- VRゲーム制作における自閉症スペクトラムの子供のアート活用は、どんな新たな可能性を秘めているのか?
- 親子での共同VRゲーム開発が、どのように家族の絆を深めることができるのか?
- 自閉症の子供たちが描いた絵を元にしたゲームが、他の家族や世間にどんなポジティブな変化をもたらす可能性があるのか?
米オハイオ州に住む父親が、自閉症スペクトラムの息子が描いた絵をもとに、子供向けのバーチャルリアリティゲームを制作しています。
多くの子どもたちと同様、ネイサン・キルドレンはテクノロジーが大好きで、父親のトーマスも同じです。
バーチャルリアリティのゲームで遊ぶことは、ネイサンとトーマスの毎日の日課になっています。
親子のお気に入りのVRゲームは、「ブーパー、お家へ帰ろう!」です。
ある日、公園に行って、迷子になってしまった子供の話です。
家に帰るために壮大な冒険を繰り広げます。
このゲームの一番の魅力は、父親のトーマスが自分で作ったことです。
「VRを試してみてすぐに、これは私が開発しなければならないものだと気づきました」
息子のネイサンは自閉症スペクトラムをかかえています。
そして、アートが大好きです。
「ブーパー、お家へ帰ろう!」では、ネイサンが描いたたくさんの絵が利用されています。
「息子のたくさんのスケッチを元に、ゲーム内の土や草、山などが描かれました。
もちろん、キャラクターや建物、植物、その他すべて息子が描いたものです」
トーマスは最近、一人でゲーム開発を行う会社を立ち上げました。
「ブーパー、お家へ帰ろう!」は、初めてリリースするゲームとなります。
まだ販売前ですが、すでに受賞しています。
「この9月のGDEXで、最高の音楽とサウンドデザインで賞をもらったんだ。
そしてCleveland Gaming Classicでは、最もクリエイティブな作品として表彰されました。
スポーツも学業も得意ではなかったので、こんなに年齢を経てから賞をもらうのは、とてもスリリングです」
そう、トーマスは言います。
このゲームが軌道に乗ったら、自閉症のチャリティーに貢献したいと、大きな計画を立てています。
「収益の一部を自閉症の啓蒙と受容に役立てたいと考えています。
このゲームが本当に成功したら、親がスマートフォンを使って、自分の子供が描いた絵を写真に撮り、アプリがそれを切り取ってアニメーション化し、子供が自分の絵をゲーム内で遊べるようなコンパニオンアプリを作りたいですね」
そして、もしゲームがうまくいかなかったとしても、すでに息子たちとの絆を深めるためのものなりました。
「20年後に、子供たちが古いVRヘッドセットを引っ張り出してきて、一緒にこれを作ったんだぞと言うかもしれませんね」
現在、世の中に出回っているバーチャルリアリティーゲームのほとんどは、射撃、サバイバル、スポーツが中心で、小さな子供たちに適したものはあまりありません。
「ブーバー、お家へ帰ろう!」には、戦闘やケンカはありません。
その代わりに、小さな子どもたちの想像力を刺激し、教育的な要素が入っています。
「自閉症スペクトラムの人は、単に障害を持つ人というだけでなく、芸術であれ、音楽であれ、頭の中の考えであれ、それを表現ができれば、世界に貢献できることがあります。
このゲームを見た障害をかかえる人が、自分にも何かできるかもしれないと思ってくれることを期待したいです」
キルドレンは、このゲームがゲームの中だけでなく、私たちが住む現実世界にもポジティブな変化をもたらすことを望んでいます。
「こうした創造的な取り組みによって、他の家族とも一緒になって人々を助けることができればと願っています」
トーマスは現在、投資家を探しています。
ゲームを完成させ、販売促進するためには、サポートと資金が必要なのです。
「コンパニオンアプリのようなものを完成させるためには、自分より頭のいい人を雇う必要があります。
ゲーム開発という力仕事を手伝ってくれる人、コンポーザー、ゲームがちゃんと動くかテストしてくれる人、『これは退屈でつまらない』『これは激しすぎて興奮する』といった感想をくれる人などです。
そうした人たちがいることで、最高の作品に仕上げることができるんです」
(出典・画像:米SPECTRUM NEWS1)
この親子にとっては、世界で一番のゲームであることには間違いありませんね。
(チャーリー)