- ニューロダイバージェントとは何を指すのか?
- ニューロダイバージェントの子どもたちをサポートするために教育者が取るべきアプローチは何か?
- ニューロダイバージェントの子どもたちの不安を軽減するための方法は何か?
学校や職場、さらにはテレビ番組など、アメリカでは「ニューロダイバージェント」という言葉をよく耳にするようになりました。
しかし、その正確な定義を知らない親がいても不思議ではありません。
米ニューヨークにあるPM Pediatrics Behavioral Health社のジェニファー・ウェーバーはこう言います。
「ニューロダイバージェントとは、脳の機能が異なるさまざまな違いを示す個人のことを言います。
そして、決してこれらの違いが病的であることを意味するものではありません。
わずかな変化や差異が、気分、社会性、学習スタイル、注意力、認知力、集中力など、さまざまな機能に影響をもたらします」
ニューロダイバージェントには、自閉症、注意欠陥多動性障害、失読症などの学習障害のほか、一部の処理障害や気分障害なども含まれるとウェーバーは言います。
医学や教育の専門家たちは、ニューロダイバーシティ・神経多様性を修正すべき問題としてではなく、すべての子どもは異なる方法で情報を処理し、世界と関わっているという考え方を持つようになりました。
定型発達とされる人は、発達のマイルストーンをすべて達成し、思考や処理において「典型的」とされるかもしれません。
一方、ニューロダイバージェントの子どもたちは、親や教師が異なる方法で学習に取り組む必要があります。
米ミネソタ大学の特別支援教育研究者であるレベッカ・コルブは、教育者はニューロダイバージェントの生徒を支援するために、エビデンスに基づいた指導を行うべきだと述べています。
「エビデンスに基づく手法とは、複数の評価を繰り返して研究され、効果的であることが示されているものです。
とくに学習に独特の障害を経験することが多いニューロダイバージェントの生徒には、それが効果的です」
元幼稚園教諭で、教育サイト「Forward With Fun」の制作者であるアシュリー・シャワルは教育には万能な方法はないと言います。
「人間は一人ひとり違います。
学習する人がもつ興味、強み、課題を理解することが、学習を身近で魅力的なものにするための最善の方法です」
ウェーバーもこう言います。
「診断名や症状で生徒をグループ分けすることは避け、その人のすべてを把握することを心がけています。
これには、生徒がかかえている困難だけでなく、生徒がもつ強みを含みます」
生徒のニーズを満たすためには、「配慮」が必要です。
ニューロダイバージェントの生徒は、長時間机に座っていることができなかったり、話すときに先生を直接見ることができなかったりします。
教育心理学者のダイアナ・サイモンはこう言います。
「視覚支援や生徒が触れることのできる3Dモデルを使用するなどのアプローチが役立つことがあります。
例えば、リンゴを使った言葉の問題に取り組むとき、生徒はまず問題を自分で読んでみます。
その後、教師が問題を読んで、生徒には実際にリンゴを使って問題を解いてもらいます。
机の上で取り組むのであっても、感じたり、見たりして問題を解くのです。
こうした指導が、子どもたちがすでに知っていることから新たに学ぶことへの橋渡しになります」
「親がニューロダイバージェントの子どもをサポートするためにできる最善のことは、子どものニーズを特定し、できるだけ早い時期に質の高い療育を始めることです。
そして、子どもが十分な年齢になったら、自分がかかえている障害について、オープンに明確に話しましょう」
多くの場合、子どもたちは自分が他の子どもたちが直面していない問題を抱えていることに気づいており、診断名を隠したままでは、フラストレーションがたまる可能性があります。
ニューロダイバージェントの子どもにとって、自分のこれまでの困難、経験に名前がつき、自分だけではないことがわかるのは大きな安心感につながります。
「ニューロダイバージェントの人たちは多くいます。
自分のニューロダイバーシティを受け入れるだけでなく、それを受け入れている人たちの実例を見せることは、子どもたちの助けになるはずです。
子どもの学校や先生にも働きかけると良いはずです。
「自分の子どもに注目が集まりすぎて、難しい親だというレッテルを貼られるのを恐れる親もいるでしょう。
しかし、ほとんどの先生は、あなたが子どもについての情報を提供し、子どもの学習に協力してくれることに感謝しています」
シャワルもこう言います。
「あなたは子どもの最も重要な代弁者です。
心配なことがあれば、言ってください。
学校は、親が子どもの目標や課題を伝えることを頼りにしています」
ニューロダイバージェントの子どもは不安をかかえることが多くあります。
サイモンはこう言います。
「不安になると、授業に集中できなくなったり、学校に行けなくなったりします」
不安を解消する方法としては、深呼吸をするなどのマインドフルネス、カフェインを摂らない、十分な睡眠をとるなどの体調管理を心がける、次の予定がわかるようにスケジュール表などの簡単なツールを使う、などがあります。
「子どもの興味に関心を持ちましょう。落ち着けて、幸せだと感じることをさせてあげてください」
違うことは悪いことではありません。
むしろ、それが強みになったりします。
しかし一方で、それによる困難もあるはずです。
親はしっかりと子どもの違いを理解し、そして学校とも共有してください。
発達障害などを神経多様性/ニューロダイバーシティと考える功罪
(チャーリー)