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自閉症の人の感覚問題に配慮した建築「控えめであってほしい」

time 2021/11/09

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

自閉症の人の感覚問題に配慮した建築「控えめであってほしい」
  • 建築家が建物を設計する際、利用者の感覚体験を重視していなかったのはなぜか?
  • 自閉症の子どもたちにとって、建物のデザインが重要な理由は何か?
  • クリニックや治療室のデザインが、自閉症の子どもたちにどのような影響を与える可能性があるか?

オーフィールド・ラボラトリーズは、製品が人々にどのような印象を与えるかを研究しています。
スティーブ・オーフィールドはこの会社を「世界初の感覚デザイン・研究会社」と呼んでいます。

スティーブはその感覚的なアプローチを、他の人には無害に見える刺激でトラウマになってしまう自閉症の子どもたちのための空間デザインに応用しました。

これまで、建築家は建物の利用者がどのように感じるかを重視していなかったとスティーブは言います。
そして、スティーブ・オーフィールドは、自閉症の子どもたちに合わせた建物のデザインは、すべての人にとっても良いものになると考えています。

米ミネアポリスにあるオーフィールド・ラボラトリーズでは、自閉症スペクトラムの人たちが落ち着けるような建物を設計し、学校やクリニック、オフィスでもシンプルなデザインは誰にでも同じ効果をもたらすことがわかりました。

「私は空間を知覚的に静かなものにしたいのです」

そうスティーブは言います。
自閉症の子ども向けの、フレイザークリニックで、それを実現しました。
駐車場から治療室に至るまで、潜在的な感覚に負荷となる部分を減らしています。

26歳の自閉症の息子を持つ母親で、長年フレイザークリニックを利用しているA.J.パロンはこう言います。

「私たちが求めていたものです」

オーフィールド・ラボラトリーズは50年にわたり、オフィスをよりフレンドリーに、洗濯機をより静かに、照明をより心地よくするための研究を行ってきました。
また、オートバイのテールパイプの音を分析して、どのような音がオートバイを運転する人に喜ばれるかを調べたこともあります。

スティーブはこの感覚的なアプローチを自閉症の子どもたちのための空間設計に応用しました。

自閉症の子どもたちは、他の人には無害に見える刺激でもトラウマになることがあります。
これまで建築家は利用者がどのように感じるかを重視していなかったと言います。

「建築の授業では、人間の知覚については何も教えてくれません」

むしろ、建築家は五感を落ち着かせるのではなく、興奮させるような建物を設計してきました。

「目に映るものすべてに興奮してほしいのです」

それは外観に顕著に現れているといいます。
建築家は、外観を特徴あるものにしようと努力します。

「ブランディングのためのデザインです」

続いて、ロビーをデザインするといいます。
通常、派手で、入る人に強い印象を与えるように考えます。
そして最後に、最も注目されない室内をデザインします。

しかし、このやり方は、逆だとスティーブは言います。

「最も注意を払うべきなのは、居住者が最も長い時間を過ごす部屋です。

建物の利用者は、外観を見たりロビーでくつろいだりすることにはあまり時間をかけません。
企業のオーナーや建築家は派手なデザインを好むかもしれませんが、自閉症の人たちはそれを好まないことが多いのです」

フレイザークリニックに通う自閉症の子をもつ母親であり、米フロリダに拠点を置くデザイン会社の副社長でもあるパロンは、落ち着いたデザインは誰にとっても有益であると述べています。
なぜなら、ほとんどの人は感覚が過敏になると居心地が悪くなるからです。

「運転中に道路標識を読むときに、集中するためにラジオを消さなければならないのと同じです。

フレイザー・クリニックの外観は、威嚇的な印象を与えないようにデザインされています。

「クリニックは、施設でも病院でもなく、楽しい場所のように見えなければなりません。

中に入ると、ラグや壁紙に派手な模様があると、子どもたちは不安になるかもしれません。
そのため、廊下は比較的地味で飾り気のない空間になっています。

クリニックには、反応を引き起こすような蛍光灯の点滅もありません。
何か大きく点滅している下で、本を読むことを想像してみてください」

窓は喜ばれるものですが、車が通るなど、外の何か苦しいものが見える場合はそうではありません。
歯科医院では、他の部屋から痛みの叫び声が聞こえてくると、誰でも身動きが取れなくなります。
同じように、自閉症の子どもたちにとっても、診察室からの叫び声は不安の種になります。
そのため、ここでは診察室と治療室を分けています。

また、色によってはトラウマになってしまうため、クリニックでは落ち着いた色を使用しています。
パロンは、ある過敏症の自閉症の人を思い出しました。

「すべての色をグレーにしたら、一日中泣き叫ぶことがなくなりました」

においも問題です。
バロンは、ポップコーンの匂いを嗅ぐ自閉症の人を知っています。
クリニックでは、消臭剤や香水が不安の原因となるため空気が循環するようになっています。

このように、フレーザー・クリニックは、あらゆる種類の過剰な感覚刺激がないことが特徴となっています。
他のクリニックと比較すれば、何の変哲もない、無味乾燥な感じがします。

「無いものは見えません。
刺激がないことが、強化されているんです」

人類の半分は認知や感覚に何らかの障害を持っており、その人たちが、落ち着けるように作られた建物の恩恵を受けることができるとスティーブは言います。

「世界の人の半分を受け入れない建物は、どこにもあってはなりません。
建物は控えめであってほしい。
脳の機能をあまり求めないものに私はしたいのです」

(出典・画像:米Pine Journal

障害をかかえる方向けの考慮、配慮はその結果、その他の多くの方にとってもメリットがあるものになる。

それには全く同感です。

そしてビジネスも、表面的なことよりもっと本質を追求する時代になってきたように思います。

自閉症の人や家族の生活を改善するそれぞれにあった部屋デザイン

(チャーリー)


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