- 初めて運転を学ぶ際に、バーチャルな世界での経験が不安を軽減できるのか?
- 知的障害や身体障害を持つ生徒が、VR技術を使って運転スキルを学ぶことで、実際の運転にどのように役立つのか?
- VRを使用した運転シミュレーションが、将来のフルタイムの仕事や日常生活にどのように影響を与えるか?
マシュー・チャップマンは、バーチャルな世界で何十回も運転しているので、初めて運転を習うことに不安はありません。
豪クイーンズ州にあるクリフォード・パーク・スペシャル・スクールに通うマシュー・チャップマンは、バーチャル・リアリティ(VR)ヘッドセットを使って、ハンドル操作、交通状況の把握、雨天時の運転などのスキルを身につけました。
「学校に通うのはもちろん、友だちの家に行ったり、お店に行ったり、仕事に行ったりすることが目標です。
これからも運転を続けて、もっと上手に運転できるようにしたいと思います」
同校の生徒は全員が知的障害を持っており、さらに身体障害や感覚障害を持つ生徒もいます。
ジェイソン・ブルワー教諭は、体験型の学習方法を好む生徒にとって、VR技術は大きなメリットがあると言います。
「これまでは、交通ルールを学び、それに従わなかった場合にどのような結果になるかを講義するだけでした。
しかし、VRでは安全な方法で、実際に社会を体験することができます。
彼らの身のこなしを見れば、それがよくわかります」
同校のVRドライビングシステムを利用して、今年はこれまでに21人の生徒が運転免許を取得しています。
エンデバー財団が、クイーンズランド州の地域にある17の学校にこのVRシステムを寄贈し、バスの乗り方やATMの使い方、運転の仕方などのライフスキルを生徒は学んでいます。
豪クイーンズランド工科大学と協力してモジュールを設計した同財団のクリス・ボーモントはさらにシナリオを追加していく予定だと言います。
「車を操縦すると、道路に危険があったり、お店に行って駐車したりすることになるかもしれません。
高速道路に入り、高速道路での運転もできるようになるでしょう」
すべての生徒が車を運転できるわけではありませんが、すべての生徒にVRシステムを使用し、運転免許試験を受ける機会が与えられるようになってほしいと言います。
「これまでに免許を取得した生徒は、最終的な目標であるフルタイムの仕事に就くことにそれが役立ちました。
しかし、取得できなくても、日常的な移動やコミュニティへの参加には役立つはずです。
これは彼らの自信につながります」
VRの世界では、生徒の車が衝突したり、操縦中にコントロールを失ったりすると、スタートの画面に戻ります。
ボーモントはこう言います。
「多くの生徒が、運転に失敗します。
しかし、最初から何度もやり直せるのです。
それが生徒にやる気を与えます。
また、学べるぞと」
クイーンズランド州交通幹線道路局は、対面式の指導も引き続き重要であるものの、VRには大きな可能性があると述べています。
「私たちは、ドライビングシミュレーターとVR技術がますます使えるものになって、若者の運転技術向上の可能性に期待しています」
オーストラリア・ドライバー・トレーナーズ・アソシエーションは、VRが新規ドライバーの出発点として有用であると述べています。
ジュリー・エマーソン会長はこう言います。
「運転とはどういうものかを理解するきっかけになるかもしれません。
しかし、本物の車に乗って本物の道路を走るときのアドレナリンは、再現できません。
実際に車に乗って、実際の道路を走ると、アドレナリンが出ます」
オーストラリア障害者モーターリスト協会のエミリオ・サブル会長は、障害のある人が運転を学ぶ際には特別な困難に直面する可能性があるものの、その見返りはとても大きいと述べています。
「オーストラリアには、何年も運転を続け、完全に自立できているメンバーは何人もいます
私自身のことを考えてみると、あちこちに車で連れて行ってくれる人に頼ることに疲れていました。
障害があってもなくても、運転の仕方を学ぶことに、VRにはメリットがあります」
(出典・画像:豪abc)
事故を何度も起こしても、何度でもやり直せる。
VRの大きなメリットです。
物理的にも、社会的にも安全が保たれるVRでの学びがもっともっと身近になってほしいと思います。
(チャーリー)