- 自閉症の女の子は男の子とどのように異なる傾向を示すのか?
- 女の子が友人について話す頻度はなぜ重要なのか?
- 自閉症の女の子が社会的言葉を多く使用することがもたらす影響は何か?
近年、自閉症の女の子は、自閉症の男の子とは異なる傾向を示すという認識が広まっています。
男女の違いには、女性や女の子が社会的に人と関わりたいという願望が強いことや、自閉症をカモフラージュ/マスキングしようとする傾向があること、自閉症の女の子や女性は、男の子や男性とは異なる強い興味を示すこともあります。
“Molecular Autism”に掲載された自閉症の性差に関する最近の研究では、面接の際に自閉症の少女と少年が使用する言葉に注目し、社会的な言葉の使い方を調査しました。
IQと自閉症レベルがほぼ同じ6歳から15歳までの自閉症の男女を比較したところ、女の子の方が男の子よりもはるかに多くの社会的単語、つまり家族や友人を含む他の人たちについて言及する単語を使うことが示されました。
とくに、女の子は男の子よりも友だちのことを話すときに、かなり多くの言葉を使いました。
友人について頻繁に話すということは、自閉症に対する考えに「そぐわない」と感じるのかもしれません。
だからこそ、自閉症の女の子が男の子よりも友人について話す傾向があるという事実は、もっと知られるべきです。
女の子の自閉症の診断のために重要です。
この研究で得られたもうひとつの興味深い発見は、社会的言葉の使用と全体的な社会的障害との間に観察された関連性です。
つまり、社会的言葉の使用が少ない子どもは、平均して、より社会的障害をもっているということです。
しかし、女の子には、この関連はありませんでした。
対象となった女の子が少ないため、研究チームはこの発見から多くの結論を引き出すことには慎重です。
しかし、自閉症の診断を行う際に、とくに言語の使用に関しては、女の子は全く異なる印象を与える可能性があることを示唆するものです。
社会的な言葉をより多く使う女の子であっても、自閉症のために重大な社会的障害に悩まされるかもしれません。しかし、全体的に言葉が流暢であるため、自閉症の診断の網をかいくぐってしまう可能性があります。
よく学べば、医師はこうした女の子の複雑な状況においても、自閉症の診断ができるかもしれません。
研究チームはこう述べています。
「医師は、社会的な会話のレベルが高くても、自閉症の女の子についてはコミュニケーションの課題に注目することが重要です。
社会的な言葉を使うことは、社会的スキルを示すことや社会的理解を持つことと同じではありません」
そして、親や教師など、自閉症の女の子女と接する人にとっても、この研究は、女の子の自閉症がいかに見逃されやすいかを浮き彫りにします。
女の子たちが社会的経験に関して使う言葉の種類は、直面している困難を覆い隠している可能性があるのです。
自閉症の女の子は自分の症状を隠そうとする傾向が強く、多くの女の子や女性は、他の女の子から何をどう話すべきかを学んでいると言っています。
また、一般に女の子は男の子よりも、友人関係を作り維持しようとする社会的欲求が強い傾向があります。
この欲求が、自閉症の女の子が社会的な言葉を多く使うことの一因になっていると考えられます。
この研究は、臨床診断の過程で男女の違いをより認識する必要があるだけでなく、学齢期の女の子のケアと教育に関わる親、教師、その他の専門家の間で、女の子の社会的言語の使用についてより高い認識が必要であることをさらに強調するものです。
(出典:米Psychology Today)(画像:Pixabay)
自閉症の女の子は、言葉を使うことが上手であっても、自閉症による困難をかかえている。
多くの人に知って頂きたいことだと思います。
(チャーリー)