- ロボットやAI技術を使って、障害を持つ人々にどんな仕事の機会が生まれているのか?
- 障害を持つ人が、ロボットの導入によってどのような支援を受けているのか?
- ロボットやAIが障害を持つ人たちの仕事にどのような影響を与えているのか?
ロボットやAI技術がいつか人間の仕事に取って代わるのではないかと懸念する人は少なくありません。
ですが、ある社会的企業はこれらを利用して、まったく逆のことを行っています。
約134人の障害をかかえる人を雇用する企業「アビリティワークス」は、視覚障害の人や認知障害の人に、より有意義な仕事を提供するためにロボットを導入しました。
有料道路運営会社のトランサーバン社とのパートナーシップがそれを助けました。
車に貼られている料金所のタグの仕分けやスキャンを行うほか、トランサーバン社の郵便物の仕分け作業などをアビリティワークスで行っています。
今回導入した、専用に開発されたロボットアームが、それらの作業を手伝います。
ロボットアームは、内蔵されたセンサーを使ってタグをデジタルスキャンし、車やトラックなどのカテゴリーに分類します。
その後、障害をかかえる従業員がタグを梱包して送り出すという流れになります。
アビリティワークスのCEOであるスー・ボイスは、従業員の3分の1が文字の読み書きに問題をかかえていることを考えれば、これは革命的だと言います。
「これまでは、識字能力が高くなければ、トランサーバン社の仕事は行なえませんでした。
このロボットが郵便物を読み、適切なボックスに振り分けてくれます。
そのため、識字能力の低い人も仕事ができるようになりました」
アビリティワークスでは、マイクロソフト社のホロレンズを使って、金属を溶接したり切断したりする製造機械の使い方を従業員に教えるプログラムも試行しています。
複雑なサポートを必要とする人に、これを教えることは複雑でコストがかかるものでした。
「知的障害のある人は反復的なトレーニングが必要となります。
朝にトレーニングをしても、次の日には忘れてしまっているかもしれません。
そのため、サポートするトレーナーが多く必要となります。
ホロレンズではビデオゲームの技術を使って、彼らがすべきことを正確に説明し、必要に応じて何度でも繰り返すことができます」
ロボットの製造や設計が社内でできない場合、技術のための資金はアビリティワークスの利益と慈善団体からの資金を組み合わせて調達しています。
ボイスは、複雑なニーズを持つ人たちの仕事を増やすだけでなく、ロボットがその仕事をより意味のあるものにしていると言います。
「これまでは、複雑な知的障害を持つ人たちは、梱包や組み立て、箱にラベルを貼るだけの仕事をしていました。
それが、こうした難しいことに取り組めるようになったことは、彼らの自尊心と自信を高めることにつながりました」
ボイスはこれらのテクノロジーは障害をかかえる人たちが、より多くの有意義な仕事に就くための大きな機会を提供することになると言います。
「ロボットと人間は一緒に働けるようになると思います」
私もそう思います。
ロボットやAIが得意とすることはまかせて、人はもっと人らしく生きる。
人と競うために存在するものではありません。
特別支援学校の廊下にいる自閉症の子たちと一緒に過ごすロボット
(チャーリー)