- 起業をすることで、将来の安心を確保できるか?
- 起業する際に、自閉症を持つ人が商品やサービスの理解をどう学んでいけるか?
- 障がいを持つ人たちに向けた雇用の機会を増やすために、実際に店舗を構えることは可能か?
マレーシアのアフマド・ムジム・ムザファルは、父親のフェアズの助けを借りて「ムザファル・マート」を経営しています。
現在22歳の自閉症のムザファルは、2019年から支援施設でマフィンを販売していました。
自分の仕事を楽しんでいましたが、自分で事業を行うことは考えていませんでした。
ムザファルは自閉症の若者にITや料理のトレーニングを行う地元のプログラムに参加していました。
ソフトウェア業界で約30年の経験を持つ父親に刺激され、6カ月間、基本的なITスキルを身につけるためのトレーニングを受けました。
しかし、トレーニング終了後に行けるはずだった就職先がなくなってしまいました。
父親のフェアズは、就職ができなかった場合に備えての策がありました。
起業です。
「自閉症の子どもを持つ親としては、自分がいなくなったときに子どもがどうなってしまうのかが一番の心配事です。
起業すれば、私たちが信頼できる人と一緒に将来もこの事業を続けることができるので安心です」
ムザファルの自閉症について考えれば簡単なことではありませんが、それにとらわれず起業を選びました。
父親のフェアズは自身も自閉症の人たちを支援する専門家ともなり、現在は自閉症の子どもたちへテニスを教えています。
マフィンから始まったムザファルの旅でしたが、起業することを知った父親の香水ビジネスを営む友人が、ムザファルのために香水ブランドを作ることを申し出てくれました。
「自閉症をかかえ有名人でもない息子のムザファルは、自分の香水ブランドを持てることをとても誇りに思っています」
これまでに、ムザファルは5000個以上のマフィン、そして数百本の香水を売りました。
最近では、シーフードの販売も始めました。
ネットで販売する他に、実際のバザーでもムザファルは販売した経験があります。
そこで大きなことを学びました。
「売れないことです。
息子は、自分の商品に興味をもった人は、買うのが当たり前だと考えていました。
そうでなはいことを理解するのに時間がかかりました」
「息子が初めてマフィンを焼いたときには、すぐにお金をくれと言ってきました。
私は、販売までのプロセスを説明し、マフィンの売上を最大にするにはどうすればよいのかを説明しました。
お客様がマフィンを買ってからでないと、お金は払えないことを教えました。
そうしたプロセスを時間をかけて理解していきました」
父親のあたたかな指導があって、ムザファルは起業当初よりもずいぶん成長しました。
今は、マフィン作りと在庫管理を担当しています。
卵やブルーベリー、チョコチップなどマフィン作りに必要な材料が足りなくなると、父親に知らせます。
自分のフルタイムの仕事とムザファルのアシスタントを兼ねているため、父親は週に7日働いています。
それは疲れることですが、父親はムザファルを他の若者たちと一緒に支援施設で働かせるよりも、家で事業を行うほうが合理的だと考えています。
そして、もっと大きな事業についても考えています。
「ムザファルと同じような立場の人たち、つまり、成長に伴って雇用を必要としている障がいをかかえる人たちの仕事の機会を作ることです」
そのために、いつの日か実際に店舗を構えようと考えています。
(出典・画像:マレーシアVulcan Post)
こうした支援があればなおさらですが、
続けていくことは簡単ではありませんが、起業も選択肢としてアリだと思います。
(チャーリー)