- 自閉症の子どもたちが運動や集中力をサポートするための装置は何かありますか?
- 発達障害や自閉症の家族のためにどのようなテクノロジーが開発されていますか?
- 自閉症の子どもたちの運動能力を向上させるためにはどんなアプローチが有効ですか?
米カーネギーメロン大学によるロボット工学のチームイベント「ガールズ・オブ・スチール」に参加するまで、アディトリ・タッカーは自閉症の子どもたちが直面する障害についてあまり知りませんでした。
そこでは、発達障害、自閉症の人たちの運動時の感覚的・身体的な問題を克服するための装置を設計することが期待されました。
そして、タッカーと8人のチームメイトは、ウェアラブルフィットネス機器「バズバンド」を開発しました。
1万ドルの助成金を獲得すると、このアームバンドを実用的なプロトタイプに磨き上げました。
チームのビジネス・プロジェクト・マネージャーである17歳のタッカーはこう言います。
「取り組み始めたときは、私たちは発達障害についてあまり知りませんでした。
家族に自閉症の人がいるチームメンバーがいるので、今は自閉症が人々にもたらす課題を知っています」
このバズバンドの開発チームは、全米から選ばれた8つの発明チームの1つです。
チームは試作品を改良し続け、6月に米マサチューセッツ工科大学で開催される発明の祭典「ユーレカフェス」で最終版を発表する予定です。
チームのメンバーで財務を担当する17歳のアディティ・スリバスタバはこう言います。
「私たち9人の間には、本当に楽しい文化があって、集まってはプロジェクトや生活の中で起こっている新しいことについて話し合います。
私たちはみんな、この場にいたい、この仕事をやりたいと思っているので、とても活気のある雰囲気です。
バズバンドのチームは、発達障害の人たちの状況を変えたいと願う女子チームなんです」
バズバンドは、振動とビープ音を同時に鳴らすことで、運動中の集中力とモチベーションの維持をサポートします。
調整可能なアームバンドは、軽量で快適、かつ耐候性があるので、学校、ジム、家庭、屋外など、さまざまな場所で着用できます。
タッカーはこう言います。
「振動はポジティブな動機づけになり、メトロノミックサウンドは自閉症の人だけでなく、すべての人の集中力を高めることが研究でわかっています。
振動は、過度な刺激を与えることなく、感覚を統合することができます。
触覚的な刺激によって、安定を確立するのに役立ちます」
振動と相まって、音は活動のペース配分や動作計画を容易にすることができるとタッカーは言います。
「テンポとリズムは、前頭前野を活性化することが証明されており、エクササイズの学習や運動習慣を身につけるのに役立ちます」
バズバンドは、腕に装着し、袖のボタンや外部Bluetooth機器から電源を入れることで使用します。
スピーカーのON/OFFや、振動の速さを調整することができます。
ベアークロールやスタージャンプなどの推奨エクササイズでは、テンポに意識を集中することで、外部からの刺激に惑わされることなく、落ち着くことを助けます。
バズバンドの開発は、小児科の作業療法士との話し合いからヒントを得たといいます。
ハリソン教育センターのレイチェル・ティロスは、自閉症スペクトラムの子どもたちは運動障害であることが多く、マッサージ器の振動が彼らの助けになることがあることをバズバンドのチームに教えました。
大学で神経科学を専攻し、スマート義肢をデザインしたいと考えているスリバスタバはこう言います。
「教えてもらったアイデアを、私たちの開発に取り入れることにしました。
私たちは、このデバイスを発達障害、自閉症の人たちの運動を支援し、困難を減らすものにしようと思いました」
米カーネギーメロン大学のロボット工学研究所のアウトリーチプログラムマネージャー兼ガールズ・オブ・スチールメンターのテレサ・リチャーズが、バズバンドの開発チームをサポートしました。
「私は、素晴らしいアイデアを持ち、そのアイデアを実現するためのファシリテーターを必要としている素晴らしい学生たちと一緒に仕事をします」
バズバンドの新しいプロトタイプはより小型で、より振動するモデルになります。
これまでのブザーに代わって、スピーカーが搭載されます。
「ブザーの音は、あまりいいものではありませんでした。
感覚過敏の人にとっては、ベストとはいえないでしょう。
専門家や自閉症の子の親御さんに相談しながら、仕様を決めています」
そうタッカーは言います。
市場性のあるプロジェクトを設計できれば、最終的にはバズバンドを製造・販売するためにスポンサー企業を見つけたいと彼女たちは考えています。
バズバンドの開発チームのメンバーは、それぞれ別々の高校に通っています。
彼女たちのほとんどは、このプロジェクトを始める前は、電気回路やハンダ付け、コーディングの経験はありませんでした。
スリバスタバのSTEMへの関心、イノベーションへの情熱は、幼いころのサイエンスキャンプの参加から始まりました。
「私にとっての興味は増すばかりでした。
木工所ではあらゆる種類の機械の使い方を学びました。
技術的な知識だけでなく、ビジネス的な知識も身につけることができ、本当に素晴らしい機会になりました」
大学で電気工学を専攻したいと考えるタッカーは、以前は数学は苦手だと感じていましたた。
友だちが、サイエンスキャンプに参加するまでは、STEMに興味もありませんでした。
6年たった今、タッカーはこう言います。
「私のSTEMの経験の大部分は、完璧なものではありません。
多くの失敗をしながら、自分の興味を探求することで、世界についてもっと知ることができるはずです」
(出典・画像:米NEXT pittsburgh)
米国の著名大学が支援し、若い女性たちの才能が素晴らしいアイデアで、世界を変えていく。
発達障害、自閉症の方に役立つことを目的にこうした開発が行われていることを本当にうれしく思います。
(チャーリー)