- ミュージシャンとしての自分について、他人はどのように見ているのだろうか?
- 自閉症を持つ人が音楽を通じてどのように成長し、他の人と結びついているのだろうか?
- 発達障害を持つ人たちが、どのようにサポートされ、受け入れられるべきだろうか?
アンドレス・オルティスがステージでドラムを叩いていても、観客は自閉症であることに気づかないでしょう。
ドラムセットの後ろで、アンドレスはバンドの一員として、ロックを演奏しているだけです。
28歳のアンドレスは、これまでの16年間、音楽プログラム「スクール・オブ・ロック」で生まれたバンドメンバーとして演奏してきました。
アンドレスは、ドラムを叩くことで、自閉症などの発達障害や認知障害をかかえない人たちとのつながりができたといいます。
アンドレスは10代の頃にドラムを始め、レッスンを受けたり、ソロで演奏したりしていました。
数年後、先生から次のレベルに進むには、バンドで演奏する必要があると言われました。
「じゃあ、どうやって一緒に演奏する仲間を探せばいいの?」
アンドレスの母、ショーンは、そう先生に尋ねたことを思い出します。
「発達障害でない人たちの世界に放り込むしかない」
そう、先生に言われました。
スクール・オブ・ロックに参加したアンドレスは、それ以来、バンドでドラムを演奏しています。
最近、ミュージシャンとしての経験を「The TAZ Times」誌に寄稿しました。
それは、知的・発達障害者を支援する非営利団体のアークオブモンマスで行われているプロジェクトが発行しているものです。
最初の記事で、アンドレスは
「私は自閉症のドラマーなのか、それともドラムを演奏する自閉症の人なのか?」
そう質問を投げかけました。そしてこう答えます。
「ドラムを叩いているときは、自分は自閉症の人には見えません。
自閉症の人としてではなく、普通のミュージシャンとして見てもらいたい。
機会があれば、自分が自閉症で伝えている、それが私の基本」
アンドレスが一番好きな曲は、ブルース・スプリングスティーンの「Born to Run」です。
ロックやカントリーミュージックを演奏するのが一番好きですが、スクール・オブ・ロックのショーでは、これまで幅広いジャンルの曲を演奏してきました。
アンドレスは、音楽を演奏することで発達障害などの人たちとのつながりもいっそう広がりました。
また、自閉症のおかげで、自分はより良いミュージシャンになったと語ります。
「何度も何度も演奏することが苦にならないんです。
自閉症のおかげで、曲を完璧に練習したり、他の人が見落としがちな音楽の細部を理解したりすることができます」
また、一対一での人とのやりとりではストレスを感じることもありますが、ライブに緊張することはないといいます。
多くの自閉症の人たちとは違って、アンドレスは多くの人の前で演奏することに喜びを感じています。
「ドラムもステージも、僕にとっては快適な場所です」
モーツァルトをはじめ、多くの著名な音楽家が自閉症やその他の発達障害を持っていたといわれています。
アンドレスは、発達障害などでない人たちは自分のようなミュージシャンや自閉症の人たちをもっとサポートできるのではないかと考えています。
「ミュージシャンとして、もっと私たちを受け入れ、より多くの機会を与えてください」
アンドレスは、音楽を通じて得た友人関係について寄稿しています。
「コミュニケーションにはさまざまな方法がありますが、音楽は私にとって完璧な言語です」
スクール・オブ・ロックを指導してきた、ピア・メンターのミカエル・デカストロは最高に楽しかったと言います。
「アンドレスの記事を見たとき、これは他の人たちも興味をもつと思いました」
アンドレスは将来、ミュージシャンとしてツアーを行い、音楽を通じて発達障害の子どもや若者を支えたいと考えています。
「自閉症の人や、特別支援を必要とする人たちは素晴らしいものを持っています。
不可能だと言われても、挑戦し続けてください」
大好きなことを見つけて、成長し、新たな人たちとも結びついていく。
今はネットでもいろいろできます。
「大好きなこと」が見つかれば、まずそれだけですごく素晴らしく、すごく価値があることです。
(チャーリー)