- 発達障害の子のきょうだいは、どんなポジティブな効果を得られるのか?
- 発達障害の子の兄弟姉妹は、認知的共感力が高くなることがあるのか?
- 発達障害の子の兄弟姉妹には、どのような社会性の変化が見られるのか?
新しい研究の結果、発達障害の子のきょうだいは、そうでない子のきょうだいよりも認知的共感度が高くなっていることがわかりました。
しかし、感情的共感や向社会的行動については、発達障害の子のきょうだいとそうでないきょうだいで、差はありませんでした。
発達障害の子を持つことは、家族にとっては、ストレスがかかることが多くなります。
きょうだいは、大きなストレスや困難にさらされる可能性があります。
そのため、発達障害の子のきょうだいであることによる、ポジティブな効果については、これまでほとんど研究されていませんでした。
“Child Development”に掲載された新しい研究は、発達障害の子と一緒に育つことによって、兄弟姉妹、きょうだいに起こりうるポジティブな効果を検証した初めての研究の1つとなります。
今回の研究を行った、イスラエルのエルサレム・ヘブライ大学と英国ケンブリッジ大学の博士研究員であるヨナト・ラムはこう言います。
「障害のある子どものきょうだいは、認知的共感力(他人の考えや感情を理解する力)が高くなっている可能性を示しています。
この認知的共感力は社会性の鍵となるため重要です」
今回、研究チームは1657家族を含む「双子に関するイスラエル縦断研究」のデータから、2004年から2005年に生まれた双子で、1人が発達障害をかかえ、もう1人は発達障害をかかえていない、63の家族について調査しました。
その63の発達障害の子の双子のきょうだいと、比較対象となる、発達障害でない子の双子のきょうだい404人について、11歳のときに認知的・感情的共感性と向社会性(他の人のためになるような行動の自発性)を測定しました。
認知的・感情的共感に関する自己報告式の質問紙評価と、向社会的行動を評価するために作られたPCによる質問を実施しました。
さらに、その子どもたちの親も、子どもの向社会的行動を評価するためのアンケートに回答しました。
その結果、発達障害の子の双子のきょうだいは、発達障害でない子の双子のきょうだいよりも、自己報告による認知的共感において高いスコアを示しました。
しかし予想に反して、感情的共感(他人の考えや感情に、感情で反応する)です。
どちらも「相手の内面を理解すること」という点で同じですが、前者が「頭による知的理解」なのに対して後者は「心による情的理解」だという違いがあります。)と向社会性については差は認められませんでした。
エルサレム・ヘブライ大学のアリエル・ナフォ=ノーム教授はこう言います。
「これらのポジティブな効果は、障害を持つきょうだいをより良く理解し、きょうだい関係をサポートするということによるものでしょう」
研究チームは、この知見が予備的なものであることを認め、この無視されてきた分野において、異なる測定方法を用いたさらなる研究を行うように呼びかけています。
(出典:米NeouroScience)(画像:Pixabay)
うちの子のきょうだいに思うのは、「障害者」「かわいそう/すばらしい」のような捉え方、感じ方がまったくないということです。
つまり、うちの子が話すことができなかったり、おかしな行動、迷惑な行動をしていても、自分とは違う存在のようにはまったく思っていなく、ふつうに文句を言ったり、激怒したりもしています。
しかし、さりげなく優しく、必要なときには私はすごく頼りにしています。
(チャーリー)