- 自閉症の成人が遅い年齢で診断を受けることでどのような感情的な出来事になるのか?
- 自閉症の成人が診断を受けた後、どのようなサポートが必要とされるのか?
- 自閉症の成人が診断を受けることで、自己受容やアイデンティティにどのような影響があるのか?
英エッジヒル大学の心理学者による新しい研究は、自閉症と診断された大人が経験する生活の質や精神的な問題にスポットライトを当てています。
リアム・クロス博士とグレイ・エイサートン博士らは、自閉症の成人が診断された年齢とその生活への影響の関連性を探る新しい研究を行いました。
現在、自閉症と診断された少なくない人たちが、人生の後半になってから診断されています。
この人たちはしばしば「失われた世代」と呼ばれています。
今回、”Journal of Autism and Developmental Disorders”に掲載された最新の研究では、自閉症と診断された成人の精神的健康に、年代、診断年齢、性別がどのように影響するかを調査しました。
その結果、自閉症の成人は、生活の質が低く、自閉症の特性レベルが高いことが明らかになりました。
これは、診断年齢と関連しており、成人は新しい診断を受けたことで力を得ているものの、専門的なサポートを必要としていることを示しています。
クロス博士は次のように述べています。
「本研究のインタビューで明らかになったように、大人になってから自閉症の診断を受けることは非常に感情的な出来事になります。
そのとき、自分が何者であるか、他人に自分をどのように説明しているか、自分の物語をどのように書き換えているかを再確認する必要性を感じることが多いのです。
今回の調査では、ほとんどの人が、支援の重要性と支援を受けることの難しさを訴えていました。
自閉症の診断を受けるのが遅かった大人は、長年のトラウマの結果、理由もわからずに誤解されていると感じていることを認識する必要があるのかもしれません」
エイサートン博士はこう言います。
「多くの場合、正式な診断を受けることで、その人の人生のすべてがようやく『意味を成す』ようになります。
診断を受けることで、大人は自分が誤解されていた歴史の一部を取り戻すチャンスを得ることができます。
年齢を重ねても同じように生活の質を向上させるためには、このような特定の自閉症の人へのサポートを作ることが重要です」
今回の研究は、自閉症の成人が診断を受けた後のサポートを改善することを目的とした、今後の研究のきっかけとなることが期待されます。
また、タイムリーな診断を受けることの重要性、それがとくにアイデンティティと自己受容に関連していることを強調しています。
(出典:米Medical Xpress)(画像:Pixabay)
何歳になっても、求める人には診断を受け適切な支援がなされるよう、願います。
(チャーリー)