- 自閉症や障害を持つ人たちが自分らしく過ごせる場所を作るには何が必要か?
- 自閉症や知的障害のある人たちが成長するためには、どんな要素が重要か?
- 親や社会が自閉症や障害を持つ人たちを受け入れるためには、どんなアプローチが有効か?
息子のマイケルが幼い頃に自閉症と診断されると、リタ・サリバ・ナスララはうつ病になりました。
孤立感を感じていました。
2歳になる頃、マイケルは陽気で幸せそうだったのが、引っ込み思案で不機嫌になりました。
ナスララは、自分が親として失格だと感じていました。
息子のありのままの姿を認めず、その代わりに、ないものに目を向けていたからです。
「自分たちが作った型にはまるように訓練し、失敗するとすぐに拒絶しました」
そうナスララは言います。
「自閉症を障害と認めなかったからです。
しかし、何もできないわけではありません」
ナスララは、教師からセラピストまでが、息子のできないことに焦点を当てることに嫌気がさしました。
学校を変え、さまざまなカウンセラーを試しました。
しかし、どのカウンセラーも、息子のネガティブな行動や目立つところに焦点をあてていたと言います。
「拒絶反応は、息子と同じように私にも起こりました。
私は、息子をこのまま残して死ぬことはできません」
ナスラスは、息子や他の自閉症の人たちが、部外者だと感じずに自分らしく過ごせる場所を夢見ていました。
そして、何ができるだろうと考え始めました。
息子のような自閉症の人たちを成長させるものは何なのか、ナスララは考えました。
その要素のひとつが、日常生活。
そして、創造性。
息子との心を通わせる方法として、工作をしていたときにわかりました。
現在は11歳となった息子のマイケルと、石鹸を一緒に作ることを思い立ちました。
「マイケルは材料を混ぜたり、色を選んだりするのが好きなんです」
こうして生まれたのが、自閉症や障害を持つ人たちを雇用する石鹸とアクセサリーの会社、ブリスフル・シードです。
石鹸のほかに、レジンアート、ジュエリーの作り方も学びました。
2020年の母の日に販売を開始し、地元の市場でも販売しています。
「息子がすべてのインスピレーションを与えてくれました。
これこそ私が望んでいたものです。
自閉症の人たちが自分らしくいられる場所であり、他の人たちの邪魔者であると感じない場所です」
お店のスタッフは、ナスララの家のガレージで仕事をしています。
当初は5人の従業員でスタートしました。
最近、知的発達障害のある成人を支援する非営利団体と契約し、さらに6人の従業員を雇用しています。
従業員の24歳のマシュー・ウォルターズは、高機能自閉症です。
ナスララさんが言うような孤独を自分も感じていたと言います。
「高校卒業後に自閉症と診断されたのですが、いつも仲間はずれにされているような気がしていました」
ここで働くことで、技術や目的を得ることができました。
市場で販売を監督しながら、私はこの仕事が大好きだと言います。
「毎日、楽しく仕事ができています。とても充実しています」
ウォルターズはパンデミック時に自宅で石鹸を作り始め、最近ではこうして、手作りの石鹸、ジュエリー、お皿などを販売しています。
「私は多くの重要な仕事のスキルを得ることができました」
26歳のトリスタン・カサはガレージで、石鹸に使うココナッツオイルを切る作業をしていました。
てんかんをかかえるカサは、介助犬のバトラーと一緒に暮らしています。
「ここで働けるのはいいことだと思う。友達も一緒だし」
27歳のニック・イムターンは、樹脂製のソープディッシュを作っています。
ウィリアム症候群という、体のあちこちに影響を及ぼす発達障害を持つイムターンは、海に潜ることが多く、使用するルアーも同じような樹脂でできていることから、作品に岩や貝を入れることを思いつきました。
「樹脂を使うのは初めてです。とても気に入っています」
この事業は、ここで働く人たちとってもナスララにとっても、成功です。
「この事業で、私は再び幸せを見つけることができたのです」
(出典・画像:米Sandiego Union Tribune)
子どものできないことではなく、できることに目をつけて、親子は幸せになりました。
さらには他の自閉症などの方たちも。
素晴らしいです。
(チャーリー)