- 自閉症の人が他の疾患を持っている可能性は年齢と強く相関しているか?
- 自閉症の女の子と男の子で他の疾患を持っている可能性の違いはあるか?
- 自閉症と診断された時期が遅いほど他の疾患を併発している可能性は高いか?
自閉症の人が他の疾患を持っている可能性は、自閉症の診断を受けた年齢と強く相関しています。
また、自閉症の女の子は、自閉症の男の子よりも他の疾患を持っている可能性が高いことが、新しい研究で明らかになりました。
この研究では、デンマークの病院システムに登録されている16歳までの自閉症の人約16000人と、自閉症ではない65万人以上のデータを用いて、自閉症の人の年齢、診断を受けた年齢、出生時の性別によって、てんかん、不安神経症、注意欠陥多動性障害(ADHD)など、一般的によく見られる11の疾患を併発する可能性が変わるかどうかを評価しました。
11歳から15歳という遅い時期に診断された人では、女子の26パーセント、男子の13パーセントが情緒障害とも診断されていたことがわかりました。
また、知的障害については、早期に自閉症と診断された人の40パーセントが知的障害を持っていたのに対し、後期に自閉症と診断された人では10パーセントにとどまりました。
また、自閉症と診断された時期が遅いほど、情動障害、不安障害、摂食障害を併発している可能性が高いことがわかりました。
今回の調査結果は、若い男女が他の疾患を併発していない限り、自閉症と診断されないことを示唆しているのではないかと研究者らは述べています。
一方で、この結果を解釈する際には注意が必要であるとしています。
今回の研究は、デンマークのコペンハーゲン大学のエヤーミスト・レッガード助手とカナダの門とリール大学のローレンん・モートン教授らによって行われました。
レッガード助手は、自閉症の多様な性質はおそらく、人生のさまざまな段階で異なる「タイプ」の自閉症が現れるというように、年齢によって説明される部分があると言います。
「不安やADHDなどの精神疾患の症状があると、子どもが自閉症の評価も受ける可能性が高くなり、共存する疾患が発症しやすい年齢の時期に、自閉症と診断されることが多くなる可能性があります」
このデータは、自閉症の診断方法の不確実性を反映している可能性もあります。
自閉症と不安症などの併存疾患の診断時期が近接していることから、自閉症の終わりと他の疾患の始まりを示す明確な境界線はないことを示唆しているのではないかとモートン教授は述べています。
本論文で検討された11の併存疾患のすべてにおいて、自閉症と診断された年齢は、参加者がその疾患に罹患しているかどうかの唯一最大の予測因子となっていました。
しかし、多くの疾患では、性別も大きな要因となっていました。
「精神医学の分野では、行動障害のように、女子よりも男子に多く見られる症状があります。
しかし、驚くべきことに、これらの症状が自閉症と共存する場合、オッズ比は逆転します。
つまり、一般人口では女子よりも男子に多い症状が、自閉症では完全に逆になるのです」
自閉症の人の中で、女の子は男の子よりも2.2倍も不安を抱えていることがわかりました。
一方、自閉症でない女の子は、自閉症の男の子に比べて、不安感が約1.4倍です。
また、自閉症でない男の子は自閉症でない女の子に比べて、ADHDになる確率は2.6倍です。
しかし、自閉症の男の子と女の子とを比較すると、確率はもっと低く、1.6倍でした。
なりました。
この研究成果は”Acta Psychiatrica Scandinavica”に掲載されました。
そうだろうと思っていたことが科学的に明らかにされることで、政策に反映され、より適切な支援が行えるようになります。
ますますの正しい理解につながる研究に期待しています。
(チャーリー)