- ADHDと自閉症は関連性があるのか?
- ADHDは自閉症スペクトラムに含まれるのか?
- ADHDと自閉症、どちらが影響を及ぼすのか?
ADHDの子どもは、気が散って多動になることがあります。
自閉症の子どもは、社会的に不器用と見られることが多いようです。
しかし、ADHDと自閉症は、その違いにもかかわらず、実は同じコインの裏表です。
それでも、多くの重複する症状があるため、子どもがADHDと自閉症のいずれかまたは両方を持つかどうかを解読するのは簡単ではありません。
しかし、結局のところ、片方の症状を持つ子どもたちの多くは、もう片方の症状も持っています。
ADHDと自閉症は似ているのでしょうか?
ADHDは自閉症スペクトラムに含まれるのでしょうか?
公式には、含まれません。
米タウソン大学の教授で国際自閉症研究学会自閉症研究者委員会の共同議長であるデーナ・ガスナーはこう言います。
「重複する特徴を持つ別々の状態です」
ガスナー教授はADHDが自閉症スペクトラムではないことに同意しています。
しかし、すべての専門家がそう確信しているわけではありません。
両方の条件がしばしば症状を共有または共起を考えると、一部の研究者は、自閉症と ADHD は同じスペクトルに属することができると考えています。
米デューク大学自閉症・脳発達センターのジェラルディン・ドーソン所長はこのように語っています。
「私たちは、その答えを知らないのだと思います。十分な系統的研究がなされていないのです」
神経多様性については専門家もまだわからないことが多く、ADHDと自閉症がどのように関係しているのかだけでも、その典型的な例となります。
しかし、親や専門家はより理解できれば、子どもたちが最高の自分でいられるようにするために支援ができます。
Children and Adults with Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder (CHADD) によれば、正式な診断を受けた自閉症の人の半数以上が、ADHD の兆候も示しているといいます。
さらに、ADHDを持つ子どもの4人に1人は、自閉症スペクトラムの「低レベルの兆候」を持っていました。
「自閉症、ADHD、どちらにも共通して、『実行機能』の困難があります」
米ハーバード大学の子どもの発達センターでは、「実行機能」を「計画を立て、注意を集中し、指示を覚え、複数のタスクをうまくやりくりすることを可能にする精神的なプロセス」と説明しています。
子ども、大人も人生から投げかけられる困難な状況に対処するのに必要となる、重要な実行機能。
実行機能への影響は、自閉症であるか、ADHDであるか、あるいはその両方の神経多様性であるかによって、異なる形で現れることがあると、ガスナー教授は言います。
自閉症とADHD、どちらも発達に影響を及ぼします。
米国疾病対策予防センター(CDC)は、自閉症スペクトラム障害(ASD)を「社会性、コミュニケーション、行動上の重大な課題を引き起こす可能性のある発達障害」と表現しています。
一方、CDC は ADHD を別の「発達障害」として分類しており、注意を払うことの難しさ、衝動的な行動や過活動を制御する困難につながる可能性があるものとしています。
どちらの症状でも、注意を払うことや仲間との適切な関わり方ができないなどの根本的な原因を突き止めることが、子どもの成功につながる重要なポイントになります。
なお、自閉症やADHDの原因については、現在も研究中です。
どちらも多くの場合で遺伝が関与しており、ある種の遺伝子が自閉症とADHDで重複していることを示唆する研究結果もあります。
また、どちらの状態も、男子の方が診断を受けることが多くなっています。
しかし、これは女子の自閉症やADHDが十分に認知されていないためだと言う専門家もいます。
自身も自閉症の子をもつガスナー教授は、すべての子どもについて、発達障害の診断を受けてほしいといいます。
自閉症なのか、ADHDなのか、あるいはその両方の神経多様性を持っているのかについての洞察を得られるだけでなく、子どもが学習障害を持っているのか、それとも「才能がある」のか、といった詳細を医師が掘り起こすのに役立つと指摘します。
「失うものは何もなく、得られるだけです」
子どもの状態を正しく把握できれば、子どもが成長し続けられるよう、計画を立てることができます。
自閉症であれば、ADHDではない。
ADHDだから、自閉症ではない。
以前、私はそんなふうに対立するものだと誤解していました。
そんなことはなく、重複することもあるようです。
自閉症でADHDの彼女は9カ国語に堪能。発達障害の子に教える
(チャーリー)