- ワクチン接種と自閉症に関連があるのか?
- 自閉症はいつ診断されるのか?
- 自閉症の原因は何が考えられるのか?
ワクチン接種と自閉症に関連がないことはこれまでの研究で分かっています。
自閉症は、通常、ワクチン接種が始まる前、出生時に存在する神経発達の違いです。
しかし、その兆候はすぐには気づかないかもしれません。
多くの子どもたちは、2歳くらいになるまで自閉症と診断されないのです。
診断を受けたときには、もっと年上の人、大人になっている人もいます。
自閉症がこれまで以上に認識されるようになったのは、主に認知度の向上とスクリーニング方法の改善によるものです。
今、米国では54の子どものうち1人が自閉症です。
一時期、小児用ワクチンが自閉症を引き起こす可能性があると考える人がいました。
それ以来、そうではないことを示す研究が豊富に行われるようになりました。
そして、1266327人の子どもが対象として含まれる、10の研究について行われた2014年のメタ分析で、自閉症とこれらを含むワクチン接種の間に関連はないことが結論づけられています。
・MMR:麻疹、おたふくかぜ、風疹の混合ワクチン
・チメロサール:細菌の増殖を防ぐためのワクチン防腐剤。多回投与の小さな容器でのみ使用される。
・水銀:チメロサールに含まれる自然界に存在する金属
6517人の自閉症の子どもを含むデンマークのMMRワクチン研究では、自閉症リスクファクターのサブグループを含んでいました。
その結果、次のことが裏付けられました。
・MMRワクチンは自閉症を引き起こさない
・MMRワクチンは、感受性の高い子の自閉症を誘発しない。
・MMRワクチンは、ワクチン接種後の自閉症クラスターとは関連がない
413名(自閉症189名、非自閉症224名)を対象とした日本の研究でも同じ結果が得られています。
自閉症発症とMMRワクチンとの関連性を示す説得力のある証拠がないことは明らかです。
また、新型コロナウィルスのワクチンについても、自閉症と関連しているという証拠はありません。
ワクチンが自閉症を引き起こすというデマはどこで始まったのでしょうか?
MMRワクチンと英国の子どもたちの自閉症診断率の増加との間に関連があると述べる研究を、1998年、イギリスの医師アンドリュー・ウェイクフィールドらが、著名な医学雑誌「ランセット」で発表しました。
このウェイクフィールドの研究は、わずか12人の子どもしか対象とせず、推測の域を出ないものでした。
しかしそれでも、この研究発表によってワクチン接種率は低下していきました。
ワクチン接種と自閉症の兆候の出現はともに幼少期に起こるので、ワクチンが自閉症を引き起こすという考えは、親にとって信じてしまいやすいものだったためです。
しかし、ウェイクフィールドの研究は、これらの理由のために信用を失いました。
・重大な手続き上の誤り
・倫理違反
・開示されていない金銭的な利益相反
「ランセット」誌は2010年2月、このウェイクフィールドの研究論文を撤回しました。
そして、ウェイクフィールドらは偏ったデータ選択と事実の改ざんのために、不正行為で有罪となっています。
それ以降も、研究者たちはワクチンと自閉症の関連性を探し続けてきましたが、結局見つかりませんでした。
研究ではワクチン接種が自閉症を引き起こさないことが示されています。
しかしそれでも、関連性があると信じ続けている人が今でもいます。
ワクチン接種は違いますが、自閉症には多くの要因があると考えられています。
■ 遺伝
多くの専門家の意見として、自閉症になる理由に遺伝があると言われています。
この神経型の遺伝率は40パーセントから80パーセントで、複数の遺伝子が関与していると言われています。
そのため、自閉症の子が生まれれば、次の子もそうである可能性は高くなります。
科学者は遺伝を評価する際、いくつかの側面を見ます。
・遺伝子:タンパク質を作るための指示を含む小さな構成要素
・染色体:数百から数千の多数の遺伝子の集合体
・核型:人の染色体の集合体、または検査技師が染色体を見るために使用するプロセス
そして、個々の遺伝子の違いや、他の遺伝子との組み合わせによって、次のような様々な結果が現れます。
・自閉症と診断される可能性
・行動の違いがあるか
・その人が望む、あるいは必要とするサポートのレベル
染色体の変化では、自閉症とともに以下のような状態をもたらすことがあります。
・フラジャイルX症候群
・ダウン症
・レット症候群
核型は、自閉症と一緒に起こるいくつかの症状の遺伝的な違いを明らかにします。
医師は、染色体の違いを特定するために核型を使用します。
しかし、染色体の中にある個々の遺伝子の変化を見つけるのは難しいかもしれません。
そのため、標準的な核型であっても自閉症である可能性はあります。
■ 環境
自閉症の約40〜50パーセントは、環境要因の影響を受けている可能性があります。
これらはしばしば出生前または出生時に起こります。
考えられているいくつかの環境要因の例を挙げます。
・父方の年齢が高い
・母体年齢が若い
・胎児への血流や酸素の供給を低下させる出産時の合併症
・母親の肥満
・母親の糖尿病
・帝王切開分娩
・ビタミンD欠乏症
・出生前および乳児の農薬への暴露
■ 免疫機能障害
免疫系の活動は、母親と乳児の両方で、生まれる前(出生前)と生まれた後(出生後)に起こりうるため、環境的、生物学的なものであると考えられます。
出生前
・免疫反応を活性化させ、胎児に自閉症を引き起こす可能性のある母親の感染症
・自閉症のサブタイプをもたらす母親の抗脳自己抗体
出生後
・胎児の免疫調節異常と炎症
・乳児の免疫システムによる乳児の脳の変化(内因性抗脳自己抗体)
自閉症は、多くの原因に由来する多種多様な行動の違いを持つスペクトラムです。
数十年にわたるこれまでの研究の結論から、ワクチンは自閉症の原因ではありません。
ワクチンを接種した自閉症のお子さんをお持ちの方は、ワクチンが原因ではないことを忘れないでください。
そして、弟妹にワクチンを接種させるかどうかの判断に、自閉症との関連を考えないことも重要です。
きょうだいが自閉症をかかえている場合、遺伝的な要因により、ワクチンを打たなくても自閉症と診断される可能性はあります。
ワクチンの有無にかかわらず、自閉症の子のきょうだいは、定型発達の子のきょうだいに比べて20倍以上自閉症になる可能性が高いと言われています。
(出典:米PsychCentral)(画像:Pixabay)
ワクチン接種は自閉症の原因ではありません。
最も信頼できる情報源からの知識で冷静に判断をし、自分以上に子どもに対しては、最善の行動をとって頂きたいと思います。
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(チャーリー)