- 自閉症スペクトラム障害は男女でどのように異なるのですか?
- 女の子に対する自閉症スペクトラム障害の遺伝子の影響は具体的にどのようなものですか?
- 自閉症の女の子と男の子での脳の活動の違いは何ですか?
自閉症スペクトラム障害(ASD)が女の子の脳にどのように現れるかについて、新たな研究結果が発表されました。
主に男の子を対象とした研究から得られた結論を女の子にも当てはまると考えるべきではないと警告しています。
研究者チームは、自閉症スペクトラム障害の基盤となる遺伝子や「遺伝的負荷」が女の子と男の子では大きく異なることを発見しました。
また、表情やジェスチャーなどの社会的な手がかりに対して、自閉症スペクトラム障害の女の子の脳は自閉症スペクトラム障害ではない女の子の脳とは異なる反応を示すことも明らかになりました。
この研究を行った米バージニア大学ケビン・ペルフィレイ博士はこう言います。
「この新しい研究は、現在および将来の実証済みの支援方法を、基礎となる脳や遺伝子のプロファイルにうまく適合させるためのロードマップとなります。
今回の成果は、自閉症についての理解をさらに深めるものです。
男の子と女の子ではその原因が異なる可能性があることを明らかにし、男女間の異質性を理解するのに役立つものです」
今回の新しい研究結果につながった研究プロジェクトにはバージニア大学の他に、米イェール大学、米ハーバード大学、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校、米チルドレンズ・ナショナル、コロラド大学デンバー校、米シアトル・チルドレンズの専門家が参加しています。
今回の研究では、最先端の脳イメージングと遺伝子研究を組み合わせることで、女の子における自閉症スペクトラム障害の影響をより深く理解することができました。
自閉症スペクトラム障害は男の子の方が4倍も多いため、女の子への影響はあまり調査されていませんでした。
ペルフィレイ博士らは、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて、社会的相互作用の際の脳活動を調べました。
その結果、自閉症の女の子は、自閉症スペクトラム障害ではない女の子と比べて、脳の異なる部分を使っていることがわかりました。
そして、最も驚くべきことに、自閉症の女の子とそうでない女の子の違いは、自閉症の男の子とそうでない男の子での脳の違いと同じではありませんでした。
性別によって異なる脳のメカニズムが自閉症を引き起こしていることが明らかになりました。
同様に、根本的な遺伝的要因も全く異なることも判明しました。
女の子は、線条体と呼ばれる脳領域の初期発生に関与する遺伝子の希少変異が非常に多かったのです。
このことは、線条体への影響が女の子のASDリスクに寄与している可能性を示唆しています。
(これまでに、線条体のうち「被殻」と呼ばれる部分が、社会的相互作用と言語の解釈に関与していると考えられています)
「脳画像と遺伝子データの融合により、女児の自閉症の原因に関する重要な新知見が得られました。
今回の研究成果を活用して、自閉症の女の子に合わせた新しい支援方法を生み出すことができると期待しています」
この研究は”Brain”に掲載されています。
(出典:米バージニア大学医学部)(画像:Pixabay)
女性と男性とで、自閉症といってもいろいろ違っていることがわかってきました。
必要とされる方によりよい支援が行われるようにする。
そのために必要な研究がますます行われることを期待します。
(チャーリー)