- 自閉症の子どもと友達になることでどんな新しい価値を見出せるのか?
- 自閉症の子どもにとって友達を作ることの意義は何か?
- 自閉症の子どもと遊ぶ時に気をつけるべき配慮や工夫は何か?
新学期の時期、子どもはそれぞれ違った能力をもつ子どもたちと一緒に新しい生活に慣れてきています。
新しい友だちができる時期こそ、自閉症の子に声をかけて友情を築いてほしいと願います。
米国疾病予防管理センター(CDC)によれば、現在54人に一人の子どもが自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断されています。
そして、自閉症の男の子の数は女の子の4倍にもなります。
自閉症の子は、そうでない子と同じように長所と課題を持っており、友人になれば多くの価値をもたらしてくれます。
全米で療育を行う、LEARN Behavioralのチーフ・クリニカル・オフィサーのハンナ・ルー博士はこう言います。
「私が発見したのは、自閉症でない子どもたちは、自閉症の子どもたちが自分と同じようなことに興味を持っていることに驚くということです。
例えば、動物園の動物に熱中している自閉症の子は、そうでない子が興味をもつたくさんの情報を提供できるかもしれません。
また、一人ひとりの子どもは違います。
すべての子どもがグループにうまく溶け込めるわけではありません。
自閉症の子どもは、そうでない子どもが嫌がるような違いや特異性を見過ごすことができる場合が多くあります。
なので、集団に溶け込めない子どもにとっては、むしろ友だちになりやすいかもしれません」
自閉症の子どもたちは一人で遊ぶことを好むように見えるかもしれませんが、実際には仲間と一緒に遊んだり、自分の興味を他の人と共有したりすることを楽しんでいます。
自閉症の子どもは、神経質な子どもが共感できるような感覚過敏を経験することがあります。
大きな音、大きな音楽、明るい光、さらには活動の切り替えなど、子どもによっては困難なことがあります。
自閉症のお友達と一緒に遊びに行くことを計画する場合には、ゆっくりとしたペースを前提にしましょう。
新しい自閉症の友だちには、必要に応じて休憩できる静かな部屋を教えてあげてください。
また、自閉症の友だちが休憩するということは、遊びに興味がないのではなく、疲れているということだとを知ってください。
誰でも何かに怯えたり、過剰な刺激を受けたりすることがあるということを自分の子に伝え、感じる恐怖や休む必要性を親は教えてあげてください。
「私は発達段階を超えた、人間の純粋な優しさをこれまで目にしてきました。
自閉症の子どもがメルトダウンを起こしたときには、友だちはただ座って近くにいるだけでいいのです。
また、自閉症の子どもは一人でがつらい思いをしていることもあるかもしれません。
『ついてきて、お昼は私たちのテーブルに座って、迷子にならないように手をつないで』
などと声をかけて、親がサポートするのも素晴らしいでしょう。
子どもたちはとても直感的に、そばにいて道を示すだけで大きな助けになることがわかります」
親の励ましが、友情の芽を育てます。
親が自分の子どもの発達レベルを把握していれば、子どもが誰とでも友達になれるように、そして遊び場や教室で誰とでも分け隔てなく接することができるようになるとルー博士はいいます。
そのためには、日頃から人それぞれの違いについて話し合うことが大切です。
「特に多様性に乏しい地域に住んでいる場合は、子どもに多様性を紹介することが重要です。
本を読んだり、ビデオを見たりして、人それぞれの違いについて率直に話し合ってください。
肌の色について話すだけでなく、子ども同士のコミュニケーション方法の違いについても話してみましょう。
例えば、自閉症の子がバタバタと体を揺らしたり、鳴いたりするのは、喜びや不満を表現するための独特の方法です。
新型コロナウィルス感染の心配がある今は難しいかもしれませんが、私たちは遊び場や食料品店など、地域の中で他の人間と交流する機会がたくさんあります。
親も人との交流をし、共感を示して、子どもと共有してください」
ルー博士は、セサミストリートに登場するジュリアというキャラクターの大ファンです。
「ジュリアは自閉症を患っています。
自閉症でない子を持つ親が幼い子供と一緒にセサミストリートを見て、ジュリアのことや彼女がどう違うのかを話すのはとても楽しいことです。
これは、違いや受容について見たり話したりする瞬間を共有するための素晴らしい機会になります
自閉症の子を育てるのはストレスがたまります。
これまでの調査によれば、末期の病気の子どもを持つ親よりも、日常的にストレスを感じているようです。
それは大変なことです。
自閉症の子の親には、挨拶をしたり、コーヒーを勧めたり、ただ座って話を聞いてあげるなど、どんな小さなジェスチャーでも構いません。
耳を傾けることが、とても助けになるはずです。
最後に、忍耐力をもってください。
何度か一緒に遊ぶことで、新しいお友達と同じ趣味を持てるようになるまで時間が必要です。
自閉症の子をもつ相手の親には、あなたが理解していることを伝え、一度のパニック程度は気にしないことを伝えてあげてください。
自閉症の人たちが、私たちの周りで素晴らしい活動をしていることを認識することはとても重要です。
私たちは、そのことを受け入れ、サポートする方法を学ぶ必要があります」
(出典:米CHIGAGO REPORT)(画像:Pixabay)
違うからこそ、友だちになれば自分の世界を広くしてくれます。
押し付けは止めてほしいですが、積極的に友だちになることで、相手も自分も豊かになるはずです。
(チャーリー)