2年の時間と手書きの手紙がジョニー・ヒッキーとハヤカワ ジュンの友情を育みました。
二人の16歳の少年にとって、はじめての友だちです。
ジョニーとジュンは3年前、米ジョージア州にあるオートリーミル中学校の特別支援学級で出会いました。
二人とも発達障害の自閉症をかかえています。
「ジョニーは、自分の空間や世界に誰かを入れることにとても苦労していました。
他の先生が学校に連れてきたヒゲの生えたとかげの、アルバート以外には興味がありませんでした。
アルバートは、ジョニーの行動計画に組み込まれました。
国語の課題が終わると、アルバートに餌を与えたり、世話をしたりすることができました。
ジュンはアルバートを介してジョニーに近づこうとしていました。
アルバートを撫でてもいいかと尋ねたり、アルバートについてジョニーに質問したり。
しかし、ジョニーはジュンを遠ざけていました」
そう、中学時代の特別教育のエリン・ヴィルーム先生は言います。
二人の関係はずっとそのままでした。
友だちではなく、ただのクラスメートでした。
新型コロナウィルスのパンデミックの間、ジュンは寂しさを感じていました。
二人はジョンズ・クリーク高校に進学しました。
リモートで授業は行われました。
「ジョニーに友だちがいないことは知っていました。
私にもいませんでした。
彼には友だちが必要だと思いました。
また、彼が私と同じ自閉症であることも知っていました。
違っていても、同じなんです。
私は、ジョニーが私の友だちになってくれるかどうか、彼の両親に手紙を送ることにしました」
ジュンは手紙を送りました。
ジョニーの母親のリンダはこう言います。
「4枚の紙で、裏にも書かれた手書きの手紙でした。
電話番号が書かれていて、ジョニーの友だちになりたいこと、
ジョニーが参加している非営利団体で安全なときにボランティアをしたいこと、そして私たちに電話をしてもいいかどうかを尋ねていました」
感動したリンダは、すぐにジュンに連絡を取りました。
ジュンが動物に関わるボランティアをしていることも知りました。
ジョニーも動物が大好きなので、リンダはジョニーと相談して、ジュンを訪ねる計画を立てました。
「ジョニーには気軽に参加してもらいました。
牧場は、動物が好きという共通の感情を持った少年たちが心を通わせるのに最適な場所でした。
とてもうまくいきました」
それ以来、ジョニーはジュンと農場をたびたち訪れるようになりました。
ジョニーとジュンのために水族館の年間パスも購入しました。
もう、何度も訪問しています。
ジョニーの車の後部座席にはいつもジョニーとジュンが並んで座っています。
「二人が一緒に後部座席に座っている写真を見たときは、本当にうれしくなりました。
ジョニーがあんなに誰かの近くに座っているのは、とてもすごいことなんです。
息子のジョニーはジュンを信頼しています。
本当に素晴らしいことです。
涙が出てきます」
ジョニーは、ジュンが自分のスペースにいることにすっかり慣れています。
二人は「ノット・アローン・ハンドシェイク」と呼ぶ独自の握手をするほどです。
先日、サファリパークに行ったときには、ヘッドセットをつけるのに苦労していたジョニーをジュンが手伝っていました。
「ヘッドセットは、ジョニーが感覚的なものを遮断するのに役立ちます。
ヘッドセットが壊れてしまったので、ワイヤー付きのイヤホンを使うことになりました。
しかし、ジョニーはそれを理解できなかったので、ジュンがやり方を教えて、イヤホンを付けてくれました。
私は写真を撮りました。普通の人にとっては、その写真は特別なものではありませんが、私にとっては本当に素晴らしい写真です」
ジュンの母親も、二人の友情が特別なものであることに同意しています。
ジュンの母親のカオリはこう言います。
「ジョニーと友だちになってから、ジュンはすごく変わりました。
先生や家族以外の人との関わり方を学んでいるようです。
人を助けることが大好きな彼にとって、ジョニーを助け、彼の友だちでいることはとても幸せなことです。
ジュンは小学生のときにいじめられたことがあります。
そのせいで人を簡単には信じられなくなりました。
しかし今は、ジョニーを信頼しています」
どうやってこのような良い友人になることを学んだのかと質問すると、ジュンはユーチューバーのダル・マンについて話してくれました。
「彼の言葉には、
『世界に向けて発信した優しさは、必ず自分に返ってくる』
というものがあります。
ジョニーの友人であることは特別なことだと思っています。
他の人が彼にできないことを私はできます。
なので、特別な気分になります。
ジョニーはとても輝いていて、私の人生も輝かせてくれます」
ジョニーには大人の注意が必要なため、両親のどちらかが、少年たちの外出時には常に一緒にいます。
ジョニーの両親もジュンが大好きです。
この友情には心から感謝しています。
「正直、こんなふうになるとは思いませんでした。
親としては、子どもに友だちができてほしいし、特別支援学校に通う子の親としては、子どもにできるだけ多くの機会を与えてあげたいと思うものです。
自閉症の場合、友情を育むのは簡単ではありません。
でも、ジョニーに友だちができて本当によかったと思います。
ジュンは、私が知る限り、最も思いやりがあり、忍耐強く、親切な中学生です。
ジョニーは、私たちと同じように考えたり学んだりすることができません。
それでもジュンは息子がどう考えているか、何に動揺しているか、何が好きか、信じられないほどよく知っているのです。
驚きと感謝の気持ちでいっぱいです。
新型コロナウィルスによって、なにかいいことがあったかと考えれば、
ジョニーには素晴らしい友だちができたということです」
ジョニーはガチョウや魚、犬など、自分の好きなことについてはおしゃべりで、重要なことは必ず質問しますが、とくに感情を表現する会話は難しいものでした。
しかし、ジュンが友だちになってよかったことを質問すると、ジョニーはすぐに答えてくれました。
「今まで友だちがいませんでした。
ジュンと一緒に何かをするのが好きだし、大好きなんだ」
すでに言葉を発する前から、見せた笑顔と胸に当てた手から、初めての友だちであるジュンへの思いがあふれていました。
(出典・画像:米The Atlanta Journal-Constitution)
うれしく、うらやましくなりました。
ずっとずっと楽しく過ごしてほしいと思います。
うちの子にも、特別支援学校でずっと同じで仲良しの友だちがいます。
二人ともお話をすることはできませんが、二人が一緒に写っている写真を見たり、学校での様子を聞くと本当にありがたく、うれしくなります。
(チャーリー)