- 自閉症の診断において、性別による偏りはありますか?
- 自閉症の男性と女性は、顔の認識や注意に違いがありますか?
- 自閉症の研究において、視覚的注意のパターンはどのように異なりますか?
自閉症の女性と女の子は男性よりも顔に注意を払うという研究結果が2021年国際自閉症学会年次総会で発表されました。
これは、自閉症と診断される可能性が高い女の子が、男性よりも社会的な合図に注意を払うという以前の研究結果と一致するものです。
英ロンドン大学バークベック校の脳・認知発達センターのポスドク研究員であるテレサ・デル・ビアンコはこう言います。
「自閉症の男性とは、『顔』の捉え方が異なっています」
この違いは、女性や女の子が男性や男の子に比べて自閉症と診断される確率が低い理由を説明するのに役立つかもしれないと研究チームは言います。
研究チームは、欧州自閉症縦断プロジェクトの一環として、6つの施設で、6歳から30歳までの388人の自閉症の人と271人の自閉症でない人を、携帯型アイトラッカーを用いて評価しました。
参加者はそれぞれ、インタビューを受けている人たちの動画を見ました。
この動画では、それぞれの人の顔が約3秒間登場します。
動画を見ている間、自閉症の女性と自閉症でない女性のどちらも、男性よりも人の顔を見ることに多くの時間を費やしていることがわかりました。
そして、自閉症の女性と女の子とは異なり、自閉症の男性と男の子は、自閉症でない人とは著しく異なる、見る行動のパターンを持っていました。
自閉症でない人たちの人の顔に対する注意は、一貫したパターンがありました。
顔が画面に表示された直後には顔を見ることが増加し、その後ゆっくりと減少しました。
自閉症の男の子と男性も最初は顔に注意を払いましたが、自閉症でない人たちに比べて人の顔を見る時間は少なくなっていました。
自閉症の女性と女の子については、人の顔を見るパターンは、自閉症でない女性と女の子と大きく違うことはありませんでした。
デル・ビアンコによれば、自閉症の男の子と女の子、そして自閉症の男性は、最初に顔を見る時間が短いため、人の顔から得られる情報は少なくなっているかもしれないといいます。
そしてその結果、人の顔に興味がわかなくなり、顔を見る時間が短くなってしまうのではないかと考えています。
研究チームは今後も、これらの動画やその他の視覚刺激を用いて、社会的注意がさまざまな条件下でどのように変化するか、また自閉症の男性と女性でどのような違いがあるかを調べていく予定です。
自閉症といっても、男性と女性とで症状がこのように違うために、
女性は男性と比べて自閉症と診断されることが少ない、ことにつながるようです。
(チャーリー)