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理解を助ける技術「自閉症の人だけに変更を求めるべきでない」

time 2021/11/12

この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。

理解を助ける技術「自閉症の人だけに変更を求めるべきでない」
  • テクノロジーが自閉症の人のコミュニケーションや社会的な問題を解決できるか?
  • 自閉症の人とその周囲の相互理解を深める方法はあるか?
  • 自閉症の人が職場や社会で活躍するために必要な支援は何か?

英国では自閉症の成人の4分の3以上が同僚とのコミュニケーションや社会的な問題が原因で、仕事に就くことができません。
テクノロジーがこの問題を解決できるかもしれません。

アインシュタイン、ダーウィン、ニュートン、モーツァルト、ミケランジェロなどの先駆者たちは自閉症であったと考えられています。
スティーブ・ジョブズもそうだったのではないかという指摘もあります。

英国自閉症協会の定義によれば、自閉症はコミュニケーションや社会との関わり方に影響を与える生涯にわたる発達障害です。

自閉症の人は、身振りや声のトーンなどの言語および非言語を解釈するのが難しいとされています。
なかには、言語能力は非常に高いものの、皮肉や比喩的な表現、慣用句、イントネーションの変化などを理解するのに苦労する人もいます。
また、物事を文字通りに受け取る傾向があり、抽象的な概念を理解することや、他者の感情や意図を理解することが困難な場合もあります。

自閉症の人にとっては、文字によるコミュニケーションも困難な場合があります。

友だちに手紙を書くとき、多くの人は流行語や口語表現を多用した非公式な略語を使います。
これは、書かれている内容に意味を持たせるために、共通の価値観や前提条件を利用するものです。

自閉症の人は、物事を非常に文字通りに受け取る傾向があるため、例えば「最新情報」があるかどうかを尋ねられても、わからないかもしれません。
そう、米カリフォルニア大学サンディエゴ校工学部のパメラ・コスマン教授は言います。

コスマン教授らは、自閉症の人とそうでない人との間の書面によるコミュニケーションの困難を回避するための電子メールツールを研究開発しています。

このツールは、自然言語処理技術を用いて、自閉症の人にとって十分に明確でない、あるいは具体的でない可能性のある単語やフレーズを特定します。

メールを送信する前に精査し、詳細や文脈が欠落していたり、要求の意図が明確でなかったり、あまりにもオープンエンドであったりする場合にハイライトを表示します。

「自閉症の人は、期待されていることが何であるかを確実に知ることができ、必要に応じてさらなる指導を求めることができます」

英ケント大学で知的・発達障害について講義をしているデイミアン・ミルトン博士は、社会的交流を中心とした自閉症のあり方をテクノロジーで「正常化」することは賢明ではないといいます。
ミルトン博士は、自閉症の人とそうでない人の間の相互理解を深めることにもっと焦点を当ててほしいと考えています。

「社会的相互作用には、人、予測不可能性、相互の信頼関係の構築が必要です。
私たちには、人々がお互いに理解し、関係を築くこと、それを助けることが必要です。
そして、それを職場のシステムに組み込む必要があります。
そうしないと、自閉症の人だけがおかしな、間違ったことをしているということになってしまいます」

自閉症の人のためのソーシャルロボットの研究を行っている米バンダービルト大学の機械工学部のニランジャン・サーカー教授も同じ意見です。

「自閉症の人だけに、ストレスや不安を感じるコミュニケーション方法へ変更することを、求めるべきではありません」

サーカー教授は自閉症の人たちは職場でも大きな力を発揮できるという考えを持っています。
そのために、現在は職業上のトップに立つ自閉症の人が非常に少ないことに不満を感じています。

「自閉症の人たちに仕事を与えるだけでなく、自閉症の人たちがもっと活躍するべきです」

バンダービルト大学の研究者たちは現在、認知モデリング技術を用いて、自閉症者の視覚的推論能力を分析しています。
自閉症の人は、センサー付きのアイトラッカーを装着して、一連のパズルを行います。
そして、その結果から、その人が得意とするであろう集中力、記憶力、粘り強さ、細部へのこだわり、技術的な能力を必要とする仕事を照合します。

自閉症の人は、これらの分野で平均以上の能力を発揮することが多いと考えられているからです。
2015年のケンブリッジ大学の研究によれば、エンジニア、物理学者、発明家、数学者には自閉症の傾向が見られることが多く、なかには、天才的なレベルの人もいます。

ケンブリッジ大学の研究を主導したバロン・コーエン教授は、音楽家やシェフ、仕立て屋など、ルールやパターン、システムを扱う必要があるものであれば、同じように自閉症の人たちは簡単に優れた能力を発揮できると考えています。

「新しい技術を怖がる人もいるかもしれませんが、自閉症の人はすぐに実験を始める傾向があります。
それに必要な、何度も実験を繰り返したり、システムを徹底的に分析しりできる、すごい集中力と忍耐力をもっています」

コーエン教授は、歴史上、人間が発明や革新を行ってきたときには、パターン認識がそのプロセスの一部であったとことを指摘します。

「人類が地球の支配者になったのは、パターンを分析して理解する能力があったからです」

(出典:英E&T)(画像:Pixabay

メールの中の曖昧なところを指摘してくれるツールは、自閉症の方に限らず、助かるものになりそうですよね。

コミュニケーションや仕事において、発達障害、自閉症の方たちだけに変更を求めるようなことは正しくない。

それには私も全く同感です。

素晴らしい「違い」の価値を理解し、それらまでも消し去ることにつながることは止めていただきたいと心から願います。

自閉症の人のコミュニケーション困難は自閉症でない人にも原因

(チャーリー)


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