- 馬にとって自閉症の子どもたちはどのように感じているのか?
- 馬の健康に、自閉症の子どもたちの不適切な行動は影響を与える可能性があるか?
- 自閉症の子どもと発達障害のない子どもとのセッションに参加した馬のストレス反応に差はあるか?
自閉症の子どもたちに馬によるセラピーが有効であることは、これまでのいくつもの研究で明らかになっています。
しかし、馬は自閉症の子どもたちにどう感じているのでしょうか?
自閉症の子どもたちの不適切な行動が、馬の健康に影響を与える可能性があるかもしれません。
イタリアの研究者は、子どもたちを身体的にも心理的にも豊かにする馬によるセラピーを、自閉症の子どもたちに行っているときの馬の注意について注目しました。
“Animals”に掲載された、その研究ではローラ・コンタルブリゴらによる研究チームは自閉症の子どもたちとの標準的なセッションに参加した馬のストレスの行動的および生理的指標を、発達障害などでない子どもたちとのセッションと比較しました。
6歳から12歳の子ども38人を相手にした、さまざまな品種の馬19頭が調査対象となりました。
セッション間やセッションの段階ごとに馬の行動や生理的反応を比較しました。
乗馬セッションでは、ストレスに関連する行動、心拍数、心拍変動、目の温度を記録しました。
また、各セッションの前後に馬から血液を採取し、ストレスの指標となる血中の副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、コルチゾール、カテコールアミンの変化を観察しました。
その結果、自閉症の子どもとのセッションに参加した馬では、交感神経の緊張が低下していることがわかりました。
また、自閉症の子どもとのセッションでは、発達障害でない子どもとのセッションに比べて、アドレナリンの増加が有意に少ないこともわかりました。
「アドレナリンは、ストレス要因に対する自律神経系の交感神経枝の即時反応に関与しています。
したがって、この結果は、自閉症スペクトラムの子どもたちへの支援活動において、馬は興奮することが少ないことを示唆しています。
これは、馬がセラピストや子ども、環境全体から受け取る環境情報から生じる穏やかさに関連している可能性があります」
自閉症の子どもを相手にしているときに馬が交感神経系の活性化を見せないのは、見られないのは日常的に馬によるセラピーで活躍し、似たような行動を繰り返し行っているために、驚くようなことが起きる心配がない。
あるいは、特別な注意やケアを必要とする子どもを相手にしているためにセラピストが交感神経系の活性化を抑制するよう暗黙のうちに馬に求めているためかもしれません。
以上の調査結果から、馬のセラピーに参加している馬のストレス反応は、自閉症の子ども、そうでない発達障害などでない子どもで、差はありませんでした。
馬の行動だけを見ても、自閉症の子ども、そうでない子どもで、大きな違いは見られませんでした。
しかし、各セッションの異なるフェーズにおけるストレス関連の行動を分析したところ、興味深い結果が得られました。
立ち止まっているときではストレスを示す行動の頻度が高く、一方、休息段階、特に騎乗と降車は馬にとって最も困難なものであることがわかりました。
「馬に合っていないタック、セラピーの馬の扱い方、馬の扱いに慣れていない子ども、騎乗・降車時の不快感の原因になっているのではないかと考えられます」
しかし、そのような騎乗時と降車時に見られるストレスの兆候は、子どもたちの行動とは無関係なものです。
研究チームは馬がストレスを感じる状況を避けるために、乗馬セッションのさまざまな段階で、馬に行動を求めるときにセラピストは最大限注意を払ってほしいといいます。
「馬によるセラピーを行っている専門家は、馬の気持ちも最大限に考慮してください」
研究チームは今後の研究では、セラピー中の馬のポジティブな感情や、さまざまな人に対する馬の反応を調査する必要があると述べています。
(出典:ニュージーランドhorsetalk)(画像:Pixabay)
そうでなければ、子どもたちを優しさで包んでくれるわけもないとは思いますが、
お馬さんも穏やかになっているということで安心しました。
(チャーリー)