- 起業を考える障害を持つ人が抱える課題とは何か?
- 障害を持つ人が起業することで得られるメリットは何か?
- 障害を持つ人が起業する際に求められる支援とは何か?
キアル・フェアベインがコーヒーカートで情熱をもって仕事をするようになったのは、ただコーヒーが好きだったからだけではありません。
知的障害を理由に職場で不当な扱いを受けたことに嫌気がさし、自分でビジネスを始めることにしたのです。
「0から、自分のビジネスを立ち上げることは簡単ではありませんでした」
簡単ではありませんでしたが、キアルはこの仕事が大好きです。
「仕事で最も満足していることは、自分の上司は自分で、自分の好きなように仕事ができることです」
小さくてもビジネスを始めることは、障がいのない人にとってもたいへんなことです。
障がいのある人にとっては、さらにたいへんなこととなります。
オーストラリアでは、障害をかかえる人は200万人を超えます。
そのうち、仕事に就いているのは半数以下です。
そして、そのなかで自分でビジネスをしている人は5人に1人もいません。
自閉症をかかえ言葉を話すこともないアレイスター・メイキンソンも自分の仕事に情熱と深い関心を持っています。
アレイスターは音を出すことはできますが、話してコミュニケーションをとることはできません。
そのため、多くの職場で働くことは非常に難しいことでした。
アレイスターは、言葉でのコミュニケーションが困難にも関わらず、仕事を終えるのが早く、そしてすぐに興味を失ってしまうと母親のドリーンは言います。
自閉症の人の多くは、非常に圧倒されたり、イライラしたりすることもあります。
自閉症の程度にもよりますが、これらの困難は大きく拡大することよくあります。
しかし、このような障害にもかかわらず、アレイスターは家族の強力なサポートを得て、荷物配送の事業を成功させています。
今、アレイスターは自分の仕事をすることに大きな誇りをもっています。
母親のドリーンはこう言います。
「新しい人との出会い、新しい場所への行って、スキルの向上、そしてサービスに満足している顧客の姿を見て、仕事がうまくいったときは、アレイスターは笑顔や喜びを見せてくれます」
キアルもアレイスターも障害者の起業を支援するバリュー・ライブス財団のサポートを受けています。
ナデージュ・アンダーソンが、この財団のマイクロエンタープライズプログラムを監督しています。
マイクロエンタープライズとは、比較的簡単に設立でき、最小限の投資で済むビジネス形態です。
「私たちは、誰もが働く権利を持っており、有意義な雇用を得るための能力やスキルを身につけることができるよう、柔軟でカスタマイズされた支援を受けるべきだと考えています」
ナデージュの組織では、顧客の獲得、マーケティング、プロモーション、法的手続きなど、零細企業を立ち上げるためのあらゆる側面を支援します。
「障害をかかえる人とって、起業して事業を運営するという経験は、幅広いスキルを身につけることができます。
そして、重要なのは地域社会とのつながりや経済参加の手段にもなるということです」
ナデージュは自分の仕事の醍醐味は、起業した零細企業のオーナーたちが自信を深めていく姿を見ることだと言います。
「自分の製品やサービスを販売し、お客様から良い評価を受けて、すばらしい達成感を得ています」
コーヒーを提供するキアルもまさにその1人です。
「自分で作った良質な製品をお客様にお届けするのが好きなんです。
私は完全に自立して、家族を養うことができるようになるのが目標です」
(出典・画像:豪abc)
「起業」
それ自体は難しいことだとは思いません。
しかし、それで食べていけるようになるのは簡単ではありません。
それでも自分らしく生きていくために、チャレンジする価値はあると思います。
障害をかかえる方であればなおさらかもしれません。
こうした支援がもっとあるといいなと願います。
(チャーリー)