや感受性を持っているのです」
そうテキンは言います。
このような効果の連鎖は、「カーブ効果」と呼ばれています。
「車椅子利用者のアクセスのために法的に義務付けられている縁石や歩道のようなものです。
これは、ベビーカーや歩行器を使っている人など、さまざまな状況の人にとっても有用です」
(出典・画像:米USA TODAY)
誰かに配慮することで、他の人の助けにもなったりします。
ますますこうした場所が世界中で増えるといいですね。
(チャーリー)