新型コロナウィルスによる厳しい隔離された期間は、自閉症スペクトラムの子どもと家族のこれまでの日常生活を突然中断させました。
しかし、この新しい状況は自閉症の子どもたちのコミュニケーションや家族との交流などの面では、良い結果をもたらしていました。
スペインのオベルタ・デ・カタルーニャ大学(UOC)、ペルージャ大学、ABAULA作業療法・児童青年心理センターの研究者たちが行った研究では、最も厳しいロックダウン期間中(2020年3月〜6月)の自閉症スペクトラム障害をかかえる子どもたちの行動を調査しました。
この研究によれば、研究に参加した家族のほとんどが自閉症のの子どもの感情の変化を目にしていました。
具体的にはロックダウンの間、子どもはロックダウン前よりも幸せで、穏やかで、落ち着いていました。
また、家族と一緒に過ごす時間が増えたことや、家族が採用したルーティンの恩恵を大きく受けていました。
「家族は、自閉症の子どもたちが予想以上にうまく状況に適応したことを伝えていました」
UOCの認知と言語研究グループのメンバーであり、この研究を行ったクリスティーナ・ムンバルド・アダムはそう言います。
ヨーロッパでは、通常の労働時間では家族が子どもとより充実した時間を過ごすことは必ずしも容易ではなく、長時間労働でワークライフバランスをとることは難しいとクリスティーナは述べています。
しかし、パンデミックに伴って導入された時間割の柔軟性により、家族が子どもの世話をしたり、一緒に成長したり、教えたり、進歩したりする時間が増えました。
なお、このような良い結果が得られたにもかかわらず、自閉症の子どもたちの家族は、ロックダウン開始時はたいへんだったといいます。
それは、子どもたちの生活習慣が乱れたことだけでなく、子どもたちのケアや教育のリソースが、この新しい状況に対応できていなかったことが原因でした。
「家族も、学校と同様に変化に対応しなければなりませんでした。
それには時間がかかったこと、
そして、学校からの支援が得られなかったことを嘆いていました。
しかし、家族は子どもと一緒に過ごす時間が増え、子どものことをよく知り、子どもの興味の幅を広げることができるようになったことは喜んでいました」
そうクリスティーナは言います。
自閉症の子どもたちが、連絡を取り合うために新しい技術、特にビデオ通話を利用するなど、あまり慣れていないプロセスへの適応や対応についても、この研究では調査しました。
その結果、自閉症の子どもたちは、遠隔地との新しいコミュニケーション・チャンネルにも対応できていることがわかりました。
例えば、ロックダウン中にビデオ通話で家族や先生、友達の顔を見ることで、自閉症の子どもたちの幸福感や落ち着きが増していました。
「テクノロジーは大きな助けとなっています。
こうした新しいコミュニケーション手段の使い方がわからないこともありましたが、祖父母やクラスメートなどの家族の顔を見ることができるだけで、より幸せで落ち着いた気持ちになっていました」
しかし、自閉症の子どもたちはそれぞれ症状や特性が異なるため、今回の研究結果がすべての自閉症の子の家族に必ずしも当てはまるとは限らないことも、この研究は述べています。
ロックダウン、隔離・監禁という状況は,自閉症スペクトラム障害をかかえる人とその家族が受けている社会的理解の不足も浮き彫りにしています。
このような状況は,パンデミックの期間中の自閉症の人と家族など、困難をかかえる社会集団が外に出られるようになった特定の時期に顕著でした。
ある自閉症の子の家族は、ロックダウンを守っていないと近所の人たちから叱られました。
「こうした困難な状況は、外に出る権利を持っていた人が、必要に迫られて外に出ると経験する、多くの家族にとってつらいものでした」
研究チームは、特別支援学校などに通う自閉症の子どもたちの幸福と学業成績を守るために、今後もこうした研究を行いたいと説明しています。
「政策立案者や利害関係者は、新型コロナウィルス感染拡大に関連する将来の意思決定プロセスにおいて、この研究の結果を考慮に入れるべきです」
このUOCの研究は、持続可能な開発目標(SDGs)の3(良好な健康と福祉)と10(不平等の削減)をサポートするものです。
(出典:スペインオベルタ・デ・カタルーニャ大学)(画像:Pixabay)
休校中のときは、散らかしたり、うろうろしたりはしていましたが、
うちでもより楽しく穏やかな時間だったように思います。
家族では密になることで、良いこともこうしてあるように思います。
(チャーリー)