- 幼児期における感覚反応パターンの軌跡はどのように変化するのか?
- 自閉症の子どもの感覚パターンは乳幼児期から学齢期までどのように発達するのか?
- 高学歴の親を持つ子どもはどのような感覚パターンを示す傾向があるのか?
今回の新しい研究結果は、多様な発達状況の人たちの大規模サンプルデータを対象とする、幼児期における感覚反応パターンの軌跡についての証拠を提供するものです。
多くの自閉症の子どもは、例えば、蛍光灯の明滅に集中的に興味を示したり、引っ掻かれたTシャツのタグに顕著な不快感を示したり、クマのぬいぐるみを抱きたいという深い欲求を持ったりするなど、特定の感覚刺激に対して特別な嗜好性を持っています。
しかし、自閉症の子どもは皆、独特な感覚パターンを持っていますが、幼児期の段階を通じてそのパターンがどのように変化するかを記録した研究は、これまでほとんどありませんでした。
2013年、米南カリフォルニア大学と米ノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究チームは、1500人以上の子どもを追跡調査し、乳児期から学齢期までの成長に合わせて、子どもの感覚パターンを測定しました。
研究チームは、こうした感覚の変化と、子どもや家族のさまざまな特徴との関連について、現在分析を深めています。
「これは、それぞれの子どもの発達を6年間にわたって追跡調査した研究です。
当初は、どの子どもが自閉症になるかはわかりません。
ですので、学齢期に入ってから、自閉症の子の感覚パターンが、そうでない子や他の発達障害の子とも、異なる軌跡をたどったというのは、信じられないほど興味深いことです」
そう、この”Child Development”に掲載された研究を行ったヤンユ(クレア)チェン博士は言います。
この研究では、ノースカロライナ児童発達調査プロジェクトの一環として、2013年に米ノースカロライナ州で生まれた1500人以上の子どもたちを6年間追跡調査しました。
乳幼児期(生後9~16カ月)、就学前(3~4歳)、学童期(6~7歳)の3つの幼児期における子どもの感覚行動について、保護者に質問しました。
また、保護者には、子どもの自閉症の症状、さまざまな発達上の心配事、子どもの診断の有無についても質問しました。
データ解析の結果、自閉症の子どもおよび、自閉症とは診断されていないものの自閉症特性を持つ子どもたちの感覚パターンは、時間の経過とともに強くなる傾向があることがわかりました。
一方、自閉症でない子どもの感覚パターン(親が指摘する感覚問題を含む)は、発達の過程で比較的安定していきました。
この発見は、自閉症の子どもに対して、乳幼児期から支援をどのように計画し実施するかに大きな影響を与える可能性があります。
「私たちは、乳幼児期の自閉症を識別するための最も重要な行動指標は、社会的コミュニケーションの違いであると考えていました。
しかし私たちは、後に自閉症を発症した乳児において、感覚の違いが社会的コミュニケーションの違いよりも早く現れる可能性があることを発見しました。
これらの初期の感覚の違いは、後年、社会的コミュニケーションの違いを含む、より決定的な自閉症の特徴へと連鎖する可能性があることを明らかにします。
つまり、感覚処理機能は、これまで考えられていたよりも、自閉症の早期発見においてはるかに重要である可能性があるのです」
そう、チェン博士は言います。
また、研究チームは教育レベルの高い両親の子どもは、より安定した、あるいは改善した感覚パターンを示す傾向があることも発見した。
この発見は、誤解がないように注意しながらも、早期介入が子どもの長期的な感覚行動に影響を与えることを強調するものかもしれないといいます。
「高学歴の親を持つ子どもは、より多くの情報源にアクセスできるため、感覚障害のあることがわかると、専門家の支援をタイムリーに受けられる可能性が高いのではないでしょうか。
これは有望な結果だと思います。
なぜなら、早期発見と療育は私たちができることだからです。
できないことではありません」
(出典:米南カリフォルニア大学)(画像:Pixabay)
思い起こすと、うちの子が2歳くらいの頃、手が動かなくなるまで平気でずっと雪や氷をもっていました。
また、注射なども全く気にならないようでした。
たしかに、言葉がなかなか出ない、眠らないの他に、そんな感覚の違いも早くからありました。
もう大きくなりましたが、最近は家中のたわしやブラシを集めています。
感覚が良いのでしょうね。
(チャーリー)