- 発声の制御に異常があると、言語病理を引き起こす可能性はあるのか?
- 自閉症の子どもたちは他の子どもたちとは異なる種類の音を生得的に作り出す可能性があるのか?
- 発話の問題は学習の問題ではなく、発話を制御する脳回路の問題なのか?
笑う音、泣く音、赤ちゃんの喃語など、人間の声には、多くの哺乳類や鳴禽類、さらには一部の魚類が発する音と同じリズムがあります。
米カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者らは、脳幹にある小さな神経細胞の集団が、テンポを調節するだけでなく、発声と呼吸を連動させていることを突き止めました。
オンライン版Neuronに掲載された研究の筆頭著者であるケビン・ヤックル医学博士はこう言います。
「我々は、スイッチが入った時に、この無意識の能力を与えてくれるニューロンを発見しました」
人間を含む多くの動物が、呼吸を生得的に制御していることは広く理解されています。
ヤックル博士の研究チームは、生得的な発声にも同じような制御が存在するのではないかと考えました。
この脳回路の存在を確認するため、ヤックル博士らは、子マウスが母親から引き離されたときに発する音を調べました。
この泣き声には、特定の筋肉の動きと関連した識別可能なパターンがあり、その結果、脳幹のどの細胞がこのリズムを担っているかが判明しました。
この細胞は、呼吸を制御し、声を出すのに必要な筋肉を調整する、これまで知られていなかった回路のようです。
この回路を特定することで、私たちがどのように発声しているのか、また、なぜ発声がうまくいかない人がいるのかについて、新たな疑問が生まれます。
「私たちが話すことを学ぶとき、このシステムを迂回するか、あるいは直接コントロールすることを学んでいるのかもしれません。
このパターン生成システムの配線に異常があると、言語病理を引き起こす可能性があるのです」
ヤックル博士らの研究チームは、人生の早い段階で、自閉症の子どもたちが、他の子どもたちとは異なる種類の音を生得的に作り出すことを示唆する研究にとりくんでいます。
自閉症の子どもの中には、話すことができない子どもや、音声のトーンやリズムを作り出し理解することが困難な子どももいるためです。
このような言語の問題は、話し方を学ぶことができないとみなされることが多くなっています。
しかし、ヤックル博士は、そのような見方を覆し、発話の問題は、学習の問題ではなく、発話を制御する脳回路の問題ではないかと考えています。
「子どもは言葉を聞いて学んでいるかもしれません。
しかし、発声を可能にするシステムが何らかの形で異なっていれば、呼吸と動作を協調させて音を出すことができないでしょう。
それが理由かもしれません。
もし、そのシステムがどのように違うのかが分かれば、言葉を教える方法が変わるかもしれません」
(出典:米カリフォルニア大学サンフランシスコ校)(画像:Pixabay)
うちの子も、言葉が無くなる前、簡単な言葉は口にしましたが独特な発声だったように思います。
今は全く話すことはできませんが、こちらが言っていることはよく理解してくれるようになりました。
なので、学習はできても音が出せない、というのには、個人的には少し納得できます。
(チャーリー)